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「怖い絵」死と乙女篇

2014-09-26 20:56:40 | 読む
中野京子「怖い絵 死と乙女篇」角川文庫

このシリーズの3作目。
1と2は出てるのをチラチラ横目に見てはいたんだけど、
なにしろ題名が「怖い絵」でしょう、
そしてカバー表紙に使われてる絵が処刑される女の絵だったりして、
買わないでいた。
この3作目の表紙絵を見て、わ、買おうとサッと買ったのであった。

腕組みして仁王立ちしている豪華な衣装の女。
ものすっごく怒っている、その顔。
目力なんてもんじゃない、目から炎が出そう。

この絵、ロシアの皇女よね、弟と政争の末、幽閉される。
幽閉されている部屋の窓の外には、彼女に味方した者の死体が吊り下げられている。
(それはうっすら見えるだけですけど)
この絵は前に解説記事を読んで、凄まじくておもしろくて、記憶に残ってた。
この絵に魅かれてサッと買ってしまったこの本は、大変におもしろうございました!

怖い絵といっても、残虐な絵が並んでるわけじゃなくて、
その絵の背景にある事情や謎やエピソードが、
人間てこんなだよねえという解説で紹介されている。
怖い絵というのは、ひとは怖いねという感じかな。

きちんと歴史的ではあるけど、
著者はたぶんかなり自分の感覚で、わー、これこれ!と思うところを書いてるんだと思う。
そこが、美術解説書ではなく、おもしろい読み物になってるのね。

そして私は、1と2も買ってしまったのであった。
コメント
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