MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『カイジ ファイナルゲーム』

2020-01-23 12:55:02 | goo映画レビュー

原題:『カイジ ファイナルゲーム』
監督:佐藤東弥
脚本:福本伸行/徳永友一
撮影:小原崇資
出演:藤原竜也/福士蒼汰/関水渚/新田真剣佑/吉田剛太郎/伊武雅刀/天海祐希
2020年/日本

貧富の差をまだエンターテインメントとして描ける余裕について

 『家族を想うとき』(ケン・ローチ監督 2019年)がリアリズムで描かれたことを思えば、エンターテインメントとして貧富の差を描いている日本にはまだ余裕があるのかもしれないが、それはおそらく本作でも描かれているように今年の東京オリンピックまでで、オリンピックが終わった後は本作で描かれているような賭博には参加しないまでも確実に景気は悪くなっていくと思う。
 主人公の伊藤開司を演じた藤原竜也の当たり役だと思うが、それはライバルが藤原と同等のハイテンションで向かってくるからこそ光る訳で、今回もライバルの黒崎義裕を演じた吉田剛太郎が良い味を出している。
 1作や2作に比べてゲームが貧相になっているという指摘もあるが、それだけ景気が悪化していると捉えるならば意外と怖い話なのである。『記憶にございません!』(三谷幸喜監督 2019年)よりもよっぽど政権に対して皮肉が効いていると思う。


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『家族を想うとき』

2020-01-23 00:54:00 | goo映画レビュー

原題:『Sorry We Missed You』
監督:ケン・ローチ
脚本:ポール・ラバァティ
撮影:ロビー・ライアン
出演:クリス・ヒッチェンズ/デビー・ハニーウッド/リス・ストーン/ケイティ・プロクター
2019年/イギリス・フランス・ベルギー

世界的な「黄色いペットボトル」問題について

 主人公のリッキー・ターナーはかつて建築関係の仕事に携わっていたのだが、不況により仕事を選ぶことができなくなり、今は宅配ドライバーとして働いているのだが、それは個人事業主として宅配事業者と契約をするというフランチャイズという業務形態で、事業者からのクレームを甘んじて受けなければならなず全ては自己責任で、休みを取る場合には他のドライバーを自分で頼まなければならない。妻のアビーは介護福祉士を生業としており、相手からのクレームを自分で処理しなければならず、とかくサービス残業が増えてしまう。宅配業と介護職は今では最もきつい仕事として知られ、なおかつ2人にはまだ学生の長男のセブと長女のライザ・ジェーンがいるのだから、そのストレスは計り知れない。
 その上、ターナー一家が暮しているイギリスのニューカッスルはインフラも疲弊していて、例えば、荷物を届けにきたアパートのエレベーターが二基ともに故障したりしているのだから、体を酷使せざるを得ないのである。
 最近日本で話題になっているのが路肩に散乱している「黄色いペットボトル」問題で、この問題はリッキーが宅配ドライバーとして働く初日に同僚が「トイレに行く暇さえないから」と言って不審がるリッキーに空のペットボトルを渡しており、もはや世界的な環境問題なのである。


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