田中雄二の「映画の王様」

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『殺しが静かにやって来る』

2019-04-22 09:45:36 | 映画いろいろ

 「ザ・シネマ」で見た『ガンマン大連合』(70)『ミネソタ無頼』(65)ですっかりセルジオ・コルブッチ作品のファンになった妻がDVDを借りてきた。



 悪徳判事ポリカット(ルイジ・ピスティリ)と、アウトローのロコ(クラウス・キンスキー)たちが支配する西部の町スノーヒル。ロコに夫を殺されたポーリーンは、声を失い“サイレンス”と呼ばれる凄腕のガンマン(ジャン・ルイ・トランティニヤン)に復讐を依頼する。

 舞台背景は『続・荒野の用心棒』(66)の泥から雪に、主人公が持つ“秘密兵器”はガトリング機関銃からモーゼル拳銃に、主人公が背負うハンディは『ミネソタ無頼』の盲目から、『続・荒野の用心棒』の手の傷を経て、この映画のろうあへと変化しているが、これらはコルブッチの強いこだわりを感じさせる。

 『イタリア人の拳銃ごっこ』(二階堂卓也)によると、コルブッチは「私の西部劇の背景にあるのは人種問題か革命だ。もう一つの特徴は主人公が何らかの形で肉体的な障害持っていることだ。ハンディキャップを抱えたキャラクターに強く惹かれるのは、主人公をより困難な状況に置くことによって、クライマックスが一層盛り上がるからだ」と語ったそうだ。

 この映画の見どころは、ひたすら雪の中で繰り広げられる西部劇という珍しさ(タランティーノの『ヘイトフル・エイト』(15)に与えた影響大)、衝撃的かつ後味が最悪なラストシーン(トランティニンのアイデア説も)にあるが、『ミネソタ無頼』同様、ハッピーエンドの別バージョンがあるという。

『永遠のジャンゴ』
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/056a162a14eb74d6884ef3f5b479dd41


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