『僕らのミライへ逆回転』(2008.10.14.)
新聞での評判を目にして見に行った。旧式のレンタルビデオ店を舞台に、中身が消えてしまったビデオテープの代替に撮り始めたリメーク映画が大受けして…という、まるで「風が吹けば桶屋が儲かる」あるいは「瓢箪から駒」みたいな話が展開される。
この映画の原題は『Be Kind Rewind』。つまりレンタルビデオ店の決まり文句である「テープは巻き戻して返却して」という意味。
核となる映画内映画の「ファッツ・ウォーラーの伝記」が、映画の最初と最後に映されるように、この映画の全体の構成も“巻き戻し”だから、タイトルにもそれなりに意味が込められているわけだ。
で、映画撮影の熱気や狂気、あるいは珍アイデアを通して、CG全盛、大作主義、レンタルビデオ店の無個性化など、今の映画界が抱えるさまざまな問題が浮かび上がってくるのだが、日本語のタイトルが、ひねり過ぎて結局よく分からなくなっている。
映画全体も、盛り込み過ぎの脚本が消化しきれなかったためか、おバカパロディー満載のドタバタコメディーからラストのハートウォーム上映会へのつながりが弱くなってしまったのが残念。
ミッシェル・ゴンドリー、今回は(も?)策士策に溺れたの感がある。ただ、『素晴らしき哉、人生!』(46)と『ニュー・シネマ・パラダイス』(88)が合体したようなラストには、ちょっとうるっときたところもあった。映画好きは、こういうシーンにはからきし弱くて点数が甘くなるところがある。何々、それもゴンドリーの策のうちだって?
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