ある天文台を訪れる予定だったのだが、残念ながら中止になった。その際に、この映画のことを思い出した。
『コンタクト』(97)(1997.9.26.渋谷東急)
異星人からの信号をキャッチする、という発端は、先日見た『アライバル』(96)と同じだ。だが、そこから先、つまり信号を受け取った後に展開していく地球側の波紋の描き方は全く異なる。
この映画の場合は、実際にそうした事態が起きた際に生じるであろう戸惑いを核としながら、カール・セイガンの原作による、科学的な実証に基づいた真面目な作劇になっている。
ところが、そこに、ジョディ・フォスター演じる天文学者と父親とのドラマ、あるいはマシュー・マコノヒー演じる宗教学者との曖昧な恋愛劇を入れ込んだためにバランスが悪くなり、見終わった後は、真面目な科学映画を見せられたのか、あるいは宇宙を背景にした恋愛劇を見せられたのか、判然としないもどかしさが残った。
しかもラストの主人公のトリップも、果たして真実なのか妄想なのかは謎のまま…となると、2時間半にわたって壮大なペテンを見せられたような気がして消化不良も生じた。また、彼女のトリッパーとしての資質を問う会議での「あなたは神の存在を信じるか」という問答に、改めてアメリカにおけるキリスト教の浸透度を知らされた思いがした。
前作『フォレスト・ガンプ/一期一会』(94)と、この映画での不完全燃焼ぶりを見ると、ひよっとしてロバート・ゼメキスは、原作の色が強い映画の監督には向いていないのかもしれないと思えてくる。
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