大阪の下町にある中華料理店・戸村飯店。この店の息子たちは、性格も外見も正反対で仲が悪い。高3の長男・ヘイスケは、昔から要領が良く、頭もいいイケメン。しかし地元の空気が苦手で、高校卒業後は東京の専門学校に通う準備をしていた。
一方、高2の次男・コウスケは勉強が苦手。単純でやや短気だが、誰からも愛される明朗快活な野球部員。近所に住む同級生・岡野に思いを寄せながら、卒業後は店を継ぐつもりでいた。
春になり、東京に出てきたヘイスケは、カフェでバイトをしながら新生活をはじめる。一方コウスケは、最後の高校生活を謳歌するため、部活引退後も合唱祭の指揮者に立候補したり、岡野のことを考えたり、忙しい日々を送っていた。ところが冬のある日、コウスケの人生を左右する大問題が現れて……。
兄、弟。各章ごと交互に主役となって語る物語。
それぞれの青春。それぞれの考え方・
兄弟って、子供の頃同じ親に育てられて、一緒に育っても、
実は…お互いの気持ちなんて、よく分からないものかもしれない。
すれ違いの兄弟であるが、どこか、常に意識して生きている。
そんな二人の生き方を、親、友人、恋人、職場の人、様々な人との交流を通じた、
会話文の多い文章が特徴です。