MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『最後の乗客』

2024-10-31 00:59:20 | goo映画レビュー

原題:『最後の乗客』
監督:堀江貴
脚本:堀江貴
撮影:佐々木康之
出演:岩田華怜/冨家ノリマサ/長尾純子/谷田慎吾/畠山心/大日琳太郎
2023年/日本

「ミステリー不足」の震災関連映画について

 何の情報も得ないまま観賞したら、2011年3月の東日本大震災から10年後の様子が描かれていたのだが、何よりも本作が特異な点は、毎年催される追悼式で唱えられる「震災を忘れない!」や被災者にかけられる「がんばれ!」という声が当事者たちにはストレスになることもあるという問題提起である。
 しかしただの震災関連の映画ではなくミステリー要素も取り込んでおり、それが本作に多くの映画賞をもたらしているのだと思うのだが、詳細は差し控えるが、ラストの「オチ」がありきたりのもので、もう少し工夫があればもっと良くなったと思う。


gooニュース
https://news.goo.ne.jp/article/hochi/entertainment/hochi-20241016-OHT1T51191.html?_gl=1*14bhgb7*_ga*MTEzMzY0MzIzMy4xNzI1NTM0NDIy*_ga_XJ5END643J*MTczMDIwMzE0Ny4xNjMuMS4xNzMwMjA2MjkwLjYwLjAuMA..


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『トラップ』

2024-10-30 00:59:36 | goo映画レビュー

原題:『Trap』
監督:M・ナイト・シャマラン
脚本:M・ナイト・シャマラン
撮影:サヨムプー・ムックディプローム
出演:ジョシュ・ハートネット/アリエル・ドナヒュー/サレカ・ナイト・シャマラン/ヘイリー・ミルズ/スコット・メスカディ/アリソン・ピル
2024年/アメリカ

巨費が投じられた「プロモーションフィルム」について

 本作の主役である消防士のクーパー・アボットと彼を追うプロファイラーのジョセフィン・グラント博士の関係は、イギリスのテレビドラマ『THE FALL 警視ステラ・ギブソン』の犯人で心理カウンセラーのポール・スペクターとロンドン警視庁の警視であるステラ・ギブソンの関係に似ている。つまりそういうことなのだと思う。
 作品前半まではリアリティーがあって良かったものの、盗んだリムジンに乗って逃げおおせながら停止させられ周囲を警官に囲まれながらも逃げ出せてしまうシーンにはさすがに無理があったが、おそらくクーパーと彼の母親の関係を続編で描こうと予定していたのかもしれない。しかし残念なことに続編を制作するほどヒットはしていないが、長女のサレカのプロモーションフィルムとしては成功していると思う。「リリース」を和訳しておきたい。

「Release」 Saleka 日本語訳

私には危険が分かる
あなたの愛は装填した銃のようで
私の目には赤の他人のよう
私たちはいつも一心同体で
そんなことになる準備は全くできていない
私自身があなたの負債に囚われた
私たちの全てがどこへ行ったのか私には分らない
ただ灰だけが残されている

私が手を延ばしても何も掴めない
私の下へは絶対に来ないもののために泣いている
私がこの愛を引きとめ続けても
苦悩から私たちを解放できるだろうか?

被った傷から隠れながら
私はより安全になっているの?
反撃するか反撃を受けるだけ
より勇敢になったの?
まだ全てを語ってはいないの?
それは語られることさえ不可能なの?
もしも私が私たちのために私たちに忘れさせようとするならば
これまでのことは一体何だったっていうの?

私が手を延ばしても何も掴めない
私の下へは絶対に来ないもののために泣いている
私がこの愛を引きとめ続けても
苦悩から私たちを解放できるだろうか?

私が悲嘆することはないし
私が懇願することもない
私は私からあなたを解放するつもり
私が悲嘆することはないし
私が懇願することもない
私は私からあなたを解放するつもり

私には危険が分かる
あなたの愛は装填した銃のようで
私の目には赤の他人のよう
私たちはいつも一心同体

私が手を延ばしても何も掴めない
私の下へは絶対に来ないもののために泣いている
私がこの愛を引きとめ続けても
苦悩から私たちを解放できるだろうか?

私が手を延ばしても何も掴めない
私の下へは絶対に来ないもののために泣いている
私がこの愛を引きとめ続けても
苦悩から私たちを解放できるだろうか?

Saleka - Release (Original Music From The Motion Picture TRAP) [Official Lyric Video]

gooニュース
https://news.goo.ne.jp/article/moviewalker/entertainment/moviewalker-1223252.html?_gl=1*1thgbth*_ga*MTEzMzY0MzIzMy4xNzI1NTM0NDIy*_ga_XJ5END643J*MTczMDE5ODYwOC4xNjEuMS4xNzMwMTk5MDYyLjYwLjAuMA..


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『エターナルメモリー』

2024-10-29 00:59:14 | goo映画レビュー

原題:『La memoria infinita』 英題:『The Eternal Memory』
監督:マイテ・アルベルディ
撮影:パブロ・バルデス
出演:アウグスト・ゴンゴラ/パウリナ・ウルティア
2023年/チリ

2人の実子が出演しない原因について

 著名なジャーナリストである夫のアウグスト・ゴンゴラと国民的女優でありチリで最初の文化大臣となった妻のパウリナ・ウルティアの夫婦のドキュメンタリーは1997年に二人が交際を始めて、アウグストが62歳になった2014年にアルツハイマー型認知症を患ったために、二人は2016年に結婚し、アウグストが71歳で亡くなる2023年5月19日までパウリナは添い遂げるのであるが、パウリナは47歳で初婚らしいのだが、実はアウグストは二度目の結婚であり(不倫?)、前妻も前妻との間に生まれた二人の子供も出演していないために、2人のそれぞれのキャリアに敬意を表しつつも本作で映されている映像が「真実」なのかどうかは疑わざるを得ない。


gooニュース
https://news.goo.ne.jp/article/otocoto/entertainment/otocoto-otocoto_135550.html?_gl=1*xexa56*_ga*MTEzMzY0MzIzMy4xNzI1NTM0NDIy*_ga_XJ5END643J*MTczMDAzNzY2NC4xNTguMS4xNzMwMDM3ODMxLjYwLjAuMA..


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『ヒットマン』

2024-10-28 00:59:09 | goo映画レビュー

原題:『Hit Man』
監督:リチャード・リンクレイター
脚本:リチャード・リンクレイター/グレン・パウエル
撮影:シェーン・F・ケリー
出演:グレン・パウエル/アドリア・アルホナ/オースティン・アメリオ/レタ/サンジャイ・ラオ/グラレン・ブライアント・バンクス
2023年/アメリカ

「コメディ作品」が「シリアス」に嵌まった原因について

 ニューオーリンズの大学で心理学と哲学を教えているゲイリー・ジョンソンがフロイトの理論を駆使して地元警察に協力しているのだが、急遽警察の代わりにおとり捜査で殺し屋役を任され、上手く行ったことから度々おとり捜査の殺し屋役を頼まれることになる。
 ある日、ドメスティックバイオレンスが直らない夫の殺人を依頼してきたマディソン・マスターズと、ゲイリーはロンという偽名で出会う。もちろんゲイリーは夫との離婚を勧めていつものように穏便に収めようとする内に2人は恋に陥るのだが、ゲイリーが彼女の夫と遭遇し夫からも妻の殺人依頼を受けたり、警察官のジャスパーに2人の関係を怪しまれたりするようになり、マディソンが夫を銃殺したことをゲイリーに告げた後に、2人がいる部屋にやって来たジャスパーも窒息死させてしまうのであるが、2人は何故か上手く逃げおおせて子供もつくって幸せな生活を送るという展開になるのである。
 前半は良かったのであるが、後半は笑えない。おそらくリチャード・リンクレイター監督は理論武装しておとり捜査で殺し屋役に臨んだゲイリーがフロイトの「イド」や「エゴ」や「スーパーエゴ」という概念を駆使している内に訳が分からなくなって倒錯してしまった、つまり「ミイラ取りがミイラになった」ということを描きたかったのだと思うのだが、リチャード・リンクレイター監督にしては珍しく失敗している。
 ドクター・ジョンが歌っていた「俺はバディ・ボールデンの発言が聞こえたと思った」を和訳してみる。バディ・ボールデンはアフリカ系アメリカ人のコルネット奏者で「ジャズの父」と呼ばれる人物で、フランキー・デューソンはニューオーリンズ・ジャズのトロンボーン奏者でボールデンのバンドに参加した人物。和訳はジェリー・ロール・モートンのヴァージョン。前半の「say」や「shout」は「おなら」と言われている。

「I Thought I Heard Buddy Bolden Say」 Jelly Roll Morton 日本語訳

俺はバディ・ボールデンの発言が聞こえたと思った
おまえは下品で汚い
それを取り上げろ
おまえは不快で恐ろしい
それを取り上げろ
俺は彼の発言が聞こえたと思ったんだ

俺はバディ・ボールデンの叫びが聞こえたと思った
あの窓を開けて汚れた空気を出してくれ
あの窓を開けて汚い空気を出してくれ
俺はバディ・ボールデンの発言が聞こえたと思ったんだ

俺はフォガティ―判事の発言が聞こえたと思った
30日間売り出されている
彼を連れて行ってくれ
掃除用の良い箒を彼に与えて
彼を連れて行ってくれ
俺は彼の発言が聞こえたと思ったんだ

俺はフランキー・ドゥーゼンの叫びが聞こえたと思った
あのお金を俺に与えて欲しい
俺はそれを弾くつもりなのだから
俺がおまえに説明したようにあのお金を俺にくれという意味さ
俺はフランキー・ドゥーゼンの発言が聞こえたと思ったんだ

Jelly Roll Morton - I Thought I Heard Buddy Bolden Say
gooニュース
https://news.goo.ne.jp/article/otonamuse/trend/otonamuse-otonamuse-jp-guid-70999.html?_gl=1*13xgrlf*_ga*MTEzMzY0MzIzMy4xNzI1NTM0NDIy*_ga_XJ5END643J*MTcyOTkzNjk4My4xNTMuMS4xNzI5OTQwMDQ2LjguMC4w


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『ソウ X』

2024-10-27 00:59:42 | goo映画レビュー

原題:『Saw X』
監督:ケヴィン・グルタード
脚本:ジョシュ・ストルバーグ/ピーター・ゴールドフィンガー
撮影:ニック・マシューズ
出演:トビン・ベル/ショウニー・スミス/シヌーヴ・マコディ・ルンド/スティーヴン・ブランド/レナータ・バカ/故スタス・マンディロア/マイケル・ビーチ
2023年/アメリカ

老いと病について

 本作が『ソウ』(ジェームズ・ワン監督 2004年)と『ソウ2』(ダーレン・リン・バウズマン監督 2005年)の間の物語であることを観賞後に知った。だから一作目を観てから本作を観た方が良いのかもしれないのだが、一作目と十作目の間が20年経っているから主人公のジョン・クレイマーを演じたトビン・ベルが急に年老いているのだが、末期がん患者としてなら逆にリアルに見えるかもしれない。
 もちろんR15のスプラッター映画だから薦めるつもりはないのだが、ストーリーは相変わらずよくできていて、例えば死体の腹を裂いて腸を取り出して紐代わりに使うという展開は逆に笑いが込み上げてくるかもしれないが、最後まで飽きずに観賞できることは間違いない。


gooニュース
https://news.goo.ne.jp/article/walkerplus/entertainment/walkerplus-1223709


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『シビル・ウォー アメリカ最後の日』

2024-10-26 00:59:05 | goo映画レビュー

原題:『Civil War』
監督:アレックス・ガーランド
脚本:アレックス・ガーランド
撮影:ロブ・ハーディ
出演:キルステン・ダンスト/ワグネル・モウラ/スティーヴン・マッキンリー・ヘンダーソン/ケイリー・スピーニ―/ソノヤ・ミズノ/ニック・オファーマン
2024年/アメリカ・イギリス

内戦と世代交代について

 内戦の意味が良く分かる作品だと思う。つまり誰が味方で誰が敵なのかよく分からないのであり、敵か味方か分からないのであるならば、最初から戦いに加わりたくないという国民の心情も分かる。しかし本作で最も興味深い点は、この手の作品では最終的には政府軍が勝利を納めるとなりがちなのであるが、本作においては一応正規に就任したアメリカ大統領が裁判抜きで即決処刑されたことで、それはもちろん本作の大統領のモデルがトランプ前大統領だからであろう。そこに有名なベテランの戦争フォトグラファーのリー・スミスと新人の若いカメラマンのジェシー・コリンの世代交代の物語を上手く組み込ませていると思う。逆に言うのならば世代交代をしないから「内輪」で揉めることになるということはアメリカだけではなく、日本においてもお馴染みの話である。
 本作の選曲の良さにも感心したのだが、ここではシルヴァー・アップルズの「ラヴフィンガーズ」を和訳してみる。

「Lovefingers」 Silver Apples 日本語訳

親友は空中で光線をなびかせ
僕の髪の毛をかき分ける魔法の指を走らせる黄金の呪文を
織り上げる黄色い太陽だ

波を展開させる海に活気を取り戻させよう
塩辛いカーペットが大地に飛び出した
泡だらけの手の指が洞窟を見つけ出す
恋人たちが砂浜の上で横たわっている場所
恋人たちが砂浜の上で横たわっている場所

厚みのあるボウルに入っているルビーを啜る僕の
唇は赤くなる
指はカップの内側に届く
僕の心と魂に練り込んだ僕の愛
僕の心と魂に練り込んだ僕の愛

親友は空中で光線をなびかせ
僕の髪の毛をかき分ける魔法の指を走らせる黄金の呪文を
織り上げる黄色い太陽だ

厚みのあるボウルに入っているルビーを啜る僕の
唇は赤くなる
指はカップの内側に届く
僕の心と魂に練り込んだ僕の愛
僕の心と魂に練り込んだ僕の愛
指はカップの内側に届く
僕の心と魂に練り込んだ僕の愛
僕の心と魂に練り込んだ僕の愛
僕の心と魂に練り込んだ僕の愛
僕の心と魂に練り込んだ僕の愛

Silver Apples - Lovefingers
gooニュース
https://news.goo.ne.jp/article/otocoto/entertainment/otocoto-otocoto_143797.html?_gl=1*qi75ax*_ga*MTEzMzY0MzIzMy4xNzI1NTM0NDIy*_ga_XJ5END643J*MTcyODM4OTUyMC4xMDIuMS4xNzI4Mzg5ODIwLjM1LjAuMA..


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『BISHU 〜世界でいちばん優しい服〜』

2024-10-25 00:59:32 | goo映画レビュー

原題:『BISHU 〜世界でいちばん優しい服〜』
監督:西川達郎
脚本:西川達郎/鈴木史子/義井優
撮影:清久素延
出演:服部樹咲/岡崎紗絵/長澤樹/黒川想矢/知花くらら/田中俊介/山口智充/近藤芳正/古澤健/清水美沙/吉田栄作
2024年/日本

世界三大毛織物産地という「勇み足」について

 主人公で高校生の神谷史織のモデルは間違いなくフランスのテレビドラマ『アストリッドとラファエル 文書係の事件録』の主人公でパリ犯罪資料局の文書係のアストリッド・ニールセンだと思う(因みに本作とは全く関係のない話なのだが、アストリッドを演じたサラ・モーテンセンと相棒の警視のラファエル・コストを演じたローラ・ドヴェールは二人とも誕生日が6日違いの1979年生まれで現在44歳である)。
 愛知県の実家の織物工場を手伝っており発達障害を抱える史織の天才性と、東京で一旗揚げようとファッションブランドを立ち上げたものの失敗して実家に戻って来た姉の布美の葛藤が、二人の父親の康考の昔気質の頑固さも手伝ってさらに関係をこじらせてしまうのだが、最終的には史織と布美の成長で上手くまとまるという話は、ありきたりながらも良く出来ているのではないだろうか。『徒花 - ADABANA -』(甲斐さやか監督 2024年)よりもよっぽど観やすい。
 しかしどうも「尾州はイギリスのハダースフィールド、イタリアのビエラと並ぶ世界三大毛織物産地といわれている」という宣伝文句は怪しい感じで、ビエラはともかく、ハダースフィールドは疑問を持たざるを得ない。何故ならば1764年にジェニー紡績機を発明したジェームズ・ハーグリーヴスも、1768年に水力紡績機を発明したリチャード・アークライトも、1779年にミュール紡績機を発明したサミュエル・クロンプトンもランカシャー出身だからである。実際に、英語版のウィキペディアには「19世紀のランカシャーは経済活動の中心地であるが故に裕福な都市の一つだった。経済活動は石炭鉱業や特に綿が使われた織物産業や漁業が含まれていた。(Lancashire in the 19th century was a major centre of economic activity, and hence one of wealth. Activities included coal mining, textile production, particularly that which used cotton, and fishing.)」と書かれている。世界配給も見据えてわざわざタイトルをローマ字の「BISHU」としたのだろうが、多少の勇み足を感じる。


gooニュース
https://news.goo.ne.jp/article/san_tatsu/trend/san_tatsu-345021.html?_gl=1*1y1crmg*_ga*MTEzMzY0MzIzMy4xNzI1NTM0NDIy*_ga_XJ5END643J*MTcyOTc3NDY1Ni4xNDYuMS4xNzI5Nzc1NjA1LjU3LjAuMA..


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『徒花 - ADABANA -』

2024-10-24 23:46:59 | goo映画レビュー

原題:『徒花 - ADABANA -』
監督:甲斐さやか
脚本:甲斐さやか
撮影:高木風太
出演:井浦新/水原希子/三浦透子/甲田益也子/板谷由夏/原日出子/斉藤由貴/永瀬正敏
2024年/日本

「イノセンス」という免罪符について

 どうやらウィルスの蔓延により人口が激減している近未来が舞台で、延命措置として上流階級の人間だけが延命治療として使用できる「それ(クローン)」の所有が許されているようで、実際に難病を患ったらしい娘の治療のために母親が娘を連れて密入国しようとしたものの、入国審査であっけなく2人とも排除される様子が作品の冒頭で描かれている。
 しかし緊張感があったシーンはこの冒頭のシーンだけで、残りは主人公の新次と彼の担当である臨床心理士のまほろの物語が静謐に進んで行くという感じでストーリーにメリハリがない。新次が不治の病であることは分かるのだが、新次の幼少時代の母親を巡るトラウマも海岸で出会う元カノとの想い出も具体的に描かれることはなく、かと言って新次が出会う新次の「クローン」は人形を作って過ごしているようなのだが、新次が自身よりも代わりに自分のクローンの方が生き残るべきという確信がどのようにして生まれたのかもよく分からない。それが「イノセンス」ならば話が単純過ぎると思う。


gooニュース
https://news.goo.ne.jp/article/dot/nation/dot-237429.html?_gl=1*hvmbxa*_ga*MTEzMzY0MzIzMy4xNzI1NTM0NDIy*_ga_XJ5END643J*MTcyOTY4NDQ5Ni4xNDMuMS4xNzI5Njg1MDczLjQ0LjAuMA..


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『サウンド・オブ・フリーダム』

2024-10-23 21:00:18 | goo映画レビュー

原題:『Sound of Freedom』
監督:アレハンドロ・モンテベルデ
脚本:アレハンドロ・モンテベルデ/ロッド・バール
撮影:ゴルカ・ゴメス・アンドリュー
出演:ジム・カヴィーゼル/ミラ・ソルヴィノ/ビル・キャンプ/エドゥアルド・ベラステーギ/ハビエル・ゴディーノ/スコット・ヘイズ/ゲイリー・バサラバ
2023年/アメリカ

「真実」の奥深さについて

 芸能事務所のオーディションの名目でロベルト・アギラ―ルの娘のロシオと息子のミゲルが誘拐される事件をきっかけに、アメリカ国土安全保障省の政府捜査官のティム・バラードは秘密裏に国境を越えて南米コロンビアに赴き現地の支援者たちと「スコーピオン」と称するボスが支配する犯罪組織本部の摘発に乗り出す。これが実話を基にしているというのだから驚く。コロンビア辺りだと政府が介入できないギャング組織がまだ存在しており、現代の奴隷の人数は奴隷制度があった時代よりも多いらしい。
 『ACIDE/アシッド』(ジュスト・フィリッポ監督 2023年)は確かに「真実」を描いていており、本作もまた国際的な児童誘拐や人身売買や性的虐待を描いているのだが、本作に関して言えば、後半は明らかにフィクションで、これくらいのエンタメ感を出さないとなかなか人々の興味を惹けないのではないだろうか。
 しかし本作の特異な点は原作のモデルとなったアメリカの元政府職員ティム・バラード本人が、彼がCEOの会社の5人の女性従業員に対して不同意性交があったと有罪判決を受けていることで、まさに「ミイラ取りがミイラになる」という話なのだが、より正確を期すならば「ミイラに関わっている内に自分自身もミイラだと分かった」というような感じだろうか。作品の最後に本人が出演して映画公開に困難が伴ったと語っている理由はこのことなのである。
 主題歌であるジャスティン・ジェッツの「サウンド・オブ・フリーダム」を和訳しておきたい。

「Sound of Freedom」 Justin Jesso 日本語訳

ずっと君のそばにいるために
僕が知っていることは
ただ希望を手放さないということだけ
僕は君の輝きの方へ向かっている

僕に力を与えて欲しい
僕に力を与えて欲しい

僕の愛とは
僕が君を見つけるまで戦うこと
決して諦めない
すぐに僕は君のそばに行くよ

輝きに至る僕の道を見つけることが僕の唯一の信条
闘って目を開けることが僕の唯一の強み

僕に力を与えて欲しい
僕に力を与えて欲しい

僕の愛とは
僕が君を見つけるまで戦うこと
決して諦めない
すぐに僕は君のそばに行くよ

絶望の中で愛を見つけること
最も困難な夜に希望を見つけること
空が暗くなるほど輝く光は明るくなるんだ

怯えるが故に信条を見つける
強みが見つければ君は生き残れる
空が暗くなるほど輝く光は明るくなるんだ

夜を突き抜ける僕の道を見つけるための力を与えて欲しい
君の安寧を見つけるための力を
僕は君を置き去りにしたりはしないよ

Justin Jesso - Sound of Freedom (From "Sound of Freedom") [Official Music Video]

gooニュース
https://news.goo.ne.jp/article/fashionpress/trend/fashionpress-119942.html?_gl=1*rvc4bz*_ga*MTEzMzY0MzIzMy4xNzI1NTM0NDIy*_ga_XJ5END643J*MTcyOTY3ODYxNi4xNDIuMS4xNzI5Njc5ODQ3LjM1LjAuMA..


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『ACIDE/アシッド』

2024-10-22 00:59:05 | goo映画レビュー

原題:『Acide』
監督:ジュスト・フィリッポ
脚本:ジュスト・フィリッポ/ヤシネ・バッダイ
撮影:ピエール・ドゥジョン
出演:ギヨーム・カネ/レティシア・ドッシュ/ペイシェンス・ミュンヘンバッハ/マリー・ユンク/スリアン・ブラヒム/マルタン・ベルセ
2023年/フランス

エンタメにならない「真実」について

 メインテーマはフランスに降り始めた高濃度の酸性雨と、そこから逃れようと試みる人々の物語なのだが、労働紛争に関わって逮捕され、仮釈放された主人公のミシェルには恋人のカリンがおり、ミシェルの元妻のエリーズはミシェルよりも別の地域に住む兄のブリスを頼っており、両親の険悪な関係に挟まれた娘のセルマが翻弄されてしまうというストーリー展開である。
 確かに例え酸性雨で命が危機にさらされようと、それで今抱えている自分たちの問題が棚上げされるわけではないのだから、「真実」に忠実ではあるのだろうが、それがスペクタクルとして面白いかどうかとなるとまた別の問題で、例えば、助けてもらって屋敷に入れてもらった女性には腎臓病の透析を受けている息子がいるのだが、酸性雨で屋敷が崩壊しそうになるとその女性の車を奪って二人を残して三人は逃げてしまうのである。彼らに共感はできないが、自分がその立場に置かれるとすれば同じ行動を取らないと断言はできない。まるでノンフィクションを観ているような気分にはなった。


gooニュース
https://news.goo.ne.jp/article/bikenews/entertainment/bikenews-381711.html?_gl=1*rq6bsz*_ga*MTEzMzY0MzIzMy4xNzI1NTM0NDIy*_ga_XJ5END643J*MTcyOTM0NDAxMS4xMzQuMS4xNzI5MzQ0MTcxLjYwLjAuMA..


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