MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『パラサイト 半地下の家族』

2020-01-28 12:28:01 | goo映画レビュー

原題:『기생충』 英題:『Parasite
監督:ポン・ジュノ
脚本:ポン・ジュノ/ハン・ジンウォン
撮影:ホン・ギョンピョ
出演:ソン・ガンホ/チェ・ウシク/パク・ソダム/チャン・ヘジン/パク・ソジュン
2019年/韓国

世界共通の社会問題について

 観賞途中で、ストーリーの構造やテーマなどが『アス』(ジョーダン・ピール監督 2019年)とそっくりなことに気がついた。どちらも撮影は2018年の夏頃だから偶然ではあるのだろうが、貧富の差という社会問題は世界共通のものなのであろう。
 最初は「水」と「石」を対照させて貧富の差を暗示させるのかと思いきや、ストーリーはそのような「物質」と対照させるように「匂い」や「光」のような「感覚」を提示しているところまでは悪くはないが、作品の性格上、詳細は避けるとしても『アス』に比べるならば本作はラストのオチが弱いと思う。


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『殺人の追憶』

2020-01-28 00:52:05 | goo映画レビュー

原題:『살인의 추억』 英題:『Memories of Murder』
監督:ポン・ジュノ
脚本:ポン・ジュノ/シム・ソンボ
撮影:キム・ヒョング
出演:ソン・ガンホ/キム・サンギョン/パク・ヘイル/キム・レハ/ソン・ジェホ/チョン・ミソン
2003年/韓国

「足」の威勢が良かった頃の韓国について

 本作の映画的見どころは、例えば、殺人事件が起きた雨上がりの現場に残っていた靴跡に主人公のパク・トゥマン刑事と部下のチョ・ヨング刑事がこだわり、近所で靴裏が酷似しているスニーカーを履いている焼肉屋の息子のグァンホに目を付ける。チョ刑事が「軍靴」をはいた足で蹴ったりしながら一度は「自白」をしたグァンホは証拠不十分で釈放された後、グァンホに新しい「ナイス」のスニーカーをプレゼントしたりしている。
 一方で、連続殺人事件に巻き込まれながら死を免れた女性に話しが訊けたのだが、彼女は「犯人は手は女性のように柔らかかった」と供述する。ソウル市から派遣されてきたソ・テユン刑事もグァンホの指が生まれつき不自由であることを気にはするがそれ以上は追求しない。
 取り調べ時の「キック」が問題となって捜査から外されたチョ刑事はグァンホの焼肉屋で飲んでいたのであるが、大暴れし出したグァンホが持っていた棒で足をぶたれ、棒の先から出ていた釘による破傷風によりチョ刑事は右足の膝下を切断しなければならなくなる。
 つまり足にこだわる刑事たちは拘り過ぎるあまりに逆に足を失うことになり、「手」はすり抜けていってしまうのである。その点で気になることは犯人と目星を付けられたパク・ヒョンギュが「手」錠をかけられたままパク刑事とソ刑事の前から立ち去っていったことで、当時のDNA検査の信頼性を考慮するならば刑事たちはあまりにも「手」に対するこだわりが弱かったように思うのである。


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