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気まぐれ読書・映画・音楽の記録。本文に関係のないコメントについてはご遠慮させていただきます。

「酒は老人のミルクである」

2008-11-10 | 新書・社会

音楽、ファッション、銭湯背景画、1/fゆらぎ…。人はなにを気持ちよいと感じるか? 米原万里、三枝成彰等ゲストと、酒を飲みながら考える「玉村サロン」の談論風発を収録。99年刊「下戸の酒癖」に続く第2弾。

 

米原万里・ロシア語通訳。エッセイスト

~愛すべきロシア蒸留社会の真実。ロシア人はなぜエリツィンが好きなのか?

ロシア人は人生の理、現実の出来事、あらゆる事を酒によって、つまりウォトカをたとえにして解釈する。

 

三枝成彰・作曲家、東京音楽大学客員教授

~静養音楽史講談。酔う国と酔わない国。シェイクスピアの恋愛解禁とベートーヴェンの禁じ手について「快楽の音楽史」

日本人にとって、快楽は美しいこと。酔うということはなかなか美しい。花に酔い、恋に酔い、酒に酔う…。

 

小長谷有紀・国立民族学博物館助教授

~モンゴルは草原の輝き。夏は馬乳酒と結婚式の季節。モバイル社会の人生設計は潔い。草原はトイレにするにはちと広すぎる…

 

小野克己・元練馬区職員、公衆浴場背景画保存会代表

~銭湯背景画の世界。風呂に入って富士山を見る庶民の極楽。近代化の名の下に失われてゆく公衆浴場背景画について

浴場背景画の絵柄が決まって涼しげなのは、熱い風呂に少しでも長くつかるための知恵。

 

稲葉賀恵・ファッションデザイナー

~一枚の布の不思議。日本の着物、アジアの布。着る人が自在にデザインをする伝統の衣装に世界に通じる新しい可能性を見つけ出す。

着物の伝統的な良育を犯さないようにして、織物とか、色とかでさりげなく、日本を表現していきたい。

 

神津善行・作曲家、東京交響楽団理事、日本民謡協会理事、早稲田大学理工学部特別研究員(植物発信音の採取と解析)

~おしゃべりな樹木たち。トマトが発する電気信号から、7秒で眠る原始子守歌の胎内音までを探求し、ついでに都はるみの歌唱の秘密を解き明かす。

おなかの中にいたときの音を、生まれる前に、お臍から採っておきまして、その音を赤ん坊に聞かせると7秒でコロッと寝ちゃうんです。

 

武者利光・(株)脳機能研究所、(株)ゆらぎ研究所代表取締役社長。東京工業大学名誉教授

~酒は老人のミルクである。宇宙と自然の贈り物、1/fゆらぎは生命の象徴。脳の機能を測定して、アルツハイマーを百薬の長で治せたら…。

名人が作った江戸小紋というのは、わずかな「ゆらぎ」があるんですよ。そのゆらぎが、私達の快感に影響をあたえているのです。

 

本書のタイトルは、ラテン語の箴言集から。甘露の如く滋養に満ちて、こころと体に染み入る妙薬は、人生の肇と終わりに味わうことができると言う意味だろうか…

テーマのない座談会だが、ある目的に向かって、真摯に、思いつめるより、余裕を持って斜めから見る、笑いながら考える、回り道から近づいていく、そういう方が案外ゴールが近かったりする。功利的でない議論から、新しいビジネスのアイディアが生まれたりすることもあるから面白い。  ~玉村豊男

7章それぞれが、身近な話題であり、各界で活躍される方々の話は興味深く、また、楽しい酒を飲みながらの心地よさが、感じられ、不思議や発見に満ちた座談会です。



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