現在、六本木の国立新美術館で催されている『ブダペスト ヨーロッパとハンガリーの美術400年』ではポスターにも掲載されているシニェイ・メルシェ・パール(Szinyei Merse Pál)の『紫のドレスの婦人(Lady in Violet)』(1874年)を観ることができる。
時代背景を勘案するならばパールは印象派の画家と見なされる。確かに補色を駆使した色鮮やかな画風は印象派の特徴ではあるのだが、例えば、下の作品のように、パールはリアリズムに徹しており、フランスの印象派よりもモダンアートに近いように見える。この画力で保守層から批判されたというのだから、へそを曲げて美術の世界からいったん姿を消した理由も理解できる。
(『ひばり(The Skylark)』 1882年)