『ブロードキャスト・ニュース』(87)(1989.10.25.月曜ロードショー)
日本でも、最近はそれらしき“もどき”は登場しつつあるようだが、テレビニュースの本場アメリカには、昔からウォルター・クロンカイトやエド・マローら、そのテレビ局の顔とも呼ぶべき、アンカーマンと呼ばれる人たちが存在していた。
この映画は、いわば、そのアンカーマンへの道と、それに伴うさまざまな人間関係を描いている。そこで展開する、ニュースのでっち上げ、醜い競争、忙しさなどを、それほど違和感なく見られたということは、日本のその筋も、アメリカに似てきたといえるのかもしれない。
ところで、この誰にも好感が持てない登場人物たちの姿を見せられながらも、何となく見てしまうのは、ジェームズ・L・ブルックス監督の、巧妙な演出に寄るところが大きいだろう。
前作の『愛と追憶の日々』(83)での名監督ぶりが、こちらのイメージに残っているせいもあるが、それとは全く違う状況と人物配置であるにもかかわらず、最初に過去を見せておいて、最後に現在を見せるという大筋の作り方が、前作とほとんど同じなのである。
従って、必ずしも好ましくはない人物たちの、ラストの達観したような様子を見せられると、どこか憎めない、悲しみを持った人物たちのように思えてしまう。終わりよければ全てよしか。このあたり、ずるいというか、うまいというべきか。
かつての美人女優ロイス・チャイルズが端役で出ていたが、きれいなだけでは長く女優を続けることは難しい、という宿命を見せられた気がした。だから皆、ジェシカ・ラングのように変わっていくのも当然なのだろう。
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