MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『わたしは光をにぎっている』

2020-01-10 00:59:52 | goo映画レビュー

原題:『わたしは光をにぎっている』
監督:中川龍太郎
脚本:中川龍太郎/末木はるみ/佐近圭太郎
撮影:平野礼
出演:松本穂香/渡辺大知/徳永えり/吉村界人/忍成修吾/小川あん/長屋和彰/光石研/樫山文枝
2019年/日本

詩という「フォーマット」のアクチュアリティーについて

 例えば、冒頭のシーンは湖畔の埠頭に佇む主人公の宮川澪が埠頭の先にいる祖母の宮川久仁子を見つめている横からのカットで、間もなく2人の正面からのカットになり、その後、2人の背後から背景となる山並みを映すカットへと変わっていくのであるが、ストーリーに関しては盛り上がりに欠けるとしても、それでも最後までスクリーンから目が離せない理由は、このように画面構成が秀逸だからだと思う。
 本作は後半になると登場人物の一人で映画技師をしながら映写室で暮らし、区画整理をされる前に自ら地元のドキュメンタリー作品『在りし日/平成』を撮っている緒方銀次の映像が絡み合ってくる。やがて2019年11月1日にラーメン店が閉店し、映画館も閉店した後、上京してきて居候している澪が手伝っていた父親の友人の三沢京介が経営する「伸光湯」も14日に閉店の憂き目に遭い、21日に地元の人々を集めて銭湯で感謝祭を催し、一年後、何故かそれまでのノウハウを活かした澪が「鹿島湯」をオープンさせているのである。
 ここまでアキ・カウリスマキ監督作品に影響を受けている日本の映画監督はいないのではないだろうか。


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