ジッタン・メモ

ジッタンは子供や孫からの呼び名。
雑読本の読後感、生活の雑感、昭和家庭史などを織り交ぜて、ぼちぼちと書いて見たい。

〔09 暮らし雑感〕 種から育てる至福

2009年11月22日 | 2009 暮らし雑感
【至福の園芸】江尻 光一 NHK出版生活人新書
 ● シクラメンのかほりが告げた園芸日
昭和40年、布施明のシクラメンのかほりが第17回レコード大賞を得た。
2年後にNHKの「趣味の園芸」がはじまった。
期せずして家庭園芸ブームの到来となった。
その頃の私は若かった。
労組青年運動の代表で昼夜余念がなかった。
近所の畑地を借りて野菜などを作っていた同居の母の勤労奉仕のために休日に借り出されるのは、あまり好きではなかった。

● ジジババと 孫とを結ぶ真白い根
 岩槻から杉戸に転居、子供らは巣立って結婚、母が逝って10年の歳月が流れた。
いま我が家の地続きに40坪の畑がある。
種から育てたダイコンが最盛期。
時々、近くから遊びに来る小学二年と三年の孫に、「ダイコン抜いて家の土産にもってけ」 というと喜んでとりかかる。
 「折るなよ まっすぐに抜くように工夫しな」と声をかけるが手は出さない。
花を自分で育てることだけが園芸ではないようだ。
勉強などは親が見るものと割り切り、ジッタンは野菜作りと囲碁、将棋などの遊びだけを孫に伝えたい。

 ● 草花は人の都合にあわせない
花は人間の都合にあわせて育ち咲くわけではない。
花を咲かせようという気持ちから一歩ひいて、咲いてもらおうという心根がだいじと江尻さんは言う。

● 月下美人 その妖艶な立ち姿
農園仲間にいただいた月下美人が今年も無事越年した。
今年は5回、開花してくれた。
真っ白な花の妖艶な姿を見るとき、ささやかな晩酌もすすんだ。

● 植物の時計にあわせて生きてみる
 「あと何分で家を出て」、「何時からの会議があって」のサラリーマンの生活は5年前に無事終わった。
いま、庭の花を見る。 花は花に由り生きている。
 種まき、発芽、開花までの時空にあわせてこちらも生きてみたい。 案外、これが老後の特権で、そのいっときの作業に畑の落語を楽しみながらやっていると、至福の時間を感じることもある。

● しゃべらずに態度で示す鉢の花
態度で示す草花の危険信号を見逃してはなるまい。
私は、起きて第一の仕事は、「八丁堀」と称して庭と畑をぐるりと見廻ることにしている。
苗ではなく種から育てることに今年はこだわった。
そして、花も野菜もすべて種から育ててみた。
トチオトメという大粒のイチゴの種を穿り出して、キッチン上の窓ごしの台の上で水栽培してみたら、ちっちゃな苗がたくさんできた。
それを育てて、今日、大地に移植した。

収穫中のダイコン、ハクサイ、キャベツ、ブロッコリーも、ネギ、タマネギ、コマツナ、ホウレンソウ、カブの類も種から育ててみた。
途中、ひやひやのところもあったが、やがて苗となり、結実するものは立派な形になってくれた。
葉牡丹も色が鮮やかになったが、これも種からだ。

昨日は畑で初霜と初氷を見た。
本朝の作業。
キャベツの青虫を指でつまみ、新潟菜花は間引きし、ホウレンソウを収穫した。
ブロッコリーに追肥も行った。
ようやく芽が出たキンギョソウはあまりにも小さい芽なので、トレイごと例のキッチン台の上に移動することにした。

花と野菜の明日が楽しみだ。
追憶にひたるより、明日へ向けてのいのちを育てる。
仕事ではないからこそ、真摯に向き合う楽しさも出てきた。

 テレビでおなじみだった江尻さんは1626年生まれの園芸家。
洋蘭の品種改良に取り組んでいるとのこと。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿