田中雄二の「映画の王様」

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『プリデスティネーション』

2017-08-01 00:39:00 | 映画いろいろ

“自分の尾を食べる蛇”のお話



 ロバート・A・ハインラインの「輪廻の蛇」を映画化したタイムパラドックスSF。一人の時間警察職員(イーサン・ホーク)の数奇な“宿命(プリデスティネーション)”を描く。

 ネタが割れてしまうと「何だ究極の自己愛物語じゃないか」となるので、何の予備知識も持たずに見た方がいい。輪廻や因果応報といった仏教的な趣もあるところが面白い。

 ホークにも増して、男女二役を演じたサラ・スヌークの妖しい魅力が光る。一人二役への思いは、一卵性双生児のピーター&マイケル・スピエリッグ兄弟監督なればこそか。

 日本でも同種のタイムマシンものの傑作として広瀬正の『マイナス・ゼロ』があるが、彼はハインラインの「時の門」を分析した文章を遺しているから、この「輪廻の蛇」の影響も受けていたのではないかと思われる。


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