『将軍 SHOGUN』(80)(1980.11.14.渋谷宝塚)
オランダ船のイギリス人航海士ジョン・ブラックソーン(リチャード・チェンバレン)は、江戸時代初期の日本に漂着。武将の吉井虎長(三船敏郎)らと関わりながら、日本で生きていくことになる。
『大脱走』(63)の脚本を書いたジェームズ・クラベルの小説をテレビドラマ化したものを編集して劇場公開。ブラックソーンのモデルは、徳川家康に仕えたイギリス人航海士ウィリアム・アダムス(三浦按針)。ブラックソーンと恋に落ちる戸田まり子を演じた島田陽子が評判となった。
アメリカで好評を得たドラマということで、期待したものの、日本のイメージは、20数年前の『黒船』(58)とあまり変わっていないのだなと感じた。
どちらも、権力に利用された日本人女性の悲劇を描いているが、それはうわべだけ(宣伝文句の“東洋の『風と共に去りぬ』”には笑った)。
まあ、武士道を意外とまともに描いているところはあるものの、彼らには日本人は自分たちとは違う人種という意識があるのだろう。だから、切腹だの、斬首だのといった、今の日本人ですら忘れかけている、過去の残酷処刑ばかりを強調するのだ。
アメリカでこのドラマがブームを呼んだ理由はどこにあるのだろう。乱れた世に虎長という絶対的な強さを持った権力者が現れて国を治めていくさまに、強い指導者を欲するアメリカ人たちが憧れを感じたのかもしれないし、進境著しい日本に畏怖を感じたからなのかもしれない。
三船、島田のほか、金子信雄お得意のずる賢い人物像、喜劇の多いフランキー堺の重厚な演技(『チャイナ・シンドローム』(79)を見た時に、ジャック・レモンのような俳優は日本にはいないと書いたが、フランキーがいた!)など、日本側の俳優たちの演技が光っていたところが救いであった。
名セリフ「まだ日はあんなに高いわ」(戸田まり子)
【今の一言】思えば、このドラマで必要以上に受けてしまったことが、この後の島田陽子の人生を狂わせてしまったとも思える。
『犬神家の一族』(76)
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/8a3ea11048287138d4a7de3d9183c507
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます