ジッタン・メモ

ジッタンは子供や孫からの呼び名。
雑読本の読後感、生活の雑感、昭和家庭史などを織り交ぜて、ぼちぼちと書いて見たい。

〔14 七五の読後〕 【石油の呪縛と人類】 ソニア・シャー   岡崎 玲子訳

2014年01月30日 | 【2014 暮らし雑感】
【石油の呪縛と人類】ソニア・シャー, 岡崎 玲子 集英社新書


1970年代にのはじめにオイルショックがあって、当時、石油危機ということが声高に言われはじめた。

あれから40年。
3.11以後は脱原発の是非をめぐってエネルギー論議は盛んだ。
この文庫本は石油知識門外漢の小生にとっては、極めて有益な示唆に富む本となった。

なによりも、翻訳した岡崎玲子という人に豊かな才能を感じた。
彼女は1985年の生まれだからまだ30そこそこの人だが、小6で英検1級をとったという。またケネディらが卒業した米の寄宿制私立高等学校で留学寮生も体験。
その語学力もさることながらそれを邦訳した日本語力に感心した。

45億年前の地球誕生から古代生命のエキスともいうべき石油誕生の重層な歴史と現代の問題点までが語られ、文は読みやすくこなれている。

嵐荒れ狂う海での石油採掘の状況や、流失事故の大惨事が時に映像的な描写となっている。
いま毎日数千の巨大船籍が毎日5億バレルの石油を運搬しているそうだが、
BP社、シェル、ロックフェラーなど支配企業の掘削のあくどさ、搾取の悪辣さがよく解る。
よく耳にする民族紛争の背景には産出国の軍事政権に肩入れする国際石油資本の血塗られた歴史も理解できた。

しかし、石油のグラスは満たされたまま、ひねるとジャーという具合にはいかなくなってきているらしい。
消費量が埋蔵量より多くなってきているという2000年代。
石油化学製品をふくめ油にまみれた生活をしている我々は、手痛いしっぺ返しを
受けなければよいがと思った。
深海からの石油開発が地球環境への悪影響を与えているという問題にかなりの頁を割いているが、これも面白い章立てとなっていた。



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