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「午後のロードショー」『パトリオット・ゲーム』

2023-06-23 06:16:04 | ブラウン管の映画館

『パトリオット・ゲーム』(92)(1992.9.27.丸の内ピカデリー)

 

 CIAを辞したジャック・ライアン(ハリソン・フォード)は、妻(アン・アーチャー)子とロンドンを旅行中に、IRAのテロ襲撃事件に巻き込まれ、皇族一家を救うが、テロ集団から復讐の標的として命を狙われることになる。

 先の『エイリアン3』(92)に続いて、この映画も形は違うがいわゆる続編ものの一つである。ただし、この映画の場合は、前作『レッド・オクトーバーを追え!』(90)で、物足りなさを感じさせたアレック・ボールドウィンに代わって、フォードが主人公のジャック・ライアン演じた点と、冷戦終結後のこうしたアクション劇の新たな展開に興味を引かれた。

 もちろん、前作はショーン・コネリー扮するソ連原潜の艦長が主役で、ライアン役はあの程度で抑えておいて正解だったのかもしれないが、今回のライアン一家主体のストーリーではそうもいくまい。

 ところで、興味の2点の答えだが、まず、自分が“永遠の2割8分バッター”と呼んでいるフォードは、今回も過不足なく、そこそこの演技で乗り切り、少なくともこのシリーズをあと2本撮る予定なのだという。

 『エイリアン3』で、リプリー役に見事に決着を付けたシガーニ―・ウィーバーとは全く逆の安定志向が、彼にとってマイナスとならねばよいが、などと要らぬ心配をしてしまう。

 もっとも、これも、『スター・ウォーズ』『インディ・ジョーンズ』と、シリーズ物をこなして、俳優として大きくなってきた彼なりの計算があってのことなのだろう。

 続いて、2点目の冷戦終結後のニューアクションとしての展開だが、オーストラリア出身のフィリップ・ノイスが軽々とこなして、なかなか見応えのあるものになっていた。

 ただ、冷戦が終結したとはいえ、実際は民族紛争や内戦に形を変えて、この手の映画は、手を変え品を変えながら作り続けられていくのだろう。そう思うと、諦めややるせなさを感じることになる。

 ジョンが歌った「イマジン」や、最近宇宙に行った毛利衛さんの「宇宙から見れば国境なんてない。地球は一つ」という言葉も、結局は夢物語なのか。思えば愚かなことだ。


 


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