C・V・オールズバーグ:絵と文 村上春樹:訳
ぜったいに、何があっても、犬を庭園に入れてはいけません―引退した魔術師ガサツィ。ふしぎな庭で少年が体験した奇妙なできごと
ミスヘイターの飼っている犬フリッツ。とんでもない噛みつき犬。お上品そうなヘイターさんにだけ懐いている犬なのかな?飼い主にだけ、忠実な。犬というものは、そういう動物であることを考えると。フリッツは、犬らしい犬なのだ。
アラン少年は、この犬のことのお世話ができるのは。不思議。噛みつかれたって、なんたって犬の好きな少年なんだな。
よりによって、犬嫌いのガザツィ氏の庭園に入り込むなんて…
それにしても、アランは勇気ある少年です。魔術師を相手に礼儀正しく謝罪の言葉とお願いをする場面。えらい!ぞ。ひとりで。
世話の焼ける犬と少年。誰かにとって必要な自分って。
ちょいと面倒だけど人にとっては大切な事なのかもしれない。
アランは、ヘイターさんに頼りにされ。フリッツの面倒をみなきゃならないけど、案外それを楽しんでいるのかもしれない。
それにしても、鉛筆一本で書いたような、濃淡だけで表現された墨絵のような世界。
オールズバーグの絵は多彩な技法を使って、楽しめる。庭園の細部の丁寧な描写にも。頭の中で、色彩をイメージできる。これは、絵本の楽しみかもしれません。