田中雄二の「映画の王様」

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『暗黒街のふたり』

2019-04-24 11:17:56 | 映画いろいろ
『暗黒街のふたり』(73)(1993.9.25.)



 懲役を終え出所した男(アラン・ドロン)と彼の社会復帰を見守る保護監察司(ジャン・ギャバン)。男は真面目に第二の人生を歩み始めるが、彼の更生を疑う刑事(ミシェル・ブーケ)が執拗につきまとう。

 1970年代、怒濤のように押し寄せたアラン・ドロン主演の映画群。3本立てを好んで見ていた中学、高校時代の自分にとって、ドロンの映画は目当ての映画の“おまけ”で見せられたことも多かった。そんな中、目当てのカンフー映画(『復讐のドラゴン』『帰って来たドラゴン』)を遥かに凌駕して感動させてくれたのがこの映画だった。

 とはいえ、このところニューシネマなどを見直すと、昔の感動が嘘のよう…というものが多いので、この映画もどうかな?と半ば恐々見始めたのだが、フィリップ・サルドの哀切のメロディに乗って語られる悲痛な話は今回も心に響いた。

 ラストシーンのドロンの悲しい目もいいが、彼を慈悲深く見つめるギャバン、何とも憎々しいブーケ、可憐なミムジー・ファーマーなど脇もいい。監督のジョゼ・ジョバンニ自身も前科者。この映画には彼の心情も投影されているのだろう。 

 ただ、そうは言いながら、大人になった自分は、死刑制度(ギロチン)反対の色が濃すぎて犯罪者に肩入れし過ぎた映画という見方もできるか、などとも思ってしまった。嫌だねえ。
 

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