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秋田市を中心に青森県津軽・動植物・旅行記などをご紹介します。

リンゴ畑の公園~その2・彼の有名なリンゴ~

2008-10-16 23:55:52 | 動物・植物
前の記事からの続編で、弘前市りんご公園を取り上げますが、今度は「動植物」カテゴリーにします。

品種あれこれ
園内には65品種1200本のリンゴが植えられているという。
ふじ・黄色の王林など来園者の収穫体験用に何十本もある品種もあるが、見本として1~数本だけ植えられている品種もある。
 おなじみの「ふじ」。あと半月ほどで収穫。
絞り優先 F/5.6 1/400 露出-0.3

「陸奥(むつ)」。そろそろ収穫。
絞り優先 F/5.6 1/640 露出-0.3

かつての主力品種、今は製菓用として人気の「紅玉」。
プログラムオート F/7.1 1/160 露出+0.3 トリミング  その名の通りルビーのような色。ふじや陸奥よりは小さめ。

ほかにも珍しい品種・懐かしい品種も多い。
「弘前在住の年配の女性が県外から来た親戚の男子大学生を案内している」といった感じの人たちがいたが、大きな実をつけた「世界一」の前で、
 女性「珍しいねえ。“世界一”。」
 男性「大きいですね。これは“世界一”っていう名前(品種名)のリンゴなんですか?」
という会話をしていた。もはや世界一も過去の品種なのだろうが、リンゴのいろいろな品種を後世に残すこともこの公園の大きな意義だ。
ちなみに売店で世界一を売っていた。(普通の品種よりかなり高かった)

拾ってはいけません
園内の所々でリンゴが地面に落ちていて、「落ちたりんごは拾わないでください」という日本語・中国語・ハングル(10月20日追記・英語も併記)併記の看板が立っている。
これを見て、「なぜ拾っちゃいけないの?」「どうしてだろうね」と会話をする親子、「拾わせてくれたっていいのに」と言う家族連れがいた。
なぜかというと、弘前市がケチなのではなく、落ちた果実に土から菌が感染し、果実を早く腐らせることがある(リンゴ疫病)。落ちた果実に触った手に菌が付いて、手を介して木になっているリンゴにまで感染してしまうのを防いでいるためなのだと思う。農家では収穫作業中に誤って落とした果実でさえ、他の果実と分けて扱っているはず(加工用にするのかな)。
こういう理由も看板で周知すれば、来園者の謎も解け、リンゴへの理解もさらに深まると思うのだが。

落ちるリンゴ
世界一の隣の木の下には数個のリンゴが落ちていた。
真っ赤な着色、逆三角形で日本のリンゴと違う。
プログラムオート F/6.3 1/125 露出-0.3
この品種は「フラワー・オブ・ケント」。通称「ニュートンのリンゴ」。アイザック・ニュートンがこの木から落ちる果実を見て、万有引力に気づいたという伝説(?)の元になったリンゴ。他の品種よりも、自然に落果しやすいそうだ。

リンゴの旭はアップルのマック
「りんごの家」という建物では、りんごソフトクリームがある軽食コーナー、リンゴのお菓子やジュース、リンゴをモチーフにした工芸品やグッズが一堂に会した販売コーナーとともに、体験コーナーには、リンゴに関する資料があり、いくつかの品種の果実がケース内に展示されている。
「旭(あさひ)」という品種。
プログラムオート F/5 1/60 露出+0.7

色付き方は普通の日本のリンゴのようだが、形はまん丸に近い。
説明文には「(交配親は)不明 カナダでJohn McIntosh氏によって発見された。別名マッキントッシュ」とある。この品種はなんと、アップル社のコンピュータ「Macintosh」の開発者の1人ジェフ・ラスキン氏が好きで、その製品名の由来となった品種なのだ!(aを足したのは同名のオーディオメーカーとの区別のためといわれている)

補足すると、1870年にオンタリオ州アラン・マッキントッシュ農園で偶然発見された品種(昔は、今のように意識して掛け合わせて新品種を作るよりも自然に任せていたので、古い品種はこういう“偶発実生”が多い)。白く緻密な果肉、甘さと酸味の調和の取れた、独特の芳香のある早生品種で、欧米では今でも多く生産されるらしい。

日本では明治時代に他の品種同様、欧米から輸入され栽培され始めた。当時は、英語の品種名とは別に日本語の品種名を付けていて(アメリカの「Jonathan」を「紅玉」など)、カナダの「McIntosh」は「旭」になった。残念ながら、日本の気候に合わず(津軽でも気温が高すぎるらしい)、日持ちが悪いこともあって、現在は北海道でわずかに栽培されているだけだそうだ。
りんご公園内には、ニュートンのリンゴや世界一の並びに1本「旭」があって、数年前は花が咲いていたので行ってみると、枯れてしまったのだろう、高さ1メートルもない小さな木に植え替えられていた。来春花が咲くかどうかという大きさ。


今年、久しぶりに「つがる」を食べた。食べ慣れた「ふじ」よりも酸味が強く、さわやかで、「こういう味のリンゴもいいな」と思った。
「旭」も酸味があるようだし、コンピュータ史に残るリンゴ、独特の芳香などと聞けば、食べてみたい。楽天で検索したら、扱っている店はあったが完売とのこと(5キロ・15~20玉で3000円位と結構いいお値段)。店のページにはマッキントッシュの名前はなかったが、「部屋に置いておけば、部屋中に芳香が漂う」「皮は干してアップルティーに」なんてことも書いてあって興味をそそられる。
コメント (3)
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リンゴ畑の公園~その1・津軽の秋~

2008-10-16 00:09:03 | 津軽のいろいろ
※この記事は、いつもよりやや大きいサイズの画像も使用していますので、ご注意ください。

りんご色の街、弘前市(以前の記事にリンク)では、2002年にリンゴ園をそのまま公園にし、リンゴを学んで体験できる「弘前市りんご公園」を開園した。

弘前市郊外(といっても弘前公園から直線で3キロほど)のリンゴ畑の中にあり、弘前駅や弘前公園からは1~1.5時間に1本バスが園内に乗り入れる。車なら案内標識が要所に出ている。
普段は芝生の広場で遊ぶ家族連れがいるくらいだが、春の花の時期や秋の実りの季節は、多くの観光客で賑わい、時には駐車場が満車になるほど。

この日も、収穫体験などが行われ、賑わっていた。
すり鉢山という、津軽藩の大砲の練習用の標的のために作られた薄っぺらな山が展望台となっており、岩木山とリンゴ畑を一望できる。(山の頂上は木の枝が邪魔なので、途中の階段の方が開放的な視界)

プログラムオート F/7.1 1/320
岩木山の中腹が紅葉で赤くなっている。雪をかぶった岩木山と並んで、津軽の最も美しい風景だと思う。午前中の方が光線状態がいいのできれいに見える(7時頃がベストかも)。
なお、ずっとリンゴ畑が続いているが、軽トラのいる辺りから先は、公園でなく農家の畑。

園内は通路が舗装されている以外、農家のリンゴ畑とほぼ同じ。

プログラムオート F/8 1/200 白や青の棒は、果実の重さで枝が折れないためのつっかえ棒。


プログラムオート F/6.3 1/250
園内の畑は上の写真のような幹が太く枝が横に広がった木がまばらな間隔で植えられている場所と、下のように枝がクリスマスツリー状に上に伸びて狭い間隔で植わっている所がある。
日本のりんごの木といえば、従来は上のようなタイプばかりだったが、写真の通りつっかえ棒をしたり、剪定には職人的な技術が必要で、作業の効率も悪かった。
そのため、現在、木を更新するときは、「矮化(わいか)栽培」といって、省力化のために下の写真のように密植する場合が多い(専門的な話だが別の種類の“台木”を使っている)
高齢化や経済性のためで果実の品質は変わらないとはいえ、部外者の勝手な意見としては、矮化樹は味気ない。
りんご公園では学習の場として、両方を“展示”している。


プログラムオート F/10 1/250 露出-0.3
このリンゴの品種は「陸奥(むつ)」。収穫間際まで袋を掛け、取ると一気に鮮やかに色付くのだと思う。フラッシュをたいたかに見えるけど、地面にアルミ箔のような着色促進用反射シートが敷いてあり、レフ板代わりになってくれた。


プログラムオート F/9 1/250 露出-0.3
これぞ「津軽の秋」。僕の大好きな風景。前からこんな写真が撮りたかった!
何回も公園に来ているが、今回じっくり歩いて初めて見つけられた、いいアングル。岩木山の紅葉の具合もきれい。春の白い花と残雪の岩木山もここで撮ってみたい。
写っていないけれど、撮影場所とリンゴ畑との間にはロープと砂利道があり、畑部分は公園の敷地外の農家の土地(だから立入はできない)。
ふじだと思うが、りんご公園のものより心持ち果実が多く付いている。「たわわに実る」とはこんな状態を言うのだろう。やはりプロの技術力と手間暇の差か?

後でもう1つりんご公園関係の記事を書きます。(クリックで移動)
コメント (16)
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