『エクスペンダブルズ』(10)(2010.10.16.MOVIX亀有)
『ロッキー』シリーズも『ランボー』シリーズも終わり、どうするスタローンなどと心配していたら、なんと“リーサルウエポン(最終兵器)”を繰り出してきた。1980~90年代に自分としのぎを削った、あるいは自分の後を追ってきたアクションスターたちをかき集めてロートル傭兵軍団の映画を作ったのだ。
これは最近の『特攻野郎Aチーム THE MOVIE』(10)を意識したのか、なんだか昔の『ワイルド・ギース』(78)みたいじゃないか、などとわずかでも期待したなら、すでにスタローンの術中にはまっている。
まずは“エクスペンダブルズ=消耗品”というタイトルで引きつける。この映画の乗りは、例えば、かつては敵対していた(そういうふりをさせられていた)花形ロックバンド同士が、懐かしのロックフェスティバルか何かで、恩讐を超えて同じステージに立つ、あるいは絶対に闘わなかった格闘技の選手同士が同じリングに立つという構図に似ている。
ファンはそこに時代の流れを感じ、さまざまな思いを巡らせ…と、これは興行側に完全に乗せられているのだが、そうした心理を巧みに突いてくるところがある。ずるいぞスタローン。
で、見てみるともちろん中身にはひねりも深みもない。メンバー集めには『七人の侍』(54)のような手法もありだと思うが、そんな面倒くさいことはしない。ただ、ど派手なアクションとドンパチを見せるだけの映画なのだが、ストーリーも役者もこちらの予想通りに動いていくので、予定調和の楽しさを感じることができる。
ミッキー・ロークのくさい芝居、ジェット・リーの存在感、ドルフ・ラングレンはこれが新境地なのか?、ジェイソン・ステイサムはもうけ役だが、おいしいところはちゃんと自分が持っていくスタローン…。
けれども、いい年をしたおっさんたちが本気になって見せる生身のアクションはやはりすごいと思わせ、多分、シリーズ化もされるだろう。というわけで、最後にはスタローンのしたたかさに舌を巻くことになる。
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