原題:『Mard Ko Dard Nahi Hota』 英題:『The Man who Feels No Pain』
監督:ヴァーサン・バーラー
脚本:ヴァーサン・バーラー
撮影:ジェイ・パテル
出演:アビマニュ・ダサーニー/ラーディカ―・マダン/グルシャン・デーヴァイヤー
2018年/インド
インドにおける「アベンジャーズ」の可能性について
原題「痛みを感じない男」とあるように主人公のスーリヤは生まれつき痛みを感じない体質で、アクション映画で観た「百人切り」を成し遂げた片脚の空手家である「空手マニ」に憧れて独自に練習しているが、痛みを感じない故に喉が渇くことも気がつかずに意識して水分を取らないと脱水症状を起こしがちだった。何度も名前が上がり、登場人物たちもそれなりの格好をしているハリウッド映画『アベンジャーズ』をスーリヤも意識しているのだが、なかなか結成にこぎ着けない原因は、そもそも人助けが収入に結びつかないからで、実際にスーリヤが空手マニを知ったのもVHSのヴィデオによるもので、DVDにさえなっていないのである。
さらに幼馴染みのスプリもスーリヤと共闘しようとしていたようなのだが、インドにおける女性の地位がいまだに保守的で、スプリの家族はスプリが近所に人助けに行くことさえも禁じてしまうのである。
このようなハンディがありながら空手マニと敵方のジミーが双子の兄弟だったり、二人が父親からもらったロケットを巡って対立したり、スプリの代わりに空手マニが逮捕されるなどヒーロー映画にありがちな「設定」だけは抜かりないところが面白い。