よむよま

よむ・よまない、それから。

八月納涼歌舞伎2024第二部

2024-08-16 13:33:12 | 見る
納涼歌舞伎第二部は勘九郎さん初役の「髪結い新三」
これが予想外に(と言ったら失礼だけど)よかったのです!
初役だし、お父さんの新三が私はあまり好きじゃなかったので、ちょっと危ぶんでいたのですが、こんなにいいとは!
 一幕の白子屋見世先の場の髪結いシーン、ここは見せ場ではあるけど、お父さんはかなり見せる気満々で、ちょっとやり過ぎ、わざとらしかった。肝心の忠七をだます芝居が見えなくなるくらい。しかし、勘九郎さんはそういうわざとらしさがまったくなくて、すっきりしてたんですよ。新三は(悪役だけど)とにかくすっきり、粋じゃないといけないの、何が何でも。これが江戸っ子か!って感じじゃないとね。
 永代橋の、ワルの正体をあらわすところもカッコよかった(きれいな脚のラインも含めて)。傘の扱いも重要。特に、去り際、クルっと回してスパンと開いて捨て台詞というところは、きれいに決まらないと話にならないもんね。(ここで開き損ねた人って見たことないけど、以前、舞踊でこの開き方をした松也くんがオチョコにしちゃってたのを見てびっくりしたことがある)
 二幕の長屋の場でのやりとりの緩急も見事で、ここがちょっと?という箇所はなかったと思う。彌十郎さんの家主もよかったし、テンポ、愛嬌、安心して見ていられた。
 勘九郎さんの持っている鋭角的なキリっと感は、お父さんもお祖父さんも持っていなかったもの。この世代で江戸っ子の佇まいが見せられるのはすごいと思う。
 白子屋のお熊は鶴松くん、とってもかわいい、都会のお嬢様よりお光のほうが似合ってるとは思うけど。忠七は七之助、弥太五郎源七は幸四郎(ちょっと若く見えちゃうかな)、新三の手下の勝奴は巳之助(ちょっと老けて見えるかな)、全体のバランスもいい舞台だった。
 終幕、待ち伏せの源七と新三の立ち回りが少しあってから、二人が居住まいを正してご挨拶で終わったのだが、本日はこれぎりではなくて「この後の所作事をご覧いただきますよう」というご挨拶だったの、初めて見た。このお芝居で終わりじゃないからだね。

舞踊「紅翫」(べにかん)
 橋之助さん主役で、若手ばかりずらっと並べて、江戸の習俗を見せる踊り。この主役の踊りはずいぶん難しいのね、非常に技巧的で。いろんな芝居の名場面集みたいになっていて、次々と変わっていくのを踊り分けて見せる。橋之助さんはきちっと踊っていて、好感!でした。
 二本ともおもしろく見られて、第二部、とても楽しかった!
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八月納涼歌舞伎2024第一部

2024-08-05 21:33:18 | 見る

今月は納涼(若手中心)なので三部制、勘九郎さんは全部に出てるので全部見る。今日は第一部。

お芝居「ゆうれい貸屋」
 怠け者の桶職人の弥六(巳之助)の長屋に辰巳芸者の幽霊(児太郎)が現れて、恨みを晴らしたい人に幽霊を貸し出す商売をしようと持ち掛ける。自分のほかにまじめな屑屋(勘九郎)爺さん(94歳の寿猿さん)婆さん(喜太郎)浮気な町娘(鶴松)の幽霊を呼び出して、お客の用途に合わせて派遣する。なんやかんやあって、まじめな屑屋に「人生、生きていてこそだ。生きている間をこそ、大切にしなければ」と言われて目覚めた弥六がまっとうな職人に立ち帰り、実家に帰っていた女房も戻ってきて、幽霊も成仏して、ハッピーエンドに終わるコメディ。
 巳之助・児太郎コンビ、全然悪くない。ほかの人たちも、テンポ悪いとかへたとか、そんなことないんだけど、勘九郎さんの屑屋が登場すると、空気が変わると言いますか、芝居がうまくてホッとするの。急にテンポがはずむ?立体的になる?という感じなんですよ。
 前にもそういうことがあったんですね。鶴松くん主演の「豊志賀の死」で、勘九郎さんが登場すると客席がホッとするという現象が。鶴松くん緊張した大熱演だったのでね。
 今回、勘ちゃんほんとにうまい役者になったんだねと思いました。あと、新悟さんの女房がとってもよかった。首から腕へのラインがきれいで。

舞踊「鵜の殿様」
 NHKアナの山川静夫さんがむかし脚本を書いた狂言舞踊なんだそうです。幸四郎・染五郎父子が今年博多座で上演して好評につき、歌舞伎座初演となった。
 鵜飼いというものをやってみたいと言う大名(染五郎)、日ごろのうっぷんを晴らそうとする太郎冠者(幸四郎)が、大名に鵜の役をやらせて、縄を巻く所作をして、その縄を引っ張って、大名がこけつまろびつの大騒動!やがて、大名が役を交替して、今度は太郎冠者がこけつまろびつ!三人の腰元(笑也・宗之助・高麗蔵)が鵜の役をやってます。
 縄はエアなので、二人が息を合わせて、引っ張り・引っ張られるのを見せないといけない。大名は長袴だし、盛大に転んでるので、これ一ヶ月やるのは大変そう。お父さんともどもお怪我のないように。染五郎くんが演技力上がったんだなと思いましたね。この子、素質ないのかしらと思ってましたけども。
 楽しい舞踊でしたが、似た趣向の「棒しばり」に比べると、ちょっと長いなぁと感じちゃうかな。たぶん、転ぶ繰り返しが単調なのかな。
 でも、お気楽で楽しい二本でした。暑気払い!
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