劣化ウラン200トン 化学メーカー4工場に眠る。
8月27日付けの日本経済新聞によると、1960年代後半から70年代前半にかけ、化学メーカーで触媒として用いられた劣化ウラン約200トンが、今も国内の大手4社の敷地内に、貯蔵されたままになっているという。
劣化ウランは、原子炉等規正法に基づき厳重に管理されており、国際原子力機関(IAEA)の査察も受けている。これまでに放射能漏れなどの事故は起きていない。
約68.8トンを貯蔵している住友化学工業は、「工場内に占める管理区域はごくわずかで、保管状況のチェック費用も年間数万円から数十万円程度」というが、「核燃料物質なだけに、早く処分したい」と、三井化学(約71.1トン)、昭和電工(約44.5トン)、旭化成工業(約8.5トン)とともに口をそろえる。
国の原子力委員会は今年3月、ようやく触媒用劣化ウランの処分方法の検討に入り、年内には基本方針をまとめたいとしているが、処分を始める時期のめどはたっていない。
劣化ウラン研究会ニュースレター 第3号(2000年10月発行)
からの抜粋です。
22日未明、三井化学大竹工場(山口県和木町、広島県大竹市)~出火後、二日間爆発と炎上を繰り返しました。この事故について、画面上で皆さんに、どの様に報告する事が一番良いか、考えていました。今回の事故で、皆さんと共に考えていかなくてはならない事が、2点あります。第1点目は工場に使われていた、石綿製のスレートや、保温材や耐火材として使われたアスベストが、爆発により広範囲に飛散したことです。第2点目は、劣化ウランが大量に保管されていた事です。山口県は劣化ウランの飛散は無かったと言っているようですが、正式な事実表明ではありません。過去に劣化ウランを触媒として使用してきたことさえ公表されてきませんでした。今回、元従業員の証言から検証を始めた民間組織によって、始めてその事実を知った市民の方が多いのです。劣化ウランもWHOや、ILOの指摘を受け、その使用を中止しましたが、まさか今日までドラム缶で保存されていようとは。考えても背筋が寒くなる思いです。核物質に対する感覚の麻痺を疑わざるを得ません。ここに登場した4社はいづれも、原発ファミリー企業です。一説では、原発マフィアとも呼ぶようですが、彼らの言い分は「早く処理したかったが、国が指針を示してくれ無かった。」の一言だったようです。自分たちの利益追求のために利用した危険物を、自らの手で処理しようとする姿勢など微塵も感じられません。今日広島市内では、若者の間でこんな会話が交わされていました。喫茶店での事ですが。
「原発は即時停止破棄すべき、むしろ核爆弾を保有しろ」一瞬耳を疑いましたが、「これまで核爆弾の事故は無かった。」「核が無いから中国と対等に外交が出来ない。」核の惨状の中から今日の広島を築き上げた先人たちが聞いたらどんな顔をするだろうかと考え込みました。劣化ウラン200トンが無防備で、日本の工場内敷地に放置されている事実。この施設を、震度7の地震が襲ったらと、思うと今更ながら国の無策を感じます。