島の夏を、美しい、とふいにあたしは思う―強くなりたいな。強くて優しい大人になりたい。力がほしい。でも、どうしたらいいのかな
中学2年生の1年間で、あたし、大西葵13歳は、人をふたり殺した-。これは、ふたりの少女の、凄絶な“闘い”の記録。
桜庭さんの作品を読むのは、「少女七竈~」、「桜庭一樹読書日記」に次ぐ3冊目です。この本が一番面白かった。
殺人というミステリーの要素を何処にでもいるような、少女の中の問題として、普通の女の子が、家庭に友人関係に恋に悩んでいたり、行き場の無い想いを、ゲームで発散させ、でも、ちょっと、本を読んで発見したりする。
秘密の出来事を抱えるには、あまりにも幼い二人、静香の考える殺人計画は、あまりにも幼稚、
~用意するものはすりこぎと菜種油
~用意するものは冷凍マグロと噂好きのおばさん
~バトルアックスと殺意
笑いそうなくらい、そこがまた切ない気がする。
道ばたの子犬の死で泣けなくても、ゲームのメモリーが壊れて、バーチャルで育てたドラゴンの死では涙する。それは、幼なじみ颯太との唯一共有した時間だから…。
気に入ったのは、情景がきれいで、読んでいて、島の四季が思い浮かべることが出来るところ。美しい島に住むケド、純朴とは違う、閉鎖的な世界で、もがき苦しむ少女達が痛々しい。
夏の海、蝉の声、海栗とりの小舟、遠く白い芋の花が揺れる畑、茶色の野生の羊、
空よりも一足先に夜のしじまに落ちたかのような、青黒い海の色…。
廃墟~旧日本軍要塞跡の灰色の四角いコンクリートでお互いを干渉せず時間だけがすぎる二人の少女。
重すぎる罪の意識をごくんと、つばと一緒に飲み込む葵
夫に2度も先立たれ苦労しているのは分かるけど、ちっとも子供にだって心があることを受け入れようとしない母親。また、違う男。
でも、ママが一番大事なのは、男じゃない。若い頃の自分。都会で美人で可能性にあふれていたあのころ。ママは、どこかに行っちゃうかも…。でも私はここにいる。
重荷と想わないで出来るだけ軽くなるから…。
母親の見当違いに、葵の心が、ガラスみたいな音をたててパリンと割れる。
夏が終わる。山頂から白い水蒸気がゆっくり立ち上る。藍色の夜空にきらめく星。
優しいおじさん警察官。
がまんと秘密が同居する積みは、その子を滅ぼす。我慢しすぎない方がいい。話してごらん。親が子供を嫌うわけはない。
誰か、あたしを理解してくれる人と、秘密を共有したい。一人で抱えたくない。胸がどきどき、息を吸って吐いて…。
何度も苦しい想いを打ち明けるチャンスを逃してきた葵。
冬、空と海の境界線はますます青灰色に沈み込んで、曖昧になる。小さな雪の粒がちらつく…誰ともうまく話せない日。
牡丹雪が凍てついた海面に落ちては潮に溶けていく。寒い日。
原始人は悲しいときはじっとしている。
洞穴の外は、仲間を殺した熊がいるから、気配を殺して欲を排除して、目立たないように生きる。
子供の世界の外に大人がいる、気配を殺さないと見つかってしまう。じっと息を殺していた。静香
この本を読んで、私の男も読もうかなあって想いました。
あ~こんな人なんだ・・・と思った
でも本は読んだことないのです
どうも心が苦しくなりそうな気がして
読んでもいないくせに 敬遠するのはよくないですよね
しかし とっかかりに“私の男”にはいけない気がする
初歩としたら 何がよいと思われますか?
(・・・・ってより 自分のカンでいってみるかな)
かなりの読書家だから、ミステリーの要素とか情景の表し方とか、いいなと思いました。私も3冊しか読んだことないから、そんなに好き嫌いは言えないです。