みやしたの気まぐれblog

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JR初期世代の新形式車両たち JR西日本編

2021-08-15 11:03:27 | 鉄道その他
1987年4月1日の国鉄分割民営化によるJR各社誕生から今年で34年が過ぎました。JR化直後に登場した車両でも一般的な鉄道車両の寿命(30〜45年)に近くなります。
実際の所は、車両の作りや運用により寿命は大きく異なるので、随分前に全廃されたJR時代の車両もいれば、未だ国鉄時代の車両も残っているのは、先日までの「今も残る現役国鉄形」シリーズで紹介したとおりです。

JR化後の最初の10年間(1987年4月〜1997年3月)で登場した新形式車両を初期世代として、現状を交えてシリーズで紹介していきます。JR化後しばらくは、205系や211系のように国鉄時代の車両をそのまま製造したものも多いため、JR化後の新形式のみを掲載します。
撮影できないままに廃車された車両もありますので、そちらは写真無しで文章だけ。また、事業用車や試験車両については、ほとんど写真が無いので省略させて頂きます。

今回はJR西日本の車両です。
JR西日本は国鉄型が今でも多くの路線で残っていますが、それでも私鉄との競争が厳しい関西や、輸送規模が小さい路線の国鉄型車両の更新、関西空港の開港に伴う新型車両導入などで、いくつもの新形式車両が登場しています。新幹線に目を向けると、300系3000番台をJR東海の300系と同一仕様で製造したのち、独自に500系を登場させたことが特筆されます。JR東日本やJR東海では、JR化後の初期世代の車両でも置き換えが進んでいますけど、JR西日本では国鉄車すら普通に走っている状況なので、寿命の短い新幹線以外はしばらくは置き換えされることはないでしょう。なお、JR化後の新形式ですが50系客車の転用改造にあたるキハ33形は掲載対象外としています。


207系
製造1991年〜2003年。片町線、東西線、福知山線の普通列車用および東海道・山陽本線(京都線、神戸線)各駅停車用103系の置き換え目的に製造された4扉の通勤形電車です。外観に大きな差異はありませんが、0番台、1000番台、2000番台があり、併結運転が可能です。2010年までは片町線の京田辺〜木津に4両編成までしか入れなかったために、207系は4+3の7連で製造されているのが特徴です。現在は、片町線、東西線、福知山線、東海道・山陽本線、おおさか東線、関西本線などの多くの路線で321系と一緒に運用されています。2005年に福知山線列車脱線事故を起こしたことで、登場路の水色系の帯から、321系に合わせた帯に変更されました。近年はリニューアル工事も進んでいます。なお、国鉄末期に常磐緩行線向けに製造され、JR東日本で運用された207系900番台とは全く関係ありません。



初期塗装の207系。最初は水色系の帯でした


207系の塗装(テープ)変更後の姿。後継車である321系に合わせた色になっている


221系
製造1989年〜1992年。117系で運行されていた新快速を置き換えるために登場した快速用近郊形車両です。当時すでにステンレス車体も一般化していましたが、221系は鋼鉄車で製造されています。6両編成と4両編成が製造され(現在は8両編成もあり)、当初は東海道・山陽本線の新快速電車へ投入されましたが、後継の223系、225系の登場により、東海道・山陽本線での運用は普通列車、快速列車の一部になり、奈良線、山陰本線、関西本線、草津線、湖西線へ転用されています。以前は、JR東海の大垣駅までの乗り入れもありましたが、現在はJR西日本の範囲のみでの運用です。2012年からリニューアル工事が進み、昨年全474両の工事が完了しています。



221系の登場時の姿。登場した当時は、この電車の新快速に憧れたものでした



リニューアル工事後の221系。先頭車側面に連結時用の転落防止幌が取り付けられ、前照灯交換、スカート形状の変更が行われています


223系
製造1994年〜2008年。221系の次の近郊形快速用車両として、関西空港開港に伴う関空快速用に0番台が投入されたのが最初です。当初は6+2の8両編成でしたが、紀州路快速の併結運転で5+3に改められ、さらに4+4に改められています。その後東海道・山陽本線の新快速向けに130km/h運転対応の1000番台が製造され、マイナーチェンジした2000番台、関空快速・紀州路快速の追加用2500番台、快速「マリンライナー」用5000番台、福知山地域用5500番台、221系との併結運転用6000番台が登場し、合計927両が製造されたJR西日本を代表する近郊形電車となりました。また、223系のデザインは、その後521系の初期車、キハ127系、えちごトキめき鉄道ET127形へも引き継がれました。なお、試験車両として「U@tech」用の9000番台もありますが、こちらは撮影できていません。



223系0番台。前照灯が丸い2灯色になっており、後に作られた番台と外観上一番異なるところになっています。近年はリニューアル工事が進んでいます



223系1000番台。新快速用に投入された車両で、正面の前照灯がやや横長くなっています。近年になってリニューアル工事とともに指定席車両のAシートが登場しました




223系2000番台。新快速用に投入された車両で、223系の中でも最も多く製造されていて、以降の223系の基本形式となりました


阪和線・紀勢本線用223系2500番台。223系0番台の増備車に当たり、最初は先頭車だけ作られて中間車は編成組み換えで余った0番台を使用しました。その後2500番台のみの編成も製造されています。


快速「マリンライナー」用5000番台。快速「マリンライナー」は5両編成のうち3両をJR四国の5000系(223系5000番台ベースの車両)、2両をJR西日本の223系5000番台で編成するのが通常です。多客時は223系5000番台をもう2両増結して7両編成で運行していたこともありました


福知山地域で運用される223系5500番台。福知山線の新三田〜福知山、山陰本線の園部〜豊岡、舞鶴線で主に運用されている2両編成です


223系6000番台。東海道・山陽本線の普通列車/快速列車用車両で、221系と同じ最高時速120km/hに性能を抑えています


281系
製造1994年〜1995年。関西空港の開港に伴い、国際観光都市の京都と関空を直結する直流特急形電車として登場したのが281系「はるか」です。関空と京都はつなぐものの、大阪駅については西九条〜新大阪を梅田貨物線経由となるので停車しません。基本編成が6両編成9本、付属編成が3両編成3本製造されました。当初は関空アクセス向けとしての性格が強かったのですが、一部を野洲まで運転区間を延伸した結果、大阪への着席特急としての需要を喚起することにもなりました。2019年ごろにはインバウンド需要の増加を受けて、付属編成の不足が問題となっていたために、付属編成用の271系が登場しましたが、2020年のデビュー前に新型コロナが直撃し、「はるか」自体が日中の運転がなくなるほど需要が減少してしまいました。なお、2019年から一部の編成にハローキティラッピングを施したところ好評であったことから、2020年までに順次全基本編成へラッピングが適用されました。


281系「はるか」。京都駅は専用の30番線発着となっています。


ハローキティラッピングとなった281系「はるか」


283系
製造1996年。阪和線・紀勢本線特急は381系「くろしお」で運行されていましたが、この一部を置き換えて列車高速化するために登場した制御式振り子を搭載した直流特急形電車です。当初は「スーパーくろしお(オーシャンアロー)」の列車名で運行されていましたが、のちに「オーシャンアロー」となり、愛称統一化で現在は「くろしお」となっています。基本6両編成2本、付属3両編成2本しかないので、故障時などは287系、289系で現在は代走されることになっています。先頭車は流線型タイプと貫通扉タイプがあります。運用区間は京都〜新宮ですが、「はるか」と同じく梅田貨物線経由運転のため、大阪駅は停車しません。




283系。運用区間の変更はないのですが、二度列車愛称が変わりました


300系3000番台
製造1992年〜1994年。JR東海が開発した「のぞみ」用新幹線300系の仕様そのままでJR西日本向けに製造されたのが300系3000番台です。見た目は基本的にJR東海車のJ編成と一緒なので、車両番号が3000番台であることや、編成がF編成であることを確認しないと気がつきませんでした。F編成は9編成が製造されましたが、いずれも2010年〜2011年に廃車されています。


300系3000番台。J編成57本に対して、F編成は9本だったので、F編成に当たる確率は全編成在籍時でも13.7%に過ぎませんでした


500系900番台
製造1992年。300系の登場で東海道・山陽新幹線は従来の最高速度220km/hから270km/hまで一気に50km/h向上することになりましたが、JR西日本では大阪〜博多において航空機との競争を抱えており、さらなる高速化が必要とされていました。そこで、JR西日本では山陽新幹線用試験車両として次の形式で予定していた番号である500系の900番台を名乗る「WIN350」を製造し、350km/hでの運転を目指した試験を開始しました。実際に最高速度は350.4km/hを記録していますが、騒音制限やブレーキ制動距離の関係から500系は300km/hに納まりました。1996年に試験を終えて廃車され、先頭車のうち片側が米原の鉄道総研風洞技術センター、もう片側がJR西日本の博多総合車両所に保存されています。


米原に保存されている500系900番台「WIN350」の先頭車。近江鉄道の車内から姿を見られます


500系
製造1996年〜1998年。500系900番台「WIN350」の試験結果から製造された新幹線です。航空機のような長く鋭い先頭車と、車体自体も丸みを帯びており、新幹線史上最もかっこいい新幹線として名前をあげられる形式です。16両編成のW編成が9本製造され、当初は山陽新幹線専用、のちに東海道新幹線乗り入れで「のぞみ」としての運用を開始しました。国内では初となる営業運転速度300km/h(東海道新幹線内は270km/h)を達成し、山陽新幹線の高速化に寄与しました。反面、その独特の車体の制限から、300系と座席配置が異なり(300系1323名に対し500系1324名)、また先頭車の両端には昇降扉を設けることができず、300系や700系と共通運用にすることができませんでした。2007年にN700系の投入により東海道新幹線への直通運用から徐々に撤退し、2010年に山陽新幹線運用のみに戻りました。また、2008年より0系、100系「こだま」置き換えのために8両編成化して「こだま」運用に就くようになりました。現在は8両編成V編成8本が運用中です。このうちV2編成が2015年11月〜2018年5月に「500 TYPE EVA」、2018年6月以降は「ハローキティ新幹線」として運行されています。なお、W1編成の先頭車1両は京都鉄道博物館に保存されたので、V1編成が欠番になっています。



16両編成当時の500系W編成。車内は700系よりも狭いですが選んでこの車両に乗ったりしていました



8両化した500系V編成。山陽新幹線の「こだま」の一部で運用されています



「500 TYPE EVA」。博多側の先頭車は1両丸ごと座席をなくしており、エヴァンゲリオンの実物大コックピットを再現した展示・体験ルームになっていました。博多側の2号車は肘掛けやカバー、床面や貫通扉などに装飾を施し、作品の世界観を表現した「特別内装車」としていました



「ハローキティ新幹線」。「500 TYPE EVA」と同様に博多側の先頭車は1両丸ごと座席をなくしており、物販カウンターが設置され、博多側の2号車は特別内装車の「KAWAII! ROOM」となり、記念撮影用の等身大キティが設置されています


681系
製造1992年〜1997年。大阪と金沢、富山を結ぶ特急には485系による「雷鳥」「スーパー雷鳥」が運行されていましたが、高速化と車内サービス向上のために、新形式特急として1992年に先行試作車が登場したのが681系です。当時在来線最速の130km/h運転、最高速度160km/hに対応した設計で登場しました。基本6両編成、付属3両編成で、量産車は1995年から登場し、北越急行でも1996年に「はくたか」用2000番台を製造しています。また、先行試作車はのちに付属編成が廃車され、基本編成が1000番台として残存します。先行試作車は臨時雷鳥で運行開始後、量産車登場とともに「雷鳥(サンダーバード)」となり、1997年から「サンダーバード」の愛称になりました。その後、1997年の北越急行開業に伴う「はくたか」営業開始により、一部は「サンダーバード」から「はくたか」へ転用されました。これにより、設計最高速度だった160km/h運転が行われています。2015年の北陸新幹線開業に伴い北越急行車をJR西日本が買取の上、681系の大半は「しらさぎ」へ転用されましたが、現在でも一部は「サンダーバード」で運行されています。なお、一時期に富山地方鉄道や信越本線長野駅や新潟駅への乗り入れも行われていました。


先行試作車1000番台。流線型先頭車のスカート部に穴があるのが見分けるポイントです




「サンダーバード」仕様の681系。貫通扉の先頭車は後継の683系と見た目が同じで、見分けがつきません


「はくたか」運用時代の681系。北越急行内で160km/h運転を行い、当時在来線最速を誇りました




現在主な運用となっている「しらさぎ」です。側面の帯色が変更されました。なお、一部に元北越急行の2000番台がいます


キハ120形
製造1991年〜1996年。キハ20系、35系、45系、58系の国鉄形気動車が残っていた路線において、輸送力の適正化と老朽化置き換えのために投入された16m級の小型気動車です。新潟鐵工所のNDCシリーズの第1世代に該当し、最初の200番台は鋼鉄車でしたが、2次車0番台、3次車300番台はステンレス製車体となっています。0番台のみがロングシートで、200番台と300番台はセミクロスシートです。当初は全車両トイレ無しで登場しましたが、投入線区が無人駅だらけの閑散路線ばかりであり、運行時間の長い運用もあることから、地元要望もあって後にトイレが設置されました。JR西日本の閑散路線での主力となっており、現在は大糸線、高山本線、越美北線、関西本線、姫新線、因美線、津山線、芸備線、木次線、福塩線、山口線、美祢線、山陰本線などで運用されています。以前は廃線となった三江線、富山ライトレールになった富山港線でも運用されていました。近年はリニューアル工事により、前照灯がLEDに変更されました。



越美北線色のキハ120形200番台。導入当時は上の写真の独自の塗装でしたが、その後の塗装統一化で朱色にされました。もっとも、ラッピング車の方が多くて(5両中3両)朱色を全然見ないのですが



高山色のキハ120形300番台。前面の片側が赤色、もう片側が緑色で側面の帯も左右で異なり、前後左右で塗装が違う珍しいタイプです。導入当初は富山港線でも運用されましたが、現在は高山本線でのみ運用されています



亀山色のキハ120形。関西本線の亀山〜加茂で運用されており、0番台と300番台があります



岡山色のキハ120形300番台。岡山支社の車両は、津山線、因美線、姫新線で運用されます。大糸線に転用された車両は所属上は金沢支社ですが、岡山色のまま運行されています




木次色のキハ120形。木次線用には200番台3両、0番台5両が投入されていて、主に木次線と一部山陰本線を運転しています



広島色のキハ120形。広島色は0番台と300番台がいて、主に福塩線、芸備線で運用されます



浜田色のキハ120形300番台。三江線はこの車両でしたが、三江線の廃止後は運用に余裕があるようで、他の支社の車両検査中などに貸し出されることが多く、大糸線や芸備線でも姿を見ました。現在の運用は山陰本線の出雲市〜益田が中心です




美祢色のキハ120形。美祢線は主に0番台が投入されていて(美祢色の300番台もあり)、美祢線のほか、山口線や山陰本線の長門市支線などで運用されています。

以上です。
競争の激しい関西地域や山陽新幹線の車両投入以外は、老朽化した国鉄車の置き換えでキハ120形のみというJR西日本でした。気動車特急も抱えるJR西日本ですが、最初の新形式気動車特急導入は2000年以降に製造されたキハ187系でしたので、今回の基準対象外となりました。
次回は種類がかなり少ないですがJR四国になります。
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