実に印象深い一冊です。夏休みに 海や山に出かけられる方、ぜひ出発前にご一読されたらいかがでしょう。
アメリカでは最近、理科の授業で、ダーウィンなどの進化論だけでなく、宗教的なもの、つまり“神(創造主)” が地球を作ったのだという考え方も教えようとする動きが盛んです。“サルの子孫”じゃイヤだというわけですが、みなさんはどう思われますか。
本書の副題は “寿命からみた動物と植物の違い” です。動物も植物も細胞からできており、ともに進化していますが、人間の寿命はせいぜい100年ですね。150歳の人はいません。
ところが世界の巨木には1000年以上生きているものはざらで、中には5000年ほどのものもあるそうです。植物の生命とは、どのようにして生まれ、寿命とは何かを科学的に説明している本なのです。
巨木を礼賛する書物は多くあるでしょうが、本書のような本をはじめて読みました。
■ 世界でもっとも長寿な動物と樹木は?
■ 植物と動物の細胞ではどちらが長生きか?
■ なぜ植物のクローンは簡単で、動物は難しいか?
■ なぜ針葉樹は広葉樹より長生きな種が多いか?
動植物がともに「生物」 であると感じられるような一冊です。私は、学校で習う“生物”は、謙遜でもなんでもなく、本当に、まったく、完全な “無知” ですが、本書を読んだ後は、興奮して(笑)、ずうずうしくも著者の鈴木先生(鹿児島大学理学部地球環境学科) にメールを出して、無知丸出しの質問をしてしまいました。今、思い出しても赤面します(笑)。(3年ほど前ですが…)
以下が私のさせていただいた質問の一部です。
>鈴木先生は本書の2章の中で、「原始の地球と同じ環境の星があり、同じだけの年数
>が経過したとしても、人間型の宇宙人が生活している可能性はほとんどありません」
>と述べておられます。
>
>それは、広大な宇宙の中を想定して、人間型生物は存在しないであろうという実感を
>もっていらっしゃるのですか。あるいは…
先生からの、ご返信を無断でこちらに掲載するわけには、参りませんが、驚いたことに、素人のぶしつけな質問に対して、鈴木先生は、参考書籍の紹介などもまじえ、非常に丁寧にご回答を寄せて下さいました。
調子に乗ってその後も数度、やりとりをさせていただきました。今でも深く感謝しております。そういうお人柄からでしょうか、実に読みやすく、また読者の興味を喚起するような文章です。しかも、生徒さんなら、夏休みの自由研究に使えそうな話題がいっぱいです。私のような生物嫌いな人間までも、強くひきつけてしまう良書だと思います。
http://tokkun.net/jump.htm
P.S. それにしても、何百年、何千年という単位から見ると、我々人間の日々のいさかいなど、取るに足らないことだという気がしてきます。
植物はなぜ5000年も生きるのか―寿命からみた動物と植物のちがい講談社詳細を見る |
■■ まさに取るに足らないことですが(笑)もし記事にご賛同いただけましたら、よろしくお願いいたします ■■
何とか1位です。
なんと5位に!おそれおおいです。ありがとうございます。
読書小説書籍・雑誌ニュースbookおすすめサイト家族旅行趣味自然植物夏休み自由研究
ソ連がスプートニクを打ち上げたときの衝撃は、アメリカの科学の遅れを実感させたことから無理やりダーウィニズムを含む科学を教えるようになりました。
しかし、もともとアメリカはプロテスタントの一派であるピューリタンのお国。聖書に帰れを合言葉にするプロテスタントは当然聖書と矛盾する地質学や進化論を攻撃しています。
特に宗教の根強い南部では進化論などもってのほか。
教科書裁判の記録などを見ると、どうもそのような印象を受けてしまいます。
私自身はどの生物も同じ4種類のアミノ酸を遺伝物質として使っていることから全ての生物は起源を一にするというのは極めて合理的で説得力に溢れていると思っています。
教科書裁判の記録などはどうやったら見られるのでしょうか?
あっ、また政治になってしまいました(笑)。
いずれにしろ、大変興味があります。
これは、要するに神が人間を創るために進化というシステムを使っているというもので、創造論に科学の装いを纏ったものです。
両方教えたらどうか、というのは、進化論を完全排除はできないだろうから、仕方なく両方教えるべきということです。
このあたりの話は、スティーブン・ジェイ・グールドの幾つかのエッセイが参考になると思いますが、大雑把な流れであればモンキー裁判あるいはスコープス裁判で検索なさると面白いと思います。
モンキー裁判もまだまだ論争が続いているとどこかで読みました。アドバイスに従っていろいろ探してみますね。
アメリカの科学は世界一のレベルで、ノーベル賞受賞者を多数輩出しておりますが、アメリカ生まれのアメリカ育ちというのは珍しい部類です。
むしろ、他国の優れた科学者が富(研究資源)に惹かれて多数集まっているのが根底にあります。
日本にいるとあまり意識しませんが、宗教と科学はやはり距離があるのですね。
また別の話題でたまに口を挟ませてもらいたいと思います。