『レナードの朝』(90)(1991.5.14.丸の内ピカデリー)
精神病院に赴任した医師のセイヤー(ロビン・ウィリアムズ)は、30年間も半昏睡状態で病院暮らしを余儀なくされてきたレナード(ロバート・デ・ニーロ)に新薬を投与することで、彼を奇跡的に目覚めさせることに成功するが…。
いわゆる“難病もの”はあまり好きではない。それは、登場人物を苦しめるだけ苦しめて涙を誘うという作りがあまりにも多いからだ。この映画は、そこに落ち込む最後の一線で何とかとどまって、最近のアメリカ映画の傾向の一つである、心の回復劇だと感じさせる。
確かに、デ・ニーロとウィリアムズという、演技派同士の共演は、くさくないといえばうそになるし、これは一歩間違えれば人体実験をオブラートで包んだような話なのだが、彼らが見せる笑顔の美しさと、『ビッグ』(88)に続くペニー・マーシャルのハートウォームな演出にうまくだまされて、最後は、いいものを見たような気にさせられる。
『レインマン』(88)を見たときにも感じたのだが、どうしてアメリカ映画はこういう題材を面白く見せてしまうのだろうかと思わずにはいられない。だって、あなた。この題材を日本映画で見せられたらと考えると、ぞっとするでしょ。
主役2人の力演ばかりが注目されているが、この映画で一番泣かせられるのは、この映画が遺作となったデクスター・ゴードンの、物言わぬ(この頃はもうしゃべれなかったのか…)存在感だった。
ペニー・マーシャルの映画
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