原題:『Ghadi』
監督:アミン・ドーラ
脚本:ジョージ・カッバス
撮影:カリム・ゴライエブ
出演:ジョージ・カッバス/ララ・レイン/エマニュエル・カイラッラ/サミール・ユーセフ
2014年/レバノン・カタール
(SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2015)
天使と悪魔の「紙一重度合い」について
主人公の音楽教師のレバ・サバには幼なじみのララとの間に10歳の娘のヤラと7歳の娘のサラがおり更にその下にガ―ディという息子がいるのであるが、彼はダウン症を患っており、毎日家の窓辺から歌う声が騒音のように聞こえていた近所の住民たちは彼を悪魔と見なして排除しようとし始める。レバはその対応に悩み、かつての恩師に会いに行くと、モーツアルトもサヴァン症候群だったということを知り、息子を神の言葉を伝える天使にしたてようと試み、その攻防がコミカルに描かれることになる。
レバがガ―ディのために事前に仕込んでいる仕掛けを暴こうとするが、それを見越して補う仕掛けを施していた結果、街がガ―ディを天使と公認し、もはや普通の男の子に戻れなくなるという皮肉が効いている。『ポケット一杯の幸福(Pocketful of Miracles)』(フランク・キャプラ監督 1961年)を彷彿させる秀作。