昨日の「日曜美術館」は「エロスと死の香り」~近代ウイーンの芸術 光と影~と題して、グスタフ・クリムトとエゴン・シーレについて紹介していた。それで、昔こんな映画を見ていたことを思い出した。
『エゴン・シーレ/愛欲と陶酔の日々』(80)(1983.3.9.スバル座)
この映画にはエゴン・シーレ(マチュー・カリエール)とグスタフ・クリムトが登場するが、自分にとっては、この映画の前に、ニコラス・ローグの『ジェラシー』(79)の存在がある。あの映画で初めてシーレとクリムトの絵を見たからだ。
また、この二つの映画は時代背景も登場人物も全く違うのだが、どちらも凝った映像の中で過去と現在とが入り乱れ、主人公のモノローグが多用され、男女の愛の不可思議さが描かれ、映画全体に退廃的なムードが漂い…と、共通点も多いのだ。
ところで、この映画の場合は、一歩間違えればポルノチックに陥りかねない題材を、一人の芸術家が苦悩する姿として描き切っているところが良かった。
先日『作家マゾッホ 愛の日々』(80)を見た時にも感じたのだが、いわゆる芸術映画とポルノは紙一重で、どこで区別するのか分からない映画も多い。実際『作家マゾッホ~』の場合は、芸術映画っぽいソフトポルノという感じになっていて、成功作とは言えなかったのだが、この映画は、性への欲望を、絵によって正直に表現しようとした一人の男の心のドラマとして仕上がっていたと思う。
『ジェラシー』
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