広く浅く

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地名のアクセント

2011-11-05 23:12:00 | 秋田の地理
言葉のアクセントは難しい。
橋と箸、雨と飴などのことだが、地域差(方言の一種といえるか)もある。
地名のアクセントもそうで、地元の人たちは思いも寄らないアクセント使っていることがある。愛知県の「岡崎」「刈谷(かりや)」「知立(ちりゅう)」などを聞いた時は、驚いた。

例えば「秋田」は、一般的には「あ」を強める「飽きた」と同じアクセントだが、秋田弁的アクセントでは「た」を強く発音する。「青森」「弘前」「山形」なども3番目の音(も、さ、が)を強く発音し、共通語アクセントとは異なる。
ただ、これらのアクセントを使うのは、年配の人中心。僕たちの世代は、共通語のアクセントを意識して使う人が多いはず。
地名は、基本的には地元の人が使うものだから、地元と全国的なのもので2つのアクセントが存在するというのもおかしな話だが。


ところで、4日の20時から、NHK総合テレビの東北ブロックで「東北Z『ここに技あり・手仕事 目しごと 思いこめて~秋田県 男鹿・八郎潟周辺~』」という、仙台放送局制作の番組が放送された(今回は青森県のみ別番組)。
僕はほとんど見ないが、「ここに技あり」はシリーズもので、ナレーターは毎回同じ人。
初代のアラレちゃん(Dr.スランプアラレちゃん)や初代のコロ助(キテレツ大百科)の声、キンキンと一緒に語りをしたNHKの「グリム童話の旅」が懐かしく、現在は「報道ステーション(一部曜日)」のナレーションをやっている女性が担当している。

今回の番組のナレーションの「男鹿」のアクセントがとても気になってしまった。
「男鹿半島」としてもおなじみ、秋田県の「男鹿(おが)」のことだが、ナレーションでは「お」を強く発音していた。「箸」のようなアクセント。

しかし、実際は「が」を強く発音するのが一般的。「橋」のように。
これは地元民だけが使う方言的アクセントではなく、全国的に一定の認知があるものだと思う。
NHK秋田放送局のアナウンサー・契約キャスターも、秋田の各民間放送局のアナウンサーも、全員がこのアクセントを用いているはず。(ただし、25年くらい前にNHK秋田局にいた年配のアナウンサーは、今回のナレーションと同じアクセントを使っていて、天気予報で聞く度に違和感を感じていた)
全国放送の旅番組などを見ても、現在はこちらが多数派だと感じる。

この番組のナレーターは愛知県出身で、首都圏を中心に活動される方。
(東北出身のナレーターもたくさんいるのに、なんでわざわざそんな人を東北ローカル番組で起用するんだという疑問もあるが、)「男鹿」のアクセントを知らなかったのかもしれないから、それはやむを得ない。
だったら、ナレーション収録に立ち会ったであろうNHK仙台放送局の番組スタッフが「『が』にアクセントを置いてもらえますか」と修正を申し入れることができなかったのか。
東京ならともかく、同じ東北の仙台局。それなのに、スタッフは「男鹿」を知らなかったのだろうか。いや、取材で男鹿を訪れているはずであり、その途中で、「おが」を何度も耳にしているはず。知らなかったはずはない。

些細なことだけど、こんな点にも注意を払って番組を制作するべきだと思う。


逆に感心したのが、JR東日本の新幹線や新しい特急列車などの自動放送の車内アナウンス(「間もなく弘前です。五能線はお乗換えです。お降りのお客様は忘れ物のないよう…」というヤツ)。
堺正幸さんというフジテレビの社員が担当している。元はアナウンサーでお昼のニュースなどを担当していたが、現在は「CSR推進室専任局長」という職だという。鉄道ファンでもある。
上越新幹線の新潟県の「浦佐(うらさ)」駅のアクセントが、地元の人には違和感を感じるものだったため、収録しなおしたことがあるそうだし、今春から車両変更により自動放送が始まった奥羽本線の特急「つがる」が停車する、秋田県の「二ツ井(ふたつい)」と「大館(おおだて)」のアクセントも、(秋田県民としては)とても自然に耳に入るもの。カッコつけているのか、ヘンなアクセントを使う車掌の肉声放送などより、ずっと違和感がなかった。
※二ツ井や大館に関しては、地元放送局のアナウンサーでもアクセントは統一されていないと思われるが、車内放送のアクセントは、地元の人が使うもの。


余談。
秋田弁で「それはあんまりだ」といった意味合いで、「それだばオガだ」(「オカ」と濁らない地域・人もいるはず)という。
このオガは男鹿と関係ないはずで、アクセントは、今回のナレーションと同じ「箸」式になる。※関連記事

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5 コメント

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やはり (mugishochu)
2011-11-06 20:16:33
男鹿の発音に対しては少なからず違和感を持っていましたが、本当はどっちが正しいんだと突っ込まれると確たる自信もなく、異議を申し立てる勇気はありませんでした(笑)。
地名の読み方は、本当に人により違うことがあり「おいおい・・・」ということがありますよね。
でも、すべて標準語的発音が良いということでもなく、やはり主張すべきところは主張していきましょう。
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アクセント (とびいり)
2011-11-06 22:33:32
男鹿・二ツ井・大館~
これらに関するアクセント、みんな誰もが同じように言っているものだと思っておりましたが、よ~く聞いてみると違うのですね。勉強になります。
知らずに間違った言い方(アクセント)をしている方には全く悪気はないのでしょうが、正直どうも腑に落ちないものってありますよね。
全国放送のニュースで弘前市の和徳を「わとく」と呼び、「わ」にアクセントを置いていた時は変な気分でした。
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コメントありがとうございます (taic02)
2011-11-06 23:42:55
>mugishochuさん
角館、土崎、飯島などはどの言い方が正当なのか、分からないものもありますが、男鹿はやっぱりあっちの発音(「橋」式)で決まりでしょう。秋田県内で「箸」式で言う人はいないでしょうから。
地名は音を正しく読むことが第一で、アクセントは二の次になるのかもしれませんが、アクセントだってその土地の歴史とか文化が反映されたものかもしれませんから、大切に受け継ぎたいものです。

>とびいりさん
二ツ井や大館は全県民でコンセンサスが得られた(?)アクセントではないと思いますが、男鹿については異議はないと思います。
アクセント辞典というのがあるらしいですが、細かな地名までは出ていないでしょうし、難しいですね。
弘前の方には和徳は「わっとく」でしょうし(笑)、そのアクセントではたしかに引っかかります。
秋田市の「新屋」も、テポドン騒動の時、多くの在京テレビ局が「あ」を強く発音していて違和感を感じたものでした。
かくいう僕も、青森の大鰐とか深浦とか、アクセントに確証を持てない地名があります。
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中央交通でも (住民)
2011-11-07 16:01:55
地元のバスなのにアクセントが違和感のあるものがあります。それは「浜田」です。市営交通の時には「はまだ」の「だ」を強調したもの、(山田のようなもの)で納得していました。しかし中央交通、子会社のトランスポートともに、「はまだ」は「は」にアクセントを置いていて違和感を感じます。(ダウンタウンの浜田みたいな)地元なのに、しっかりしてと言いたくなります。市営交通はその点、発音まで調べていて今思うと細かい所まで気遣いがあったと思いますね。まあ会社が元は秋田市外なのでそこまで分からなかったと言えばそうなんですが。
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指示・監督 (taic02)
2011-11-07 22:32:43
録音やナレーターは県外の業者に委託しているので、いかにバス会社側が指示・監督するかということでしょう。(今回のNHK仙台のスタッフの立場と同じ)
市営バスで、一時期「寺内」のアクセントがおかしかった(寺内貫太郎一家みないな「ら」を強く)ことがありましたが、後に秋田式に直りました。

アクセントではありませんが、中央交通でも、移管当初は「総社神社前」を「そうじゃ」と読んでいたのは、わりと早期に「そうしゃ」に修正されていたと記憶しています。さすがにこれは明らかに違和感があったのでしょう。
アクセントまでは手が回らない、あるいはそんなことへのこだわりがないというのが、実情なのでしょうね。
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