田中雄二の「映画の王様」

映画のことなら何でも書く

『トイ・ストーリー2』

2019-06-25 17:50:22 | 映画いろいろ
『トイ・ストーリー2』(2006.6.5.)
 
   
 
 今回は悪徳おもちゃバイヤーに連れ去られたウッディの奪還をめぐる冒険がストーリーの中心になるが、前作以上におもちゃの悲哀が描かれ、ホロリとさせられる。いずれは子どもに捨てられるのだから、日本の博物館に売られた方がいいなんて…。
 
 とは言え、西部劇あり、『スター・ウォーズ』ありのパロディーも秀逸で、全体の出来は『トイ・ストーリー』よりもこちらの方がいいと思う。わがお気に入りのキャラクターは小さなコンバットたちとスリンキー・ドッグだ。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『トイ・ストーリー3』

2019-06-25 10:19:52 | 映画いろいろ
『トイ・ストーリー3』(2010.9.18.MOVIX亀有)

  

 冒頭は、西部劇の列車強盗のシーンで快調に始まる。ところがこれは過去の話。実は、今回はおもちゃの持ち主のアンディが成長し、大学に進学するために家を離れることになり…というのがメーンストーリー。つまり大切なものとの別れがテーマになっている。

 アンディは自分たちを捨てないと信じ続けるおもちゃたちの健気な姿に胸を打たれるが、このシリーズ、回を重ねるごとに切なさが増してくる。それは、例えば、子どもの頃、狭い我が家では、泣く泣く捨てたおもちゃや本がたくさんあった。そんなことを思い出したりするせいだろうか。
 
 今回の新キャラの中では、グロテスクだが悲しくも滑稽なジャイアントベビーが傑作。ラストでカウボーイ人形のウッディが持ち主だったアンディに贈る「あばよ相棒」の一言が西部劇的であり、シリーズを締めくくる意味でもぐっときた。ウッディの声を演じ続けたトム・ハンクスにも拍手を送りたい。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『トイ・ストーリー4』

2019-06-25 08:39:30 | 新作映画を見てみた
『トイ・ストーリー4』(19)(2019.6.24.ディズニー試写室)
 
  
 
 最初の『トイ・ストーリー』(95)から24年、前作『トイ・ストーリー3』(10)から9年がたち、アンディと別れたウッディたちは、新たな持ち主となったボニーと暮していた。そんな彼らの前に、ボニーの手作りおもちゃのフォーキーが現れる。自分をゴミだと思い込み、逃げ出したフォーキーの後を追って、冒険の旅に出たウッディは、かつての仲間のボー・ピープや、子供から一度も愛されたことのないギャビー・ギャビー、バイクスタントマンのデューク・カブーンたちと出会う。そしてウッディはある決断をすることになる。
 
 『トイ・ストーリー3』で一度きれいに完結したのだが、今回はそこからの“終わりの始まり”のようなストーリーの中で、ウッディに変化を促すキャラクターとしてボーを復帰させ、ウッディの選択を描く。
 
 確かに、ウッディたちを、一度も行ったことがない場所(アンティークショップ、移動遊園地)に放り込むことで、新たなキャラクター、騒動、アクションを生み出してはいるが、やはり“後日談”という印象は拭い切れない。ただ、この映画のラストを見ると、また“続き”が作れるようにしたかったのでは…と思えなくもない。その点で、ちょっと複雑な思いがした。それにしても、相変わらずトム・ハンクスのウッディはお見事だ。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『張り込み』

2019-06-24 12:14:56 | 映画いろいろ
『張り込み』(87)(1991.6.29.)
 
 
 シアトル市警のクリス(リチャード・ドレイファス)とビル(エミリオ・エステベス)は、脱獄犯の元恋人マリア(マデリーン・ストウ)の家を、24時間態勢で監視することになる。
 
 “のぞき”を扱ったヒッチコックの『裏窓』(54)のパクリは、ブライアン・デ・パルマの『ボディ・ダブル』(84)が代表格だが、この映画やバート・レイノルズの『シャーキーズ・マシーン』(81)のように、刑事の張り込みに利用するという手もあった。ただ、本家『裏窓』の“偶然ののぞき”と、張り込みという“必然ののぞき”は違うので、そちらはほどほどにして、張り込み先の美女と刑事の恋という設定を加えて、見る側の興味を引かなければならない。その点、『シャーキーズ・マシーン』はレイチェル・ウォード、この映画はストウの魅力に負うところが大きい。
 
 監督のジョン・バダムは、このところ軽いタッチの快作を連発しているだけあって、この映画も肩の凝らないアクションコメディとして面白く仕上げている。どんな映画でも2割8分は打てるしたたかな職人監督になってきたようだ。
 
 もう一つ、この映画を面白くしているのはドレイファスの味のある演技である。もはや全盛期には戻れないにしても、一時のスランプを思えば、徐々に復活の兆しを見せ始めているのは喜ばしい。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『姿三四郎』の蓮の花

2019-06-24 09:48:38 | 雄二旅日記

 

 家の近所にある水元公園の池に咲く蓮の花を見ていたら、黒澤明監督のデビュー作『姿三四郎』(43)で、師匠の矢野正五郎(大河内伝次郎)に反発し、池に飛び込んだ三四郎(藤田進)が、池に咲く蓮の花を見て悟りを開くシーンが思い出された。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

“呪われた”『西部の人』

2019-06-24 08:21:51 | 1950年代小型パンフレット
『西部の人』(58)
 
   
 
 過去の悪事を隠し、今は更生した男(ゲーリー・クーパー)が、図らずも、彼の過去を知る男(リー・J・コッブ)と再会してしまう、という因果を描いた西部劇。
 
 『怒りの河』(52)『裸の拍車』(53)『ララミーから来た男』(55)でジェームズ・スチュワートをいじめてみせたアンソニー・マン監督が、この映画では老いたクーパーを苦しめている感じがする。また共演のジュリー・ロンドンにストリップを強要するシーンもあり、マンのサディスティックな一面が垣間見える映画だと言ってもいい。製作はウォルター・ミリッシュ。脚本はレジナルド・ローズ。
 
 先日、妻が知人からジュリー・ロンドンのCDを譲られたことから、この映画が見てみたいと言い出した。家にはDVDがなかったので、ネットでTSUTAYAの在庫を調べてみたら、松戸店にあるというので、まず確認の電話をしてみたが出ない。仕方がないので直接店に行ってみると棚に該当の商品はなく、結局この店にはもう『西部の人』は存在しないことが分かった。
 
 仕方がないので他の店舗を調べてみたら、北千住と亀有にあるという。ところが行ってみるとどちらも松戸と同じ結果だった。まさに“呪われた”『西部の人』という感じで、こうした映画のレンタルDVDが置かれている状況を象徴しているとも思えたが、それはそれとして、自分のような少数派の客もいるのだから、これはきちんと「在庫なし」にしておくべき。TSUTAYAには、もう少し在庫管理をしっかりやってほしいと強く感じた。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『映画の森』「2019年6月の映画」

2019-06-23 09:16:10 | 映画の森

共同通信社が発行する週刊誌『Kyoudo Weekly』(共同ウイークリー)6月23日号で、『映画の森』と題したコラムページに「6月の映画」として5本を紹介。独断と偏見による五つ星満点で評価した。

「怪獣映画を見た!」という気分になれる『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』☆☆☆☆
名作アニメを27年ぶりに実写映画化『アラジン』☆☆☆
X-MENシリーズの最終章『X-MEN:ダーク・フェニックス』☆☆
世界一の大煙突を建設した人々『ある町の高い煙突』 ☆☆☆
娘にメッセージ弁当を作り続けた母『今日も嫌がらせ弁当』☆☆

クリックすると拡大します↓

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【ほぼ週刊映画コラム】『ある町の高い煙突』

2019-06-22 16:34:56 | ほぼ週刊映画コラム

エンタメOVOに連載中の
『ほぼ週刊映画コラム』

今週は

現代にも通じる、知られざる歴史を描いた
『ある町の高い煙突』

 

詳細はこちら↓
https://tvfan.kyodo.co.jp/feature-interview/column/week-movie-c/1192398

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『暴行』

2019-06-22 14:43:47 | 映画いろいろ
『暴行』(64)(2008.4.18.)
 
 
 南北戦争後の西部の炭鉱町。鉄道の駅で牧師とペテン師と炭鉱業者が昨日あった裁判について語り合っていた。それはメキシコ人の盗賊が旅の夫婦を襲った事件で、妻は暴行され、夫は殺された。だが彼らの陳述は食い違い、ペテン師は「人間はみんな嘘つきだ」と言い、牧師は人間不信に陥る。 

 黒澤明監督の『羅生門』(50)のリメーク版。黒澤と橋本忍の脚本を基に、マイケルとフェイのケニン夫妻が舞台劇として脚色。それをマイケルが映画用にシナリオ化し、時代と舞台を1870年代の南北戦争後の西部に置き換えたが、これはこれで面白かった。要は人間の営みは国が違ってもあまり変わらないということか。

 それぞれを『羅生門』に当てはめると、ポール・ニューマン(三船敏郎)、ローレンス・ハーベー(森雅之)、クレア・ブルーム(京マチ子)、エドワード・G・ロビンソン(上田吉二郎)、ウィリアム・シャトナー(千秋実)、ハワード・ダ・シルバ(志村喬)、監督マーティン・リット(黒澤明)、脚本マイケル・ケニン(橋本忍)、撮影ジェームズ・ウォン・ハウ(宮川一夫)ということになる。両作で大きく違うのは音楽で、早坂文雄のボレロ調とアレックス・ノースの甘美なメロディーは全くの別物だった。

 当初、ニューマンは『羅生門』で三船が演じ、舞台版でロッド・スタイガーが演じた盗賊役に対して乗り気ではなかったが、マーロン・ブランドが映画版の脚本を気に入って、やる気を示したことを聞いて引き受けたという。そして気心の知れたリット監督のもと、茶色のコンタクトレンズと黒いかつらを付け、さらに凝ったメークとひげ面でメキシコ人の盗賊に変身して熱演を見せた。ニューマンは本作を「お気に入りの1本」に挙げるが、興行的には失敗した。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ジョニー・マーサーとクリント・イーストウッド

2019-06-20 10:13:32 | 雄二旅日記
 
 神保町のジャズ・オリンパスで月に一度開催される「ジャズ・コレクターズ・クラブ」のコンサートで、キャピトル・レコードの設立者の一人としても知られるジョニー・マーサーが作詞した曲の特集を聴いた。マーサーは映画音楽の世界でも有名で、アカデミー賞も4度受賞しているが、日本未公開の映画も多い。
 
 代表曲は、フランク・キャプラ監督の『花婿来たる』(51)でビング・クロスビーとジェーン・ワイマンが歌った「In the Cool, Cool, Cool of the Evening=冷たき宵に」(作曲ホーギー・カーマイケル) 、ブレーク・エドワーズ監督の『ティファニーで朝食を』(61)の「ムーン・リバー」、同じく『酒とバラの日々』(62)、スターンリー・ドーネン監督の『シャレード』(63)の作曲はいずれもヘンリー・マンシーニだ。マルセル・カルネ監督『夜の門』(49)の挿入歌「枯葉」(作曲ジョセフ・コズマ)の英詞でも知られる。
 
 クリント・イーストウッドが監督し、マーサーの故郷サバナを舞台にした『真夜中のサバナ』(97)ではマーサーの墓や邸宅が映り、彼が関わった曲も流れる。さらにイーストウッドはドキュメンタリー映画『Johnny Mercer: The Dream's On Me』(09)の製作総指揮もしている。ジャズ通でも知られるイーストウッドは、マーサーに対する強い思い入れがあるのだろう。
 
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする