子供の頃、「木は枝が広がっている範囲に根を広げている」と聞いてなんだか不思議な感動をした覚えがあります。地上生活者である私たちは地下のことはわかりません。わからないだけに、地下のことをいろいろ想像したりもしました。地下の想像の話は心を魅きつけるものがあります。
このケヤキはまるで熱帯の板根を思わせるほど根が高いところからありますが、高いところから出ているのではなく、地表が削られてへってゆき、露出したのです。あまり目にしない根ですが、こうして地表に出たものを見ると、たしかに枝に匹敵するほど広がっていそうだし、大きな木の体を支えるための構造に機能美が感じられます。
根から受ける印象は、合理的に考えれば機能美で言い尽くされますが、私たちはやはり地下で幹を支えているということに、文字通り縁の下の力持ちの姿勢を重ねて、敬意のような気持ちを感じずにはいられません。
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