ジッタン・メモ

ジッタンは子供や孫からの呼び名。
雑読本の読後感、生活の雑感、昭和家庭史などを織り交ぜて、ぼちぼちと書いて見たい。

〔09 暮らし雑感〕 駒音への距離

2009年08月22日 | 2009 暮らし雑感
駒音への距離
初夏の頃、町の将棋クラブ有志で鬼怒川への旅をした。
2人×3組は東武快速列車のボックス席で対局を楽しんだ。
もうすぐ日光という時点で、電車が切り離されて別方向にあることを知った。
オイ、オイ電車は鬼怒川へは向かっていないぞ!
対局していた6人全員が慌てた。
今市駅での車内アナウンスを聞かずに、ひたすら盤上に熱中していて聞き逃した珍事で、年齢上のことだけではかたづけられない事件だった。
6人は町の将棋名人を囲んだ二段~四段のメンバー。
宿へ着いてからも、ろくに酒も飲まずに夜を徹して盤をにらんだ。
帰路の電車でも相手を変えて駒をはげしく行き来させた。
温泉行としながらも、それよりも熱い対局を満喫して帰路に着いた。

8月11日の読売夕刊[一手千金]のコラムが目にとまった。
許建東さんという上海の銀行員が日本に駐在中、将棋を知る。
社員から将棋の手ほどきを受け、自身将棋道場にも通い出し日本滞在中に五段を得たという。
道場での五段というのは大変な棋力だ。
生半可の努力や才能で、とてもできる事ではない。
将棋文化へのすさまじい関心と、愛情熱意が結果を結んでいる。
許さんは上海に戻り、手作りの将棋盤と駒を持参し、半年かけて小中学校を訪問、将棋の普及につとめた。
礼にはじまり礼に終わる日本将棋のよさを教育界にPR、いまや将棋を正課授業にしている小中学校は100以上になっているという。
もちろんその普及活動には本家の協力が欠かせなかったと文末は結ばれている。
その「ご本家」のほうに、いま、少しだけ苦言がある。

 リタイアしてからの私の楽しみの一つはCS放送の囲碁将棋チャンネルをみることにあった。
将棋番組のひとつひとつが楽しみだった。
なかでも「将棋連盟が選ぶ 注目の一局」が面白く欠かさず見ていたが、いつも不愉快になることがあった。
冒頭シーンのテレビ画面のタイトルは「将棋連盟が選ぶ 住目の一局」となっている。
いやしくも総本山の将棋連盟が選ぶ一局が「住目」でいいはずがない。 だが、見るたびに、いつまでたっても変わらないタイトルなので、ある時、連盟に電話で注意を呼びかけてみた。
たしか普及部の人の応対だったが、この答えが振るっていた。
 「このタイトル部分は連盟に著作権がありません。番組制作会社のほうに権利があるのでわれわれにはどうすることもできません」
「著作権云々ではなくて、将棋連盟が住目というのは、連盟自身の問題なのでは」
電話でのやりとりの挙句、テレビ視聴者の私から制作会社のほうに注意をしていただければの口ぶりが感じられた。
2・26ではないが、これでは問答無用と判断、電話を切った。
ゴチゴチの石頭メ!と心の中で毒づき、結果に空しさが残った。

 連盟の信用にかけての「注目の一局」ならば対戦の棋士を含め、関係者もこの番組を見ている機会は多いだろう。
 「住目の一局」のタイトルを見ている棋士は多いはずだ。
どう見ているのか。
 「住目」という文字に平然としていられる感覚は、実は「注目」していない感覚だ。
どこかの首相と同じで漢字不感症になってはいないか。
連盟の名誉と信用を重んじ、将棋普及の点も考え、見苦しきタイトルを直させる小さな熱意は、お持ちでないか。
すくなくとも2009年8月21日の現段階でもこの画面タイトルは変っていませんよ。

 リタイア組で満員となる地元公民館の将棋・囲碁の共通和室はだんだん囲碁の盤が広がり、将棋組は端のほうに押されている。
未曾有の金融危機のなか、将棋文化を支えてきた新聞各社の経営も苦しく将棋界は きびしい転機に向かっているはずだ。
もしこの年寄りの苦言が目にとまったなら、なんとかしてほしい。
ファンの一人が制作会社に電話して訂正させるというのは、それこそ「筋違い」の話だからだ。
許さんの普及への熱意を薬にして欲しい。

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