ジッタン・メモ

ジッタンは子供や孫からの呼び名。
雑読本の読後感、生活の雑感、昭和家庭史などを織り交ぜて、ぼちぼちと書いて見たい。

〔2010 暮らし雑感〕 雀たちの日々

2010年05月29日 | 2010 暮らし雑感
朝、二階の雨戸を開け、「チュッ、チュッ」鳴き声を真似た舌打ちをすると道路を隔てた田んぼの向こうから雀がニ、三羽やってきてベランダの手すりに止まる。
 一目散に小さな芝庭の餌場のほうに直行するのもいる。
下の部屋のガラス戸を開けると、ウッドデッキの手すりに四羽ほどが並ぶ。
ガラス戸真下の手を伸ばせば届くところまでやってくるのもいる。  
古い玄米を半握りほど放ると群がって食べる。
この時、外塀の上で様子を見ている「慎重居雀」も次々にやってくる。

 外で飼っていた犬のチビが亡くなってから、雀友の関係になった。
犬の餌の残りを彼らが啄ばんでいたのはよく見ていた。
息子や娘にはそれぞれ孫がいるが、ふだんの我が家はあーちゃん(バを抜いた名前)との二人暮らし。
この間、2匹の猫を看取り、2匹の犬も看取った。
この4匹は獣医の折り紙つきの長寿の犬猫だった。
これからは、もう飼うのはやめようということになり、今ペットといえるのは池の金魚とメダカの類だ。

3年前の雪の日に庭に古米をまいたのがきっかけで、雀との距離が接近した。
 最近では、窓枠やサッシ枠のところに止まったり、わざと窓近くで騒ぐパフォーマンスを披露したり、戸袋の上までやってきて私の薄い頭をのぞきこんで餌をねだるのもいる。
開けてあったガラス戸から侵入してきて、こちらが慌てているうちに、さっさとまた来たところから飛び出していったのもいる。

 庭から一番近い電信柱のアングル穴を利用して巣を作ったカップルもいる。
餌を運ぶ様子をみていると、まるでジェットコースターがあるように、一気に空中を駆け上がる。
急角度で巣に直行することを何回も何回も繰り返す。
その飛翔エネルギーに驚いてしまうが、こんなところに巣を作らざるを得ないほど、彼らの居住環境は狭まっているようだ。
ところがある日を境にしてその空中ジェットがみられなくなった。
ヒナの鳴き声のようなものも聞こえていたがそれもなくなった。
どうしてだろう?と思っていた時、近くの電線にカラスが二羽止まった。 邪推かも知れないがカラスが幼鳥を狙ったのではあるまいか。
定年後、地域の市民農大に参加しスイカの作り方を学んだことがある。 この道40年の先生が「カラス対策にネットを張ろう。カラスは小さなスイカは食べないぞ。丹精してできあがった美味いのを狙うんだ」と教えてくれた。
その後、熟れたスイカの皮一枚を残して見事に平らげていたのをいくつか見たことがある。
今回も、カラスは雀の空中ジェットをじっと観察し、頃合をみて幼鳥を拉致したのではないかと疑っている。
あるいは無事に巣立って、無用となったからか。
できればこちらのほうを信じたいのだが・・・・。


 昨日、突然、事件が起きた。
夕方、うすら寒くなって着替えをとりにいった時、ガラス戸枠まで一匹がやってきてしきりに餌をねだる。
夕刻はあまりやらないようにしているのだが、「少しだけだよ」と数粒をまいた。
雀が啄ばんでいるとき、デッキの下に潜んでいた野良猫が襲った。
驚いた雀が宙に浮かぶと同時に猫もジャンプして口に咥え、あっという間に畑のほうに走り去った。
あわてて、追いかけてみたものの、猫の足にはかなわない。

 呆然とした。
これは目前の惨劇に近い。
孫を目の前でひき逃げされたシーンを見ているような気分で 胸がドキドキした。
人と雀との境界を越えた親近関係を作ったことが油断だった。
人に慣れたことで雀から野性味が失われた。
 その無警戒の隙を見て猫は飛びついた。
餌を与えてきたことに後悔が生まれた。
隙を作った場を与えたのは人間の責任だ。
忸怩たる気分でその夜の酒は不味かった。

 でも、考えてみれば野良猫のほうも生きるのに大変なのだ。
かれらの居住空間も年々狭くなっている。
野良猫はときどき出没していたが、庭で顔をあわせると一目散に逃げていくのでまさかデッキ下にいるとは思ってもみなかった。
自分も猫は嫌いではない。
猫を何回か飼っていた時は、雀に餌をやるなんてことは露ほども考えたことはなかった。
猫が、鼠もスズメも狙うことは子供の頃から何回か目撃しているから、飼い猫の前で雀の餌付けなどできるわけがない。
野良猫にすれば久しぶりにハンター本能がうずいたわけで、あながち責められない。
ただ目の仇にしているわけではないが、この猫が池の金魚を最近襲った形跡がある。
縁日屋台の小金と呼ばれる金魚が五年経って15センチに成長したのだが、内6匹が忽然と消えた。
それ以来、金網を張って用心している。

 雀との関わり方を振り返ってみた。
ちいさいときは私自身、パチンコでスズメを狙って遊んでいた。
手ごろなY字型の木の枝を見つけ、それにゴムチューブをつけて小石を弾丸代わりにすれば立派なパチンコ銃になる。
一度だけ、小豆大の小石を弾にして発射したら雀が命中して落ちてきた。
それを拾いに行ったが、それは少年にも気分のいいものではなかった。 当時ではお百姓さんも、稲を食べられるからとしてかすみ網で盛に雀退治をしていた。
それを手伝ったこともある。
あの頃、雀はそれほど身近にたくさんいたわけだ。
ところが、昔より雀が激減しているというのをテレビニュースで知り新聞も読んだ。

スズメ:東京・日比谷、予想の3分の1 少子化の可能性  

身近な野鳥の象徴であるスズメが急減しているといわれているため、「日本野鳥の会東京」は15日、東京都千代田区の日比谷公園で全数調査を始めた。当初の予想数の3分の1程度しか確認できなかった。都市部では農村部よりひなの数が少ないとの分析もある。同会は10年間調査を続け、生息環境にどのような変化が起きているのかを探る。  スズメの生態に詳しい三上修・岩手医大助教によると、巣作りに適した瓦ぶき住宅や餌となる種子や昆虫を捕れる空き地が減り、この20年で半減したという。  また、農村部で巣立つひなは2~3羽が多いが、都市部では1羽が普通だった。  同会はこうした現状を踏まえ調査を実施。約20人が6グループに分かれて約2時間、数を調べた結果、当初300羽程度が確認できると予想していたが実際には98羽だった。  同会は「調査を通して環境変化を探りたい」と話す。三上助教は「スズメでも少子化が進んでいる可能性がある。各地でスズメの観察に協力してほしい」と呼びかける。(毎日新聞 2010年5月24日 東京朝刊)

昔の雀の生息環境とはだいぶ違っている。
野生の雀は1~3年の寿命とされている。
もちろん、短命なことは今回の事件のことは言い訳にはならない。

朝やってくるスズメとの距離をこれからは、つかずはなれずとし、餌箱を安全地帯に設けることにした。
雀から野性味が失われない程度の親近関係で、今後おつきあいを願うことにしたい。

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