『アビゲイル』(2024.7.6.東宝東和試写室)
互いに面識のない、元刑事のフランク(ダン・スティーブンス)、巨漢の用心棒ピーター(ケビン・デュラント)、すご腕ハッカーのサミー(キャスリン・ニュートン)、元狙撃兵のリックルズ(ウィル・キャトレット)、逃走車ドライバーのディーン(アンガス・クラウド)、医師のジョーイ(メリッサ・バレラ)という6人の男女。
指示役のランバート(ジャンカルロ・エスポジート)によって集められ、名付けられたた彼らは、富豪の娘であるバレリーナの少女アビゲイル(アリーシャ・ウィアー)を誘拐する。
計画は順調に進み、あとは郊外の屋敷で少女をひと晩監視するだけで多額の報酬が手に入るはずだった。だが、実は少女の正体は恐ろしい吸血鬼だった。少女を監禁するはずが逆に屋敷に閉じ込められてしまった6人は、生きて脱出するべく悪戦苦闘するのだが…。
監督は『スクリーム』(22)のマット・ベティネッリ・オルピンとタイラー・ジレット。少女が吸血鬼という意外性と、彼女が誘拐した大人たちを襲うという逆転劇、そして屋敷内で繰り広げられる密室劇というアイデアが面白い。
ところで、6人の誘拐犯が人物を特定できないように、本名ではなくニックネームで互いを呼ぶようにされたのは、クエンティン・タランティーノの『レザボア・ドッグス』(92)からアイデアを拝借している。
なので、指示役のランバートが名付けた彼らのニックネームは、“ラット・パック”と呼ばれたシナトラ一家から、フランク(・シナトラ)、ジョーイ(・ビショップ)、サミー(・デイビス・ジュニア)、ピーター(・ローフォード)、ディーン(・マーティン)、(ドン・)リックルズとなる。
また、ワンシチュエーションの吸血鬼映画としては、タランティーノとロバート・ロドリゲス監督の『フロム・ダスク・ティル・ドーン』(96)を参考にしたと思われるところもあった。
といった具合に、いろいろと工夫は凝らしているのだが、いろいろな意味で終盤に失速するのが残念だった。
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