来る日も来る日もウサギの鼻孔に卵の白身を流し入れて、自己免疫制止力の実験をしていた東大医学部助手の多田が1971年、抑制T細胞を発見した。ノーベル賞ものの発見だった。同じ年、イラストレーター南伸坊は美学校で赤瀬川原平から宮武外骨の講義を受けていた。 . . . 本文を読む
谷沢は論語を雑書として読むという。谷沢、渡部のふたりの人生体験をあてて考えた「論語」箴言集であり、テーマ別のふたりの軽いコラム集ともいえる。それぞれんの人生体験からこの古典を身近な読み物としたいかにもPHP的書冊。
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小西行長の秀吉への面従腹背がすごい。朝鮮侵略戦争の前線で虚偽の報告で終戦工作を画策するあれこれがとても興味深い。蘇峰の近世日本国民史の「文禄の役」と比肩される歴史ドキュメントの重みがあった。
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渋沢龍彦がとりあげた文学の異常性愛の世界は耽美的な妖しさもあった。小田は医学の冷めた眼で異常性愛者の精神的病理の世界をとりあげているだけに読後感は深い闇の暗さに浸るやりきれなさが残った。
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将棋界名人を自称した坂田三吉が公式対局の一切剥奪され、中央棋界から絶縁される。16年後初の実力名人制リーグに参加。覇気あふれる若手強豪と五分の成績を残し1期限りで引退する。
大切な復帰戦でなぜ坂田は初手に9四歩を選んだのか . . . 本文を読む
作家の書いた将棋観戦記、新聞記者の観戦記は、いずれも読ませる話題があるが表現の誇張や、遠慮もある。河口は現役の高齢、高段棋士。棋士であるだけに将棋を指す、棋士の心の奥に住んでいる勝負へのうめき、うごめき、男たちの嫉妬心や勝負所を巡る心理の綾を知っている。 . . . 本文を読む