原題:『未来からの挑戦』
監督:伊東美行/花房實/小山攻
脚本:田波靖男
出演:佐藤宏之/稲垣昭三/小山セリノ/手塚学/熊谷俊哉/阪本真澄/紺野美沙子/テレサ野田
1977年/日本
当時の「少年ドラマ」の特徴について
『未来からの挑戦』はNHKの「少年ドラマシリーズ」の一篇として制作された。映像が残っていなかったのだが、2014年に視聴者から録画を提供されて、修復の上で2015年に番組公開ライブラリーで公開されて埼玉県川口市のSkipシティのNHKアーカイブスで見られるのだが、映像のノイズが結構残っているため放送されることはないと思う。
『未来からの挑戦』は眉村卓の『ねらわれた学園』と『地獄の才能』を原作としている。『ねらわれた学園』はその後、何度も映像化されているが本作が一番出来が良いのではないだろうか。おそらく当時の受験戦争と呼ばれる受験勉強の過熱さに警鐘を鳴らす意図で制作されたのであろうが、「全体主義」に対する批評に昇華していると思う。
「少年ドラマシリーズ」の特徴として野外のシーンも全てスタジオセットで撮っており、今のテレビドラマを見慣れていると多少の違和感はある(「未来人」たちが通信として利用しているのが「家電」というのも笑える)。出演者がセリフを噛んでいる場面もあるのだが、そのまま放送されているのは時間的な問題があったのか、あるいは「少年ドラマ」だから演出が甘めだったのかもしれない。
しかし決定的に違和感があるのは紺野美沙子や小山セリノなど女性陣の演技と比較するならば主演の佐藤宏之や熊谷俊哉の演技が棒読みのように酷いことである。熊谷はともかく、佐藤は本作の脚本を担った田波靖男のプロダクションに所属していたコネで選ばれたのだと推測できるレベルである。