田中雄二の「映画の王様」

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底抜け、ジェリー・ルイスの思い出

2017-08-23 10:01:01 | 映画いろいろ

 ジェリー・ルイスが亡くなった。映画館で初めてルイスを見たのは、1983.10.24.大塚名画座での「ニコニコ大会」の時。

 併映はハロルド・ロイド主演の『ロイドの用(要)人無用』(23)『ロイドの(初恋)家庭サービス』(24)だった。
その際に書いたメモを。

 

『底抜け再就職も楽じゃない』(80)

 サーカスを首になった道化師が再就職先を探して…というお話。題通りにジェリー・ルイスの衰えをまざまざと見せつけられ、笑わされると同時に、哀れさを感じてしまったのが何とも残念だった。

 考えてみれば「底抜け~」と名付けられた映画を、こうして映画館で見るのは初めてであった。今までルイスの映画をテレビでしか見ることが出来なかった自分にとっては、彼のイメージは若き日の姿だけであり、この映画を見ながら、何だか別人がルイスを演じているのを見ているような、妙な気分にさせられた。これは、彼のブランクがあまりにも長かったせいなのかもしれない。

 ルイスのおかしさは、表情(百面相)と動きにあるのだが、若き日、飛び回り、動き回って騒動を起こし続けたエネルギーを、何十年かたった現在まで保ち続けられるはずもない。しかも、低迷による長期間のブランクも重なって、この映画では昔の面影を垣間見せるだけにとどまり哀れを誘う。

 加えて、ルイスの場合、阿呆芸というか、ある種の狂気を感じさせるところが魅力だったのに、この映画は取って付けたような人情話になってしまっていた。ルイスもまた、チャップリンのようにドタバタからペーソスに移っていくしか活路はないのだろうか。

 と言いながら、テレビで見た三つ児の赤ちゃんの世話をする『底抜け楽じゃないデス』(58)、早川雪洲と共演し、日本の孤児とふれあう『底抜け慰問屋行ったり来たり(58)なんかは結構好きなので、困ってしまうのだけれど…。

 

 あれから30数年がたち、今改めて読み直すと、若気の至りで書いた文という感じがする。今この映画を見たら、身につまされて、違う意味でつらくなってしまうかもしれない。

 ところで、同時期に、コメディアン志願者(ロバート・デ・ニーロ)に誘拐される有名コメディアンをルイスが演じたマーティン・スコセッシの『キング・オブ・コメディ』(82)も見た。

 こちらはメモが残っていなかったし、一度も見直していないので定かではないのだが、あまり面白くなかったような印象がある。

 

エディ・マーフィがリメークした『底抜け大学教授』(63)については
http://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/bfab7199d35ba62fb72f5e3fb9744b99

ルイスのプロフィールは↓ 写真を見ると本来は二枚目なのだと気付く。


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