広く浅く

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ご了知広告?

2017-11-22 00:01:55 | 秋田のいろいろ
11月15日・水曜日の秋田魁新報21面(ラジオ、県外テレビや解説など「番組紹介」面)の広告欄に、映画上映案内や横手市消防の分署統合に関する公告に混じって、不思議なものが掲載されていた。

5行で、文字は全部同じ書体・サイズ。全文は、
 平成二十九年十一月十一日(土)のグッドキャリア企
業に係る訂正記事についてお知らせ
 標記記事については、秋田労働局担当者が発表資料内
の誤りを見落としたことによるものですのでご了知願
います。          秋田労働局職業安定部

なんかの間違いがあったのは理解できるけど、なんかよく分からない。
「~に係る訂正」なら訂正告知だけど、長ったらしいタイトル「~に係る訂正記事についてお知らせ」って、ただの訂正ではない?

11月11日だそうだから、その日の魁を見てみましょう。

4面・経済面の下に「グッドキャリア企業/受賞5社から4社に/労働局が訂正」という本文15行の記事があった。訂正記事ではなく、普通の記事の体裁。
記事をまとめると、9日に秋田労働局が、「グッドキャリア企業アワード2017」の厚生労働大臣表彰の受賞企業を発表する際、受賞したのが4社なのに間違って5社として発表しており、それを10日に訂正した。
もともと厚生労働省が5社としていたのを9日の発表直前に変更したものの、その変更を秋田労働局の「担当者が発表資料を作成する際に見落としたという」。そんな内容。【24日補足】コメント欄の通り、この新聞記事の文章では見落とした担当者が「どこの(厚生省本省かのか秋田労働局なのか)」担当者かは明示されておらず、分からない。となると、以下の解釈はまた違ってくるのですが、とりあずそのまま。

これは全国規模での表彰で、4社とも秋田県外の企業。
それなのに、厚労省本省が発表するのではなく、下部組織の秋田労働局から発表する(しかもわざわざ資料を作り直して)というのが、素人には分からない。
本省が直接発表していればこんなミスは起きなかっただろうし、全国各地で同じように資料を作成しているのだろうから、二度手間ならぬ“四十七度手間”になっている。
※インターネットでは、本省のホームページにプレスリリース掲載。秋田労働局ホームページには訂正も含めて一切情報なし。


間違ったからには訂正しないといけないのは当然だけど、11日付経済面を読めば、ああそうなんだとほぼ全員が納得できるはず。
受賞していないのに受賞したことにされた1社の関係者には、しっかり謝らないといけないし、謝られても釈然としないだろうけど、我々それ以外の人たちには、はっきり言ってどうってことない話。
秋田労働局にしてみれば、恥ずかしいことではあるだろうけど、それで済むと思う。
それなのに、どうしてまた蒸し返すかのように、11日付紙面と同じ内容を広告費をかけてまで、15日に「~お知らせ」を出稿したのだろう。その広告費は税金から捻出されるのだろう。理解できない。


仮に広告を出すとしても、労働局として「間違ってしまいました。ごめんなさい」なら、それなりに誠意が伝わる。
しかし、これはそもそも訂正やお詫びはしていない。単なる説明、いや言い訳ではないだろうか。

しかも、「秋田労働局担当者が発表資料内の誤りを見落としたことによるもの」と、ある意味(バカ)正直に経緯を説明している(11日付記事でも分かることではある)。
だけど、これでは、担当者個人に間違ったことの責任を押し付けているようにも受け取れる。
決裁した上司がいるはずだし、秋田労働局の名前で文書を発表したはずだから、秋田労働局全体・組織として間違ったことを問題視するべきであろう。
秋田労働局の労働環境が心配になる。ブラック企業ならぬ“ブラック役所”ではないか。厚生労働省の出先機関からしてこれじゃあ、我が国の労働環境改善なんてできるのだろうか。

また、「秋田労働局担当者が発表資料内の誤りを見落とした」の文章が、11日付紙面を見ないと理解できないが、上記の通り「秋田労働局担当者が(厚労省本省が作成し、後に訂正されていた)発表資料内の誤りを見落とした」という意味。
すなわち、「もともと間違ったのは本省」つまり「秋田労働局が間違ったんじゃないよ」と言いたげ。

上記をまとめると、この広告において秋田労働局は、「本省が間違え、担当者個人が間違えたけど、秋田労働局としては何一つ間違ってはいません」と責任逃れしたいのではないだろうか。


それから、「~ですのでご了知願います。」という文末。
恥ずかしながら「了知」という言葉は、今回初めて知った。ニュアンスとしては「ご了承ください/ご承知おきください」とか「そのつもりでおいてね」というのは分かるけれど。
goo辞書デジタル大辞泉によれば「はっきりと知ること。よく理解すること。」。
ちなみに「了承」は「事情をくんで納得すること。承知すること。承諾。」
お決まりのお役所言葉(地方自治体よりも、国の機関のほうが独特な言葉を使いたがる傾向がある)なのかもしれないが、「納得はしなくていいから、知っておけ」という雰囲気が醸し出されているような気もしてしまう。


まとめると、「間違ったけど秋田労働局は悪くないんだ。覚えとけ!」と言いたい(言い訳したい)のが本心ではないかと勘ぐってしまいたくなる広告だと思う。
「今回の誤りは、秋田労働局において厚生労働省による訂正指示を見落として発表したことによるものです。関係者・読者の皆様にご迷惑をおかけしたことをお詫び致します。」
みたいな文面であれば、印象はかなり違うと思うのだけど(でもやっぱり、税金を使ってまで広告するほどの事態ではないから、訂正自体不要だと思う)。


秋田労働局では、今月、幹部職員が互助会費を使いこんだり私物を公費で買っていたりして処分されたほか、広告が出た15日の社会面では、別人の紹介状を交付したことと、魁が情報公開請求して3年弱で22件の処分があったことが記事になっていた。報道されていないようだけど労働局ホームページによれば、20日には職員が電話番号を取り違えて、求職者の留守番電話に別の求職者の個人情報を吹きこんでしまった事案も明らかになっている。
そんなことを踏まえると、この広告も、正式な手順を踏まず、秋田労働局の一部職員が独断で出したんじゃないか、なんて妄想してしまう。だって、こんな言い訳めいた訂正まがいの広告なんて、ほかに見たことがないもの。まさか、広告費を不適切な所から支出したり、「誤りを見落とした」担当職員個人に負担させたりなんてことはないでしょうね。
コメント (2)
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