7月から放映が始まったのだろうか、最近、おもしろい秋田ローカルのテレビコマーシャルが流れている。
こんな流れ。※セリフと同時に字幕も表示される。
「サテラ伊藤おが」→「サテライト(ウ)オガ」→「サテライト男鹿」というわけである。
最初見た時、何のCMか分からず、「サテラ」という見知らぬ企業のCMなのかと思いこみそうになった。
後半まで秋田県男鹿市にある場外車券売場・サテライト男鹿だと気づかず、なかなかよくできたCMだと感心。
【24日追記】スタジオセットは、ローカルCMらしく簡易なもの。そんな中、バリトンさんの前にたくさんのマイクが置かれていて、記者会見会場らしいリアルな雰囲気。だけどよく見たら、本来はまずあり得ない、ワイヤレスマイクや、ピアノやギターの弾き語りをする時に使うような、床置きで途中で角度を付けられるマイクスタンドが混ざっていた。上手にごまかしていると言えばいいのか、この点の努力もなかなか。
このCMは、秋田弁が分かる人でないと、そのおもしろさが伝わらない。あと、中年男性が何者かを知っていたほうがよりおもしろいだろう。
なぜなら、まず、出演している男性は、ローカルタレント「バリトン伊藤」氏。
20年少し前、秋田テレビのローカル番組「なんでもアリーナ」を、石垣政和、シャバ駄馬男、ブラボー中谷らとともに盛り上げ、現在も活躍。洋裁の造詣と技術があり、秋田魁新報に連載を書くなどしている。
以前のサテライト男鹿のテレビCMには出ていなかったはず。由利本荘市出身。
つまり、CMでは「バリトン伊藤」が「サテラ伊藤」に改名すると宣言している。
バリトン伊藤の名を知らない人が見ると、よく分からないおっさんがいきなり「サテラ伊藤」に変えると言っているととらえられてしまうかもしれない。それだと、どうして「伊藤」が出てくるのか、唐突で強引な場面設定になってしまいそう。まあ、「サテラ」も唐突で強引だけど…
そして記者の質問。記者役はヘンなヒゲが特徴の若手ローカルタレント「石塚公評(いしづかこうへい)」氏。
「んだば おが でねーすか?」も、秋田弁を知らない人だと、「男鹿」と結びつけるために、強引に「おが」という意味のない言葉を作ったのかと思われてしまうかもしれない。
そうではなく、秋田弁には地名の男鹿とは別の「おが」という言葉がある。CMの「おが」はちゃんと意味を持っていて、会話として成立しているのだ。
この「おが」は形容動詞かな。濁らずに「おか」と言う地域や人もいる。
秋田の人は、地名の男鹿とはアクセントを変えて話すので、混同することはまずない。
「おが」は「度が過ぎている」ことを意味し、共通語では「あまり/あんまり」(の使い方の1つ)に相当する。
「んだば おが でねーすか?」は、「それはあんまりではないですか?」といったところ。
「おが」は個人的にはなじみのある言葉で、CMのようなシチュエーションでは「そいだば(それだば)おがでねすか」と使う。
CMのように「んだば」で始まるのはあまり聞いたことがなかったが、「そいだば」と同義なのは理解できる。
【12日補足】「おがでねーすか?」と聞かれて、「んだす!」と肯定するというのは、現実ではあまり考えられない。この点は、共通語で「あんまりじゃないの?」「そうです!」という会話があまり考えられないのと同じこと。
バリトン伊藤氏を起用し、かつ男鹿でなければ実現しなかったCMだ。
(これ以上話を膨らませづらいので)続編を期待、ってわけにもなかなかいかないでしょう。
「おが」が地理的にも世代的にも、どの程度認知されているのかは知らない。【13日追記】コメント欄の通り、秋田県北部の鹿角では使わないとのこと。少なくとも地元・男鹿では使うはず。男鹿出身のうちのばあさんが使っていたはずなので。
でも、「んだ」と「しったけ」ばかりが秋田弁の代表とされる風潮に一石を投じる(?)、良い作品だと思う。
そういえば前もちょっと触れたけれど、もう1つ男鹿じゃない「おが」の方言があった。
「おがる」。
植物や髪の毛が伸びること、生長することを意味する。【13日追記】身長が伸びるなど「成長する」や「大きくなること」全般の意味合いでも使うけれど、どちらかと言えば植物が生長することを指す場合多いような気がするけど、違うかな…
男鹿市商工会館の愛称は「オガルベ」。
秋田駅東口の拠点センター「アルヴェ」を意識し、かつ「男鹿」も、さらに前向きな意味を持つ「おがる」も掛けた、なかなか上手なネーミングだと思う。
ちなみに、「アルヴェ」は秋田弁の「あるでしょう」を意味する「あるべ」のほか、彦星織姫のアルタイルとヴェガと掛けている。
大森山動物園の「ミルヴェ」は「見ましょう」だけで、他の言葉には掛けておらず、いわばアルヴェの単なる二番煎じ。オガルベのほうが上手(じょうず&うわて)だ。
【2019年3月1日追記】サテライト男鹿のテレビCMは、この後も内容を変えずに同じものが断続的に放送されている。まったく放送されない期間もあり、例えば2019年は2月最終週(3月第1週)に初めて見た。
【2019年7月5日追記】↑その後また見なくなり、2019年7月初めからまた流れた。
こんな流れ。※セリフと同時に字幕も表示される。
記者会見会場で、中年男性が発表する。【8月9日追記・若干秋田なまりで】
「私、この度、名前を『サテラ』に変えます。」
「サテラ伊藤です!!」
記者の1人が、
「んだば おが でねーすか?」
周りからも「おがだ!」「オガだ!」と声が飛ぶ。
サテラ伊藤は、
「んだす!」
「サテラ伊藤おが です!!」
と自信たっぷりに答える。
そこへ突然、
「サテライト男鹿/オートレース男鹿」
とロゴマークやジングル、「オートレースも。ほぼほぼ毎日開催中」が挿入。
サテラ伊藤が「来てけれ~」と言って終わり。
【13日追記】「おもしれど~」と言うバージョンもあった。微妙に違う複数のパターンがあるのかもしれない。
「私、この度、名前を『サテラ』に変えます。」
「サテラ伊藤です!!」
記者の1人が、
「んだば おが でねーすか?」
周りからも「おがだ!」「オガだ!」と声が飛ぶ。
サテラ伊藤は、
「んだす!」
「サテラ伊藤おが です!!」
と自信たっぷりに答える。
そこへ突然、
「サテライト男鹿/オートレース男鹿」
とロゴマークやジングル、「オートレースも。ほぼほぼ毎日開催中」が挿入。
サテラ伊藤が「来てけれ~」と言って終わり。
【13日追記】「おもしれど~」と言うバージョンもあった。微妙に違う複数のパターンがあるのかもしれない。
「サテラ伊藤おが」→「サテライト(ウ)オガ」→「サテライト男鹿」というわけである。
最初見た時、何のCMか分からず、「サテラ」という見知らぬ企業のCMなのかと思いこみそうになった。
後半まで秋田県男鹿市にある場外車券売場・サテライト男鹿だと気づかず、なかなかよくできたCMだと感心。
【24日追記】スタジオセットは、ローカルCMらしく簡易なもの。そんな中、バリトンさんの前にたくさんのマイクが置かれていて、記者会見会場らしいリアルな雰囲気。だけどよく見たら、本来はまずあり得ない、ワイヤレスマイクや、ピアノやギターの弾き語りをする時に使うような、床置きで途中で角度を付けられるマイクスタンドが混ざっていた。上手にごまかしていると言えばいいのか、この点の努力もなかなか。
このCMは、秋田弁が分かる人でないと、そのおもしろさが伝わらない。あと、中年男性が何者かを知っていたほうがよりおもしろいだろう。
なぜなら、まず、出演している男性は、ローカルタレント「バリトン伊藤」氏。
20年少し前、秋田テレビのローカル番組「なんでもアリーナ」を、石垣政和、シャバ駄馬男、ブラボー中谷らとともに盛り上げ、現在も活躍。洋裁の造詣と技術があり、秋田魁新報に連載を書くなどしている。
以前のサテライト男鹿のテレビCMには出ていなかったはず。由利本荘市出身。
つまり、CMでは「バリトン伊藤」が「サテラ伊藤」に改名すると宣言している。
バリトン伊藤の名を知らない人が見ると、よく分からないおっさんがいきなり「サテラ伊藤」に変えると言っているととらえられてしまうかもしれない。それだと、どうして「伊藤」が出てくるのか、唐突で強引な場面設定になってしまいそう。まあ、「サテラ」も唐突で強引だけど…
そして記者の質問。記者役はヘンなヒゲが特徴の若手ローカルタレント「石塚公評(いしづかこうへい)」氏。
「んだば おが でねーすか?」も、秋田弁を知らない人だと、「男鹿」と結びつけるために、強引に「おが」という意味のない言葉を作ったのかと思われてしまうかもしれない。
そうではなく、秋田弁には地名の男鹿とは別の「おが」という言葉がある。CMの「おが」はちゃんと意味を持っていて、会話として成立しているのだ。
この「おが」は形容動詞かな。濁らずに「おか」と言う地域や人もいる。
秋田の人は、地名の男鹿とはアクセントを変えて話すので、混同することはまずない。
「おが」は「度が過ぎている」ことを意味し、共通語では「あまり/あんまり」(の使い方の1つ)に相当する。
「んだば おが でねーすか?」は、「それはあんまりではないですか?」といったところ。
「おが」は個人的にはなじみのある言葉で、CMのようなシチュエーションでは「そいだば(それだば)おがでねすか」と使う。
CMのように「んだば」で始まるのはあまり聞いたことがなかったが、「そいだば」と同義なのは理解できる。
【12日補足】「おがでねーすか?」と聞かれて、「んだす!」と肯定するというのは、現実ではあまり考えられない。この点は、共通語で「あんまりじゃないの?」「そうです!」という会話があまり考えられないのと同じこと。
バリトン伊藤氏を起用し、かつ男鹿でなければ実現しなかったCMだ。
(これ以上話を膨らませづらいので)続編を期待、ってわけにもなかなかいかないでしょう。
「おが」が地理的にも世代的にも、どの程度認知されているのかは知らない。【13日追記】コメント欄の通り、秋田県北部の鹿角では使わないとのこと。少なくとも地元・男鹿では使うはず。男鹿出身のうちのばあさんが使っていたはずなので。
でも、「んだ」と「しったけ」ばかりが秋田弁の代表とされる風潮に一石を投じる(?)、良い作品だと思う。
そういえば前もちょっと触れたけれど、もう1つ男鹿じゃない「おが」の方言があった。
「おがる」。
植物や髪の毛が伸びること、生長することを意味する。【13日追記】身長が伸びるなど「成長する」や「大きくなること」全般の意味合いでも使うけれど、どちらかと言えば植物が生長することを指す場合多いような気がするけど、違うかな…
男鹿市商工会館の愛称は「オガルベ」。
秋田駅東口の拠点センター「アルヴェ」を意識し、かつ「男鹿」も、さらに前向きな意味を持つ「おがる」も掛けた、なかなか上手なネーミングだと思う。
ちなみに、「アルヴェ」は秋田弁の「あるでしょう」を意味する「あるべ」のほか、彦星織姫のアルタイルとヴェガと掛けている。
大森山動物園の「ミルヴェ」は「見ましょう」だけで、他の言葉には掛けておらず、いわばアルヴェの単なる二番煎じ。オガルベのほうが上手(じょうず&うわて)だ。
【2019年3月1日追記】サテライト男鹿のテレビCMは、この後も内容を変えずに同じものが断続的に放送されている。まったく放送されない期間もあり、例えば2019年は2月最終週(3月第1週)に初めて見た。
【2019年7月5日追記】↑その後また見なくなり、2019年7月初めからまた流れた。