肯定的映画評論室・新館

一刀両断!コラムで映画を三枚おろし。

『コンテイジョン』、観ました。

2012-03-14 22:39:07 | 映画(か行)

監督:スティーブン・ソダーバーグ
出演:マット・デイモン、ローレンス・フィッシュバーン、ジュード・ロウ、マリオン・コティヤール、グウィネス・パルトロウ、ケイト・ウィンスレット

 『コンテイジョン』、観ました。
接触感染により、数日で命を落とすという非常に強い新種のウィルスが
香港で発生する。その感染は、アメリカ、ヨーロッパ、北アフリカ、南米、そして
日本と世界中に散らばっていく。アメリカ疾病予防センター(CDC)と世界保健
機構(WHO)はワクチンの開発を急ぐが……。
 意外にも(?)S・ソダーバーグ監督のマイベストムービーは、スピルバーグの
『ジョーズ』だそうな。となれば、ソダーバーグ自身、いつの日か自分も
“パニックもの”をとその製作時期を探っていたとしても何ら不思議じゃない。
がしかし何故、それが今、この時期に??、勿論、ソダーバーグからしたら、
そんなつもりは更々ないだろうが、“未知の新型ウィルス”を、同じく、見えなくて
且つ近寄れない“放射能”に置き換えると、“去年の、あの原発事故”を
連想せずにはいられない。
 さて、映画は、ウィルス感染によるパニックを描いてはいるが、ウィルスによる
“一次災害”を主観に置いたものではなく、むしろ、その“恐怖”が人の心に
入り込み、伝染し、やがて社会全体をも崩壊させてしまう様を描いている。
思えば、去年の震災時も救援物資の奪い合いや飲食料の買い占め、更に
風評被害に至るまで人間の“恐怖心”が招いた“二次災害”へと被害が
拡大していった。話を戻すと、つまり、本作における“ウィルス”は単なる手段に
過ぎず、その背後に透けて見えてくる、人の心の弱さや人間社会の脆さ、更に、
社会構造の歪み(=貧富の差)と矛盾点を指摘している。一見、豊かで強固に
見える現代社会も、その便利さ(=ネット社会)は諸刃の剣となって危険を招き、
わずかミクロ単位のウィルスの攻撃にさえ成すすべなく崩壊する。結局、ここで
ソダーバーグが言いたかったのは、ウィルスや放射能の脅威もさることながら、
一番厄介なのは《“恐怖”に宿された人の心》だってこと。“恐怖”は、人間同士の
絆を遮断させ、やがって復興の妨げとなって、その行く手に立ちふさがる。
ラストシーン、汚名を着せられたチーヴァー医師が、《握手》は武器(敵意)を
持ってないことを相手に伝えるための行為だと言って、“かつての友人(従業員
男性)”に握手を求める。最先端のネットワークによって“恐怖”が撒き散らされ、
遮断された人の絆が、最後は《握手》という超アナログ的で古典的な行為によって、
再び“信頼”を回復する。どんなに技術が進んでも、どんなに社会が変わっても、
“体温”を感じずに“相手の心”に触れることはできない。シンプルだけど、
今の社会に欠けてるのはそういうところだと思う。


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