副題は『アメリカの大学入試制度 知的エリート階級はいかにつくられたか』
アメリカの“SAT”というテストは日本における大学入試のセンター試験のように、アメリカ全土の大学入試で利用されるものですが、その導入のいきさつを含めてテストというものを軸に、アメリカ教育界の流れを見つめているノンフィクションです。
かつてはハーヴァードは白人エリートたちの大学でしたが、簡単に申し上げれば、金持ちボンボンだけでは、国の指導者は務まらないし、どのように優秀な人材を求めるべきか、そのためのテスト制度はどうあるべきかということで、改革が進んでいきます。
関係者に対する取材が実に細かく、SATを真のエリート養成のために作り出したETSという組織(TOEFLも作成している)の歴代の指導者、過去から現在までの政治家、様々な運動家たちの立場を丹念に描写しています。
アファーマティブアクションがあることからも、人種の問題が根深いアメリカの事情と日本ではテストの持つ意味も異なりますが、現在日本もさまざまな教育制度の転換点をむかえ、参考になる点が多く記されています。
上下2段で400ページを越え、読み応え充分ですが、テストという制度自体に焦点が当てられているため、副題から私が期待した、アメリカ社会全体の記述、エリート層そのものの実態などは少なめでした。
http://tokkun.net/jump.htm
ビッグ・テスト―アメリカの大学入試制度 知的エリート階級はいかにつくられたか早川書房詳 細 |
すごい!たくさんの本のレビューが!読んでみたくなる本が結構あり、勉強になりました。