降って来るもの

写真と散文とぽえむ

ふるさと行-サザンカ-

2020-01-17 07:10:27 | ふるさと

      ~~~ヾ(^∇^)おはよー♪

 

 曇天。ぼんやりと明るい風景は、如何にも寒中の所在なさを伝えるようにじっと鎮まる。正月十七日、金曜日の七時十四分。リビングから孫の声が聞こえて、いつもの日常の一日の朝が滑り出す。

 ふるさとの山河に散り敷いた落ち葉たちが、次第に色を変えて土色に近付いてゆき、軈て大地に融け出そうとする冬とふ季節。あれは何時だったのか?暫く時間が経過すると、心の中を”恋唄”が流れ始める。”帰って来いよ!!”と、そのメロディーに載せて恋文が届くのだ。

 寒中の真ん中で静かに佇む生まれ故郷へ。現住所と五度も気温差が有る生まれ育った場所へ。標高六百メートルの在所へと国道を逸れると、九十九折の上り坂を林間を縫って十分近く登り続ける。急に拓けた場所に張り付くように、今話題のTV番組”ポツンと一軒家”のように、山懐にひと塊りの”ポツンと一在所”があるのだ。

少し開けたところに出ると、木々に囲まれた狭い田圃が・・

ぐるりを害獣除けのトタンが・・

家のそばには神と仏が

樫の木の前のお地蔵さんと、榧木の前の「山の神さん」が仲良く祀られている。

 伊勢街道をひとが行き交っていたころから、故郷の我が家は村人からは、親しみを込めて『やまんかみ』と呼ばれていたのを思い出す。

 村を通り抜けた少し先の石割峠を越える”お伊勢参り”の旅人は、日暮れるとわが村に宿をとったと云う。長い間、村中ではその屋号で彼方此方の家を呼びならわしていたのだ。曰く、「大文字屋」「橘屋」「中屋」「今出屋」の如くに。

山間の夕暮れは早い。午後三時を回れば、太陽は木々の梢の上に差し掛かるのだ。直に昏くなる。

見る人とてない、褒める人とていないふるさとにも”サザンカ”は孤高に咲く。健気に花開く。

01/17 07:54 まんぼ

 

 

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6 コメント

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おはようございます♪ (のり)
2020-01-17 11:05:16
よく手入れが行き届いた山村の景色に見えますが、住む人は少なくなっているのでしょうね・・・
「やまんかみ」は今後どうなるのでしょうか・・・
こんにちは!! (まんぼ)
2020-01-17 13:51:53
のりさん、コメントありがとうございます。

みんな皆、不可抗力で、過去という暗闇の中へ消えてゆきます。
そうして誰も居なくなって、誰も思い出すこともなくなって・・、真っ黒い歴史の一ページに。
”やまんかみ”と呼ばれていた我が家は、H元年に父が、それから20年独り暮らしした母が逝って無人に。
”やまんかみ”と呼んでくれた20数軒の村人は今では3軒6人が住むだけの、ゆくゆく消滅必至の集落です。
軈て此処に人が住んでいたことも忘れ去られて自然の大地に還る。山の神様もお地蔵さまも役目を終えてその風景の中に埋もれるのでしょうね。
寂しくて切ない物語ですが、人こそがそんな存在なのですから致し方ありません。
せいぜい訪ねてはその思い出を味わい、冥途の語り草に持ってゆきたいと・・です。
こんばんは (ミルク)
2020-01-17 22:27:55
まんぼさんの生家なんですね~。以前、草刈りしたり、木を切ったりと手入れされた様子を記憶してます。
山茶花がお家の番人をして守っているようです。
淋しいですが、どうしようもないですね。たまに訪れていたのですね。
こんばんは!! (まんぼ)
2020-01-17 22:56:53
寝る前にと「ko.to.ba.たち」をUPして戻ったら
ミルクさんからコメントが。
ありがとうございます。

ほんとに淋しくて侘しくて切なくて・・ですが如何しようもないですね。
時の流れには抗えないです。
帰れば、高校生まで過ごしたふる里にはその分のたくさんの思い出が。
それもこれも、少しずつ滅びてゆくようです。
思い出したら換気や掃除に行くのですが、人が住まなくなった家は、やっぱり滅んでゆく運命ですね。
帰りは、何時もそんな想いで如何しようもなく胸を塞いでしまいます。仕方ないですよね。
Unknown (いしだま)
2020-01-19 13:28:25
さざんか さざんか 咲いた道
たきびだ たきびだ おちばたき…
ついつい、口ずさんで🎶🎶しまいました。
こんばんは!! (まんぼ)
2020-01-19 18:32:18
「たき火」懐かしい唱歌
唄われている情景がだんだん少なくなってゆきますね。
いいな~
結婚記念日のお祝いに夫婦で旅行
子供達からはそれぞれに
良い子育てをして
いい夫婦を実践してきたんだ
いしだまさん

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