安倍首相が掲げた教育改革を検討する 「教育再生会議」 が設置され、そのメンバーが発表されました。座長は、ノーベル化学賞受賞者の野依良治氏。計17人の有識者と安倍首相、伊吹文部科学相、それに山谷えりこ氏らで構成するようです。
以下がそのメンバーですが、みなさんはどんな感想を持たれるでしょうか。
浅利慶太 (劇団四季代表)・ 池田守男 (資生堂相談役)=座長代理 ・ 海老名香葉子 (エッセイスト)・ 小野元之 (日本学術振興会理事長)・ 陰山英男 (立命館小副校長)・ 葛西敬之 (JR東海会長)・ 門川大作 (京都市教育長)・ 川勝平太 (国際日本文化研究センター教授)・ 小谷実可子 (日本オリンピック委員会理事)・ 小宮山宏 (東大総長)・ 品川裕香 (教育ジャーナリスト)・ 白石真澄 (東洋大教授)・ 張富士夫 (トヨタ自動車会長)・ 中嶋嶺雄 (国際教養大学長)・ 野依良治 (理化学研究所理事長)=座長・ 義家弘介 (横浜市教育委員ヤンキー先生)・ 渡辺美樹 (ワタミ社長) 【50音順】
私は知らない方もおられますし、どの程度、この会議が力を持つのか未知数ですが、かなり目立つ布陣ではないでしょうか。力を入れているんだなぁという印象は持ちますね。
この中で、ゆとり教育導入の論争時、さかんに学校の現場から、反復練習の必要性を説き、百マス計算で一躍有名になった、陰山英男先生の著書を取り上げます。
というのも最近、ある新聞で、「百マス計算のせいで、計算が嫌いになり、友だちともつきあいにくくなった」 というような批判があり、さらにそれに同調するかのような記事を目にしたからです。
そもそも百マス計算自体は、新しいアイデアでも、何でもありません。ごく普通の計算練習に遊びや、競争の意識を入れただけのものに過ぎないのですから、当時、書店に「百マス~」 が、あふれるほど並んだこと自体がおかしいと感じました。
こんなことは、授業の工夫の一つで、当教室でも、単語テストや暗記競争であれ、漢字コンクールであれ、賞状を作ったり、グラフを示したりしてしますが、これらは生徒に発奮してもらう材料過ぎませんから、うまくハマる子もいれば、やってられないとそっぽを向いてしまう子も出てきます。
その点に関して申し上げれば、宮本哲也先生の 『強育パズル』 や 『合格パズル』 にしても同様です。 すべては、教師の力次第で、クラスの雰囲気や、学習の効用などを考えながら導入すべきものです。あまりにも陰山氏の学校の進学実績や百マス計算の効果が喧伝されたために、百マスだけやれば、学力が伸びると勘違いした、教師や親が間違っています。
百マス計算のせいではなく、余計なブームを作り出したために、「自分もやらねば」「乗り遅れる」 と思った塾や、教師が、その力量もないのに、百マスという名前に頼ったのが間違え、それを当てにした親が間違えです。 こんな単純な作業を、長期に渡ってやらせ、学力を上げてしまう陰山氏の力がすごいのです。
教師は常に、教材研究を怠ってはならないのですが、すでに世の中に良い教材はあふれていることもまた事実です。どうやらせるのか、そのクラスや生徒に合わせて何を選ぶかが、教師の力量なんです。学習効果が出ないことを、教材のせいにする前に、自分でふさわしい教材を厳選しだり、作ったりすること、また、そもそも自分の指導力を疑った方が良いですね。(もちろん自省の念を含めて)
教育現場からの、陰山先生に対するやっかみもかなり含まれている感じを受けます。何年か前、急に校長になられた時、氏に批判的な教員のHPをいくつも見た記憶があります。現在の肩書きを見ますと、すでに辞めてしまっているのでしょうか。
さて、ついつい力が入ってしまって長くなりました。本書にも、ごく当たり前の教育論、家庭でできること、学校でできることが紹介されています。
これまで、ご紹介した 『親力で決まる』 の親野智t可等氏と似ている印象も持ちます。大村ハマ先生の『教師 大村はま96歳の仕事』や、森口朗氏の『授業の復権』、そして、亡くなられましたが、家本芳郎先生の『教育力を磨く』 など、きっと多くの共通した考え方を見つけられると思います。
『教育再生会議』 のメンバーのみなさん。国内の教育改革、大きく前進して欲しいと願っています。“骨抜き” などと言われないよう、官僚、教育現場としっかりわたりあって下さい。
本当の学力をつける本―学校でできること 家庭でできること 文藝春秋 詳 細 |
http://tokkun.net/jump.htm
『本当の学力をつける本』 陰山英男
文藝春秋:239P:1300円
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文章題や証明問題をやれば、どうせ計算も必要だと思っていたので、面倒くさくモチベーションが湧かなかったのです
人にもよるのでしょうが、今でも、計算するなら電卓(またはコンピュータ)でと思っています。
誰でも、電卓ならOKだとお思いでしょうが、この時の論争は、ただでさえ最低限の、分数や小数、割合などの意味を理解できていない生徒が出はじめていた時期に、さらにレベルを下げて、円周率を3にしたり、教科書を3割削減ということで大騒ぎになりました。
つまり、割る数と割られる数の概念や割合の概念をつかんでいなければ、電卓すらも使えないんですよ。
火付け役の一つは「分数ができない大学生」という本でした。つまりすでに危機的な状況だという認識が現場にあって、文部省にない、さらに減らすのかという論争です。
当時、陰山氏が主張したのは、新しい教科書では、もちろん計算だけでなく、すべてにおいて練習が足らないということでした。百マスはそれを補うための単なる道具に過ぎないんです。
他の方々は、未知数かと思いますが・・・。
もともと百マス計算は記憶力を高めるためのウォーミングアップで、その後の授業がむしろ大切かと思うのですが、上手く伝わっていないのかもしれないですね。
土堂小学校の実績は本物かと思います。
学校特に、公立校の復活に力を入れてもらいたいとかねてから思っておりましたので、安倍政権はその点、小泉さんの時より期待できるかなと思っております。
それにしても本当に色々な学習方法や情報が溢れてきましたね。VIVAさんのおっしゃる通り、どう使いこなすか、に尽きると思います。タイミングとその子にあった方法があり、百マス計算にだって、ある時、その子にとってベストの教材だ、ということだと思います。それがわからなかったら問題ですよね。
バイタリティーがすごいんです。
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百マス計算のエッセンスはそれが陰山先生の創意工夫のたまものであったと言うこと。猿まねになった瞬間にそれは輝きを失ったと言うことか!?
ともすれば我々方法論にはまりがちですが、やはりその根底には教える人間の熱意が必要なのでしょうね。