広く浅く

秋田市を中心に青森県津軽・動植物・旅行記などをご紹介します。

ホテルの変遷

2014-12-08 23:54:08 | 秋田の季節・風景
旅先でその土地の人に道を尋ねようと思った場合、地元の人が知らないことがけっこうあるのが、ホテル(特にテナントや飲食・宴会部門を持たない、ビジネスホテルなど)。
地元の人が地元のホテルに泊まることは少ないから、ホテルの名前や位置を知らなくてもいいし、ホテルの名前(経営者)が変わることもあって、把握しきれないからだ。
それに加えて、同じ街に同系列のホテルが複数ある場合は、ややこしいことになる。

秋田市でややこしいのが、「ホテルパールシティ」。
大町の二丁目と三丁目の竿燈大通り周辺、すなわち直線距離で200~300メートルの範囲内に「ホテルパールシティ」を冠するホテルが3軒も存在するのだ。

3つは、「ホテルパールシティ秋田川反」「ホテルパールシティ秋田竿燈大通り」「ホテルパールシティ秋田大町」という名称。
既存のホテルを買収して運営する「ホテルマネージメントインターナショナル(HMI)」という企業が運営し、3ホテルを合わせて「ホテルパールシティ秋田チェーン」と呼んでいる。
3ホテルがHMI傘下となったのは1998年(うち1つはそれ以前から?)のようだが、名称変更は2009年4月。

この3ホテル、地元の者でも(だからこそ?)場所と名前が一致しないというか、3つともどのホテルがどの名前でも通用しそうな、微妙な命名。特に3つのうち2つは、改称前の名称が秋田市民に比較的浸透していると思われ、それが「ホテルパールシティ」だとはピンと来ない人が多いはず。
僕は、仮に旅行客から場所を尋ねられても、とっさに正しくお答えできる自信がない。


1つずつ見てみる。
大町三丁目にある「ホテルパールシティ秋田川反」は、2009年以前は「ホテルパールシティ秋田」という名称だったので、元々ホテルパールシティとしてオープンしたのだろうか? 「るるぶトラベル」によれば1980年築。

大町二丁目の西側、竿燈大通りから1本北に入った、旧・三井アーバンホテルの裏にあるのが、「ホテルパールシティ秋田大町」。かつては「アキタシティホテル」だった。「るるぶトラベル」によれば1977年築。「シティホテル」と言っても、宿泊特化であまり大きくはない。
昔、時々我が家に来ていた親戚が好んで宿泊していたので、子どもの頃から「シティホテル」の名前と建物は印象が強かった。しかも、パールシティ改称後は「大町」という、3つどれにも該当し得る抽象的な名前になってしまい、どうもなじめない。

そしてもう1つが、大町二丁目の東側、竿燈大通り沿いの日銀秋田支店前交差点角の「ホテルパールシティ秋田竿燈大通り」である。
地階や1階にはテナントが入る。官報販売所である「石川書店」があるホテルと言えば古くからの秋田の人は分かるだろうし、「ライブハウス 秋田クラブスウィンドル」があるホテルと言えば音楽好きな人は分かることだろう。
このホテルは、2009年以前は「アキタスカイホテル」だった。
そして、そのもっと前は、別の名のホテルだったことは覚えているが、その名前が思い出せなかった。
聞いたり調べたりして、判明。
※以下、「日本観光史:会社編(http://web2.nazca.co.jp/zz1564/page347.html)」を参考にしました。間違いがありましたら、ご指摘願います。

ホテルリッチ秋田」。そういえばこういう名前だった。

「リッカーミシン」というミシンメーカーがかつて存在し、ホテルチェーンも展開していた。その1つが、ホテルリッチ秋田で、1977年3月29日に開業。
1989年3月に撤退し、同年12月23日アキタスカイホテルとして開業している。(アキタがカタカナ書きのところからして、シティホテルと同経営だったのかもしれない)
その後、1998年にHMIグループに入りスカイホテルのまま営業を続け、2009年4月に現名称になったことになる。
ちなみに、現在、ホテルリッチチェーンは経営者が変わって、語順が入れ替わって「リッチホテル」となり、仙台などに店舗がある。
※「リッチモンドホテル」チェーンとは無関係です。
【2015年8月5日追記】秋田で「スカイ」と言えば、秋田市雄和の県立中央公園内にある屋内グラウンド「あきたスカイドーム」。これは1990年2月に完成している。当時「スカイ」という言葉が流行っていたわけではないと思うので、完成直前のドームの名前に影響を受けたホテル名なのかもしれない。

ホテルパールシティ秋田竿燈大通りが入るビルの名称は「スカイビル」らしい(今もそうなの?)が、ホテルとともに改称したのか、以前からそうでホテル名が追随したのかは不明。
ホテルリッチとしては12年、スカイホテルとしては20年ほど営業したことになるが、個人的には「ホテルリッチ」のほうがなじみがある気がする(と言いつつ、その名を忘れていたけど)。


現在のホテルパールシティ秋田竿燈大通りの建物(スカイビル?)の外壁は、濃淡の水色。
日銀前交差点から
昔はもっと落ち着いた色で、10年ほど前に塗り替えられた。(2001年9月から2005年10月の間のどこか)
おそらく、「“スカイ”ホテル」のイメージに合わせたのだろうが、周りから浮いているようにも感じる。

色は変わったけれど、建物自体はリッチホテル時代から35年以上続いているわけだ。
ホテルの屋上には看板が出ていて、
西面と南面
「パールシティホテルチェーン」、「ホテルパールシティ秋田竿燈大通り」と表示されている。
「パールシティ」であることは分かるが、「秋田竿燈大通り」の表示が少ない。周りに別のパールシティもあるのに、少々不親切。
そして、「パールシティ」の下に何やら文字がうっすらと見える。

裏側のニューシティ跡方向から、北面を見ると、
真っ白だけど、うっすらと「健康と歩む テルモ」
ああ。そう言えば、昔はこれはテルモの広告看板だったような…

駅側・二丁目橋方向から見ると、
もう1つ看板があって「ホテルパールシティ」
東面が見えるくだんの看板には、
テルモと「スカイホテル」の文字も!
テルモ→スカイホテル→パールシティが残る看板だ。
「ホテルリッチ」が見えたらおもしろいけれど、そこまでうまくできた話でなかったか。

過去の画像で確認。
2011年10月撮影の二丁目橋側
3年前の段階では、かすかに「スカイホテル」は見えるが、テルモは判読できないほど、ほぼ真っ白。(光線条件の違いもあるとは思われる)
この3年間で、過去の文字が“再浮上”したようだ。

さらにさかのぼって、
2005年撮影の西面。外壁はすでにスカイ色
HMI傘下入り後のスカイホテル時代は、「パールシティホテルチェーン スカイホテル」という表示だった。
改称後に、「スカイホテル」を消し、そのうち一部だけに「ホテルパールシティ秋田竿燈大通り」を入れたので、不親切な看板になってしまったようだ。

さらに古い写真の片隅に、現役だった頃の「テルモ」を発見!
2001年撮影の東面。外壁は白系統
なるほど。緑色地で、ロゴマークと「テルモ」は白色。キャッチフレーズは黄色。夜は点灯したようだ。
キャッチフレーズは、写真の東側は「医薬品・医(以下隠れて読めず)」。北は「健康と歩む」らしかったので、向きによってフレーズが異なったようだ。【21日追記】いただいたコメントによれば、キャッチコピーは2パターンあり、2方面ずつ同じものが表示されていたとのこと。
1992年のネオン点灯時の映像が少々


旧シティホテルのホテルパールシティ秋田大町では、以前は屋上にあった看板が、今はなくなってしまったようだ。大通りから離れた場所にあることもあって、訪れる人に分かりづらそう。
自分の経験からして、初めて訪れた見知らぬ街を歩いて来て、予約した宿の看板を見つけた時はほっとするもの。反対に近くには来ているはずなのに、目指すホテルが分からなければ心細いし、実はそれが近くにあったらガックリ来てしまう。
そもそも、以前の看板が透けていては、見栄えが良いとは言えない。テルモさんにとっては、いい宣伝になるかな?
看板のメンテナンスにはお金がかかるのでしょうけど。
2015年秋にちょっとした変化
2002年の写真(リンク先最後)では、別の「スカイホテル」の看板が写っている。



ところで、ホテルの名称が変わった(リブランドとか言うらしい)場合、宿泊予約サイトにおいては、旧名称を一定期間併記するところが多い。リピーターなどが検索する場合に、ヒットするようにということだろう。
今日現在、楽天トラベルでは、パールシティ秋田グループの3ホテルとも、「ホテルパールシティ秋田 ○○(旧 ○○ホテル)」とカッコ書きで旧名称を掲載している。
さすがに「旧旧 ホテルリッチ秋田」とはなっていない。5年経っても旧名称が出ているけれど、いつまで掲載されるだろうか。

一方、昨春に「ホテルはくと」から改称された「アパホテル秋田千秋公園」では、既に旧名称は出ておらず、「はくと」で検索しても引っかからなくなっている。

2021年には秋田ビューホテルが名前が2度変わることになった。
※秋田ワシントンホテルだったイーホテル秋田も、2020年代初めに2度の改称

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6 コメント

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Unknown (網地 耕部、)
2014-12-21 10:35:22
こんにちは。いつも楽しみにして観覧してます。

>>キャッチフレーズは、写真の東側は「医薬品・医(以下隠れて読めず)」。北は「健康と歩む」らしかったので、向きによってフレーズが異なったようだ。


さて、大町のパールシティホテルの屋上のテルモだった看板に関してですが、ロゴマークとテルモの間に書かれている文字は恐らく、西側と東側は「医薬品・医療器」で、北側と南側は「健康と歩む」だった気がします。
返信する
テルモのコピー (taic02)
2014-12-21 20:06:13
こんばんは。いつもありがとうございます。

よく覚えていらっしゃいますねー
4方向で全部違うフレーズかと思ったら、2つずつだったのですね。
当時はそこまで意識していなかったのが、悔やまれます。
返信する
なるほど (通りすがりの宮城人)
2017-04-01 21:44:02
こんにちは。

先日部活の大会で実にこの「ホテルパールシティ秋田竿燈大通り」に泊まりました。親切な対応でした。
水色の建物ですぐ見つかりましたがよく看板を見てみると… フ? プ? あ、テルモだ!と。私もこういうのが気になるタイプというか好きなもので、ダメもとで調べてみると貴サイトに辿り着きました。

なるほど、そういうことだったんですね。うっすら見える文字は確かに「医薬品・医療器」でした。時代の流れは面白いですね。それにしてもなぜホテルの上にテルモの広告が付いていたのか不思議ですが…。

そう言えばホテルのwifiのパスワードの中にskyが含まれていたのを思い出しました。パールシティのくせにskyですから何度もcityと間違える羽目に…笑
スカイビルでしたらそうですよね。


ところで初秋田、いいところでした。観光の時間が取れなかったのが惜しいですが、せっかくだしお土産にと思い駅へ行き金萬買って帰りました。先程食べましたがいつ食べても美味しいですね笑。
駅はちょうど改装工事をしていたようで。新しくていいですね。
またいつか秋田に足を運びたいと思います。その際はもちろん観光目的で笑。

という訳で失礼致しました。
それでは。
返信する
ようこそ (taic02)
2017-04-03 00:27:38
こんばんは。
気にならない人は気にならないのでしょうけれど、そのお気持ち、よく分かります。現在は網までかかっているし。
お役に立ってよかったです。

建物と無関係の広告というのは、昔はわりとあったようです。大阪道頓堀のグリコのネオン広告みたいなものでしょう。
秋田のこの辺りも、数十年前はにぎやかで人通りが多い一帯で、近くの別のビルには「HITACHI」もありました。

地元住民は宿泊する機会がまずないものですが、満足されたようで何よりです。
秋田駅からこのホテルまで、遠いと感じるか、歩けると感じるか、人によって意見が分かれそうな距離だと思います。竿燈まつりの時は、会場目の前で、部屋から素晴らしい光景が眺められるでしょう。
下のライブハウスのイベントによっては、ホテル前に入場待ちの若者の行列ができていることがあり、通りかかると場違いな光景にびっくりすることがあります。

秋田市の街にも好感をお持ちいただけたようで、うれしいです。
同じ東北でも、じっくり見れば宮城とは違うものも多々あるでしょう。ぜひ、またお越しください。
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Unknown (Unknown)
2018-09-10 21:01:47
Googleマップに、最近まで「アキタシティホテル」の表記があったような...
今は直っているのかな?

ホテルはくと(今はアパホテル)等の表記も最近まであった感じなので、重複掲載があるとかもあるやもしれません。
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ネットの地図 (taic02)
2018-09-11 00:22:54
ネット地図の名称表示は、わりとアテにならないようです。商業施設の中のテナントの1つが、大きく表示されたり。
まあ、古い名称も分かるという意味では、それはそれで便利な場合もありますが。
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