原題:『The Upside』
監督:ニール・バーガー
脚本:ジョン・ハートメア
撮影:スチュアート・ドライバーグ
出演:ブライアン・クランストン/ケヴィン・ハート/ニコール・キッドマン/ジュヌヴィエヴ・エンジェルソン
2019年/アメリカ
完全に好機を逃したリメイク作品について
本作の元になったフランス映画『最強のふたり』(エリック・トレダノ/オリヴィエ・ナカシュ共同監督 2011年)に関しては既に書いた通りに傑作だったはずだが、本作に関しては原題の「可能性、プラス面(The Upside)」という意味ほどの良さが見いだせない理由は、リメイクが遅れに遅れて、例えば、主人公のフィリップ・ラカッセが有名な資産家であるためにちょっと調べればラカッセの体が不自由であることはすぐに分かってしまうほどネットが普及してしまったことによるからであろう。
だからラカッセと文通していたリリーがレストランで初めて会うシーンも、結局最後に秘書のイヴォンヌと仲睦まじくなってしまうことで何となく後味が良くないし、デル・スコットの書いた絵画をカーター・ロックが5万ドルで購入するのも違和感が残る。
ここではナット・キング・コールの「ペントハウス・セレナーデ」を和訳しておきたい。
「Penthouse Serenade(When We're Alone)」 Nat King Cole 日本語訳
煙突の蝶番を流れ星に見立てて
見上げた空に高級アパートを思い描いてみよう
僕たちが二人っきりの時
二人だけのために天国の甘い一切れを味わおう
僕たちが離ればなれにならざるを得ないあらゆる社会から離れて
屋根の上で本来のあり方で暮らすんだ
僕たちが二人っきりの時
僕たちは天空の世捨て人だけれど
僕たちにはそれが真実なんだ
僕たちがかつてのマンハッタンを思い描くならば
僕たちは人生の悪いパターンを見てしまうだろう
僕たちはありのままの自分で生きているから
僕たちの幸運の星に感謝できるんだ
僕たちがとかく設計しがちの小さな高級アパートの中で
愛やロマンスが永遠に生き続けるように
ハドソン川を眺めながら
はしゃぎ過ぎるんだ
Patti Page - Penthouse Serenade