ジッタン・メモ

ジッタンは子供や孫からの呼び名。
雑読本の読後感、生活の雑感、昭和家庭史などを織り交ぜて、ぼちぼちと書いて見たい。

〔09 暮らし雑感〕古文書への誘い

2009年04月02日 | 2009 暮らし雑感
町の広報で古文書講座があるというので早速申し込んだ。30人ほどが集まった。 講座は3日間、のべ6時間余の充実した楽しい時間となった。

●ブンショとは言わない世界に足を入れ
 ちなみに古文書をコブンショとは読まない。
文書をモンジョと呼び古文書をコモンジョと読んだところから、すでにあなたはその世界に足を踏み出している。 と講師は言った。

● 古文書に意思を伝える相手あり
 広辞苑によれば
 「過去の時代の史料となる古い文書。古文書学では差出人・受取人・用件。日付などを備えた公文書・私文書をいい、古記録とは区別される」 となっている。
書き手の意思を伝える相手がない文書は古文書とはいわない。
 くずし字を読むのが古文書学ではない。
ちなみに、かなり年配のご婦人も受講していたがその方々は崩し字をかなり読めそうな感じの面々だった。

● 歴史好き 新勢力の顔も増え
● 歴史好き 古文書好きにはなりにくく
● 学ぶのは 語学を学ぶ気構えで
越谷の「歴史時代書房 時代屋」 レイクタウン店、小説「のぼうの城」、昨年の大河ドラマ「篤姫」などがヒットし人気を集めている。 時代劇になじみがなかった若い層が歴史好きになっているそうだ。
でも時代劇も大好きだけど、なかなか古文書好きまでにはならず。
 毎日、古文書を見て読んで早くて3か月、遅くて6か月あれば読めるというが、それはとりわけ優秀の人だと思う。
成人から始めて6か月で読めたという人は聞いたことがない。
ただそれを専攻した学生であれば別とは思う・・・・・。

挫けそうになったことも再三ある。
一年経って、いま漸く、なじんできたかなという感じである。
歴史好きで古くから郷土史研究会というのに入っていたAさんも、Nさんも古文書の輪読に閉口して退会した。
歴史が好きで史跡を訪ねることと古文書を眺めることはイコールにはならないようだ。
古文書にどう接するのかは、ちょうど語学を学ぶ姿勢と態度とが必要だ、とのこと。
声に出して読む。書いて覚える。少しの時間を毎日続ける。
それは、やってみて納得しているところでもある。



●傘連判 元就の名前くっきりと
「唐傘れんぱんじょう」というのを聞いたことがあったが、見たのははじめて。
毛利元就の名前がクッキリと残っていたのには驚いた。
この連判はふつう江戸時代の百姓一揆などに代表される署名文書。
○の外側に名前が連記されているから首謀者がだれであるかわからないようにした知恵ある文書なのだ。

●川中島 いくさのにおいのする文書
墨汁一滴の匂いこそしないけど、運筆を追って読めない文書と昨日から睨めっことなった。

今十九於 信州更科郡川中嶋逐一戦之時 頚壱被討捕之条 戦功之感入以弥忠信可為肝要                 恐々謹言 天文二十四年  乙 卯 七月十九日     晴信 花押

というのが内容。
「頚」は読めず、弥は「いよいよ」と読んだら褒められた。
80%近くの文字は読めたけれど「川中嶋」、「晴信」というキーワードが読めれば、あとの行間文字は類推できるから武勇戦功への感状ということは今朝の寝床で読んで確信を持てた。

●虎朱印 押された文書を手にとって
 「祿壽應穩(ろくじゅおうおん)」の4文字が書いてあるとのことだがその上に虎の図案があった。
このトラは明瞭でよくわかる。
北条早雲から五代に渡ってこの印が押されたわけだが、印形は磨耗するから次世代ではこの虎の形も崩れる。
作り直しもあったという。
郷土史研のほうでも、このトラの印判状というのはよく聞いたが実物コピーをみるのは今日がはじめて。

 ● 古文書は歴史資料のチャンピオン
日付、差出人、相手先が必ずあり、それがそのまま優秀な史資料となる。
これによって書かれた絶対的年代がわかる。

江戸時代の刷り版を重ねた浮世絵や写本ではなく、ナマの歴史そのものの史料である。
その場に残り、今日まで残された唯一無二のもの。
その古文書を見る。
その楽しみに加え「読める」ようになる、それは当時の人間ドラマを「知る」楽しみに変ってくる。
少しだけ、その実感が持てるようになった。

 ●旧家には残っただけの意味があり
土蔵の奥に文書が残っていることがある。
それはそのまま、一味違った地域民衆史。

●秋長けて 神保町で辞書を買い
 講師は神保町の古本祭りなどで、そうしているそうだ。
古文書の専門辞書は高額だが、改訂版前のものなら手ごろな値段になっている。

講師が挙げられた 主な参考文献

・新版古文書学入門 佐藤進一著 (法政大学出版局)
・古文書入門ハンドブック 飯倉晴武 (吉川弘文館)
・近世の古文書 荒井英次(小宮山書店)
・独習江戸時代の古文書 北原進(柏書房) など

・くずし字用例辞典 児玉幸多 東京堂出版
(少し慣れたらこの本が一番と推奨された。この本は半年前に買った)



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