原題:『劇場版 あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない』
監督:長井龍雪
脚本:岡田麿里
撮影:森山博幸
出演:入野自由/茅野愛衣/戸松遥/櫻井孝宏/早見沙織/近藤孝行
2013年/日本
テレビ版と劇場版の巧みなテーマの変換について
幼い頃に、宿海仁太、本間芽衣子、安城鳴子、松雪集、鶴見知利子、久川鉄道が仲良し6人組として「超平和バスターズ」と名乗り、秘密基地を作って一緒に遊んでいたものの、ある日、松雪集に急き立てられた安城鳴子が宿海仁太に本間芽衣子のことが好きなのかどうか問い、照れ隠しで「あんなブス、好きなわけがない」と心にも無いことを芽衣子の前で答えてしまった仁太は、ばつが悪くなったために基地を飛び出してしまう。本来ならば後で謝ればよかったのであるが、その直後に芽衣子が川に転落して亡くなってしまったことから、「超平和バスターズ」は事実上の解散に追い込まれてしまう。
そして2013年に芽衣子は自分の願いを叶えて欲しいと仁太の前に幽霊として現れ、それをきっかけとして5人が再結集するのである。テレビ版においては、芽衣子の死によって心に深い傷を負った5人のそれぞれの克服の物語が描かれていたと思うが、尺が限られている劇場版においては、幼い頃に一緒にしていた隠れんぼを基に、死んだはずの芽衣子を見つけ出すという次元の異なる‘隠れんぼ’をフューチャーして5人に演じさせることで、「超平和バスターズはずっとなかよし」という基地に刻まれたフレーズを実現させるという芽衣子の唯一の心残りが回復される物語になっている。このテーマの変更はテレビと映画のそれぞれの特徴を上手く利用していると思うが、話そのものは重たいままである。