田中雄二の「映画の王様」

映画のことなら何でも書く

『そんな彼なら捨てちゃえば?』

2014-10-09 09:26:09 | 映画いろいろ

ソフィスティケートは今何処



 ジェニファー・アニストンとベン・アフレック、ジェニファー・コネリーとブラッドリー・クーパー、ジニファー・グッドウィンとジャスティン・ロング、スカーレット・ヨハンソンとケビン・コノリーのカップルが入り乱れて、恋の大騒ぎを繰り広げる。プロデューサー兼任のドリュー・バリモアも賑やかし的に登場する。

 ラブコメの王道である、ドタバタの果てに、最後は収まるところに収まって…という予定調和はこの映画にも見られる。けれども、かつてこの手の映画が、粋や洗練を重視したことで、ソフィスティケート・コメディと呼ばれていたのに比べると、最近は、ただ受ければいいとばかりに、下品なギャグや設定を全面に押し出す傾向が強いのが残念だ。

 ところで、この映画の原題は「彼はあなたに興味がない」だから、随分反意的な邦題を付けたことになる。これは日本の方が女性上位だということの証なのか…。

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『すべての美しい馬』

2014-10-09 09:17:26 | 映画いろいろ

現代版の西部劇かと期待したが…



 1949年、カウボーイになるという夢を捨て切れず、テキサスを後にしたジョン(マット・デイモン)とレイシー(ヘンリー“ET”トーマス)が主人公。

 前半は、見事な景観を背景にした二人の旅の様子と、メキシコの牧場でのカウボーイとしての生活、ジョンと牧場主の娘アレハンドラ(ペネロペ・クルス)の恋が描かれ、現代版の西部劇かと期待させる。

 ところが、中盤になると、ジョンとレイシーは馬泥棒の疑いで投獄され、警察や刑務所での凄惨な描写へと変転する。なんだか妙な具合になってきた。2人はアレハンドラの口利きでようやく出獄するが、再会したジョンとアレハンドラは結婚できない。と、今度は悲恋ものに変わる。そして最後は、奪われた馬を取り戻して故郷へ帰るジョンというところに落ち着く。

 よくいえば主人公の流転の末の成長物語だが、実際は支離滅裂な映画で、タイトルになっている“馬への思い”もあまり伝わってはこない。前半の描写や風景が良かっただけに残念な気がする。

 また、適当な警察、私刑の横行、刑務所は無法地帯というメキシコの描写を見ると、いくらなんでもこれではメキシコ人が怒るのではないかと思わされる。トルコの実情を描いていないと抗議された『ミッドナイト・エクスプレス』(78)のことを思い出した。

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